【共育時代の学び05】「勉強しろ」は逆効果 …「勉強しろ」を飲み込む際に考えるべきことは?

「主体的に学ぶ子を育てる」ポイント

  • 子どもに外遊びも部活も許さず、勉強ばかりさせた家庭の末路に学ぶ
  • 「勉強しろ」と言いたくなるが、それはむしろ逆効果
  • 「勉強しろ」を飲み込む際に考えるべきこと

人も社会も大変革の最中にいる

「第2の明治維新」とも言われている昨今、日本社会はさまざまな変化を求められ、刻々と変化しています。そしてまた、社会の変化とともに、人間に求められる能力も変化してきました。

人口減少、それに伴う労働人口の減少。コンビニや居酒屋、ファミレスなどあちこちで外国の人たちが働いている姿を見るようになりましたが、近い将来、日本の企業で正社員として活躍するのも当たり前の風景になっていくでしょう。

Photo by Annie Spratt on Unsplash

現状では身近には感じられないAIやロボットも、いずれ私たちの生活を大きく変えていくことになります。

最近「AI介護」を特集した雑誌を読みましたが、GPS機能を備えた自動運転可能な車椅子がすでに開発されており、トイレに行ったり食事をしたり、アプリで思いのまま操作できるそうです。そのうち会話もできるようになり、介護者の役割を代替していくことになるでしょう。

老人ホームのお年寄りは、忙しくしている職員に迷惑を掛けたくないと頼みごとにも気が引けるそうですが、そうした問題が見事に解決する近未来が紹介されていました。

「点数本位の教育」が捨てられない家庭の悲劇

今後、雇用におけるライバルが外国人となり、「人間にしかできないこと」が能力として求められるようになるのなら、点数を取ることだけが求められるいまの日本の教育では生き残っていくことはできません。

すでにはじまっている教育大改革の主題も、「社会の諸問題や課題に対し、自ら主体的に考え行動できる人材の育成」です。

しかし、現実では、いまだに従来型の教育を疑うことなく実践している家庭もあるようです。

息子が通っていた学校には、こんな家庭がありました。東京から越して来たその一家は、お母さんとふたりの娘さんが学校の近くで暮らし、週末だけお父さんがやってくる単身赴任生活。

とても教育熱心な家庭でしたが、ふたりの娘さんは、小学1年生のころから分刻みで勉強を強いられ、それ以外のスポーツや地域活動などはいっさい認めてもらえず、掃除もしなければお手伝いもしない。家と学校を往復し、家では勉強だけするーーそんな生活を中学3年生まで続けました。

さぞかし優秀な進路を進んだことだろう…と思われるかもしれませんが、現実はまったくその逆で、思春期の訪れとともに親に反抗し、親が思い描いていた学歴や未来は手に入りませんでした。

このように親のエゴで子どもを管理する行為は、もはや教育ではなく「狂育」であると私は思います。

心の豊かさが問われる時代に

さて、教育大改革の要となっている「社会の課題に対して主体的に考え、行動する」ですが、じつは本当に難しい教育的デザインが必要となります。

そもそも社会の課題に向き合うには、社会との接点が必要。さらに、「それらを解決するために人生を送りたい」と思うためには、それに見合うだけの心の豊かさが必要です。

よく「人には優しくしなさい!」と子どもを叱っている親がいますが、こういうことは言って身に付くものではなく、日常の環境や習慣が大切です。

たとえば、見知らぬ子どもが転ぶ様子を見かけたとき、(素通りする人が多いなか)自分の親が真っ先に助けに行く姿を見て、子どもも「転んだ友達がいたら助ける」ことを覚えるのではないでしょうか?

勉強も同じです。「本を読みなさい」と指示するだけでは子どもはなかなか読みません。新聞でもなんでも、親が読んでいる姿を見て子どもも読むようになる。

「ゲームばかりしていないで外で遊びなさい!」ではなく、一緒に遊ぶ。少子化が進行する現代は、親も共に学ぶ「共育」がまさに必要な時代と言えるでしょう。

狂った教育はもってのほかで、いっぽう的な指示や命令だけで強制する「強育」、悪いところばかり注意していい部分もダメにしてしまう「矯育」ではなく、夫婦そろっての「協育」、子どもと一緒に学ぶ「共育」、親自らがお手本となる「鏡育」が、いまこそ必要ではないでしょうか?

すべての目的は、世界の平和や人々の幸福を願い、そのために自らの人生を形成していこうとする豊かな心と主体性を育むこと。

「どうしたらわが子は、学ぶこと・成長することに意欲的になるだろうか?」。親は自分にその問いを常に投げかけ続ける必要があるのではないでしょうか?

◉今日からはじめる「共育」実践

私が主催している英会話スクールでも、幼稚園のころから1週間休みなく習い事漬けというお子さんがいます。果たして、この子は子どもとして生きるエネルギーを養うことができているのか? 親としてどうしてもやらせたくなりますが、一瞬立ち止まって考えて欲しいと思います。

文/鏑木 稔

(株)ジプロス代表取締役。東京東部で22年間学習塾を経営するなかで、のべ6000名を超える生徒の進路を指導。教育の最前線に携わりながら、わが子の教育環境や進学について考えていくなかでグローバル教育の到来を予見し、2015年に本物の英語力を育成する探究スクール「GLI」を開校。

◎提供:GLI晴海校

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