【GTE】低迷する日本の中高生にこそ世界標準の起業教育を…「第1回起業力教室」レポート

国際競争力の低迷が著しい日本

経済が低迷して久しい日本ですが、ビジネス環境の優位性を示す「世界競争力ランキング」においても、日本は1992年までの3年間は世界1位だったのに、2019年には30位にまでランクを下げています。

スイスの「国際経営開発研究所」(IMD)が毎年公表している、国際的な競争力についての格づけランキング「World Competitiveness Ranking」より

評価項目では、生産性や経営効率の低さ、国際経験や英語力の不足、そして起業マインドの低さなどがランキング低下の要因となっていますが、このような競争力の低迷に日本政府も企業も必死で打開策を模索してきたものの、グローバルに通用するビジネスは育っていないのが現状です。

日本にも世界標準の起業教育を

日本の競争力の低迷には複合的な要因が絡み合っているものの、日本に起業家を目指す優秀な人材やチェンジメーカーが育たない背景には、起業教育が不足していることが大きな問題であると指摘する人もいます。

アメリカやエストニアなどのスタートアップ先進国では、中学や高校からグローバルな社会を見据えた実践的な起業教育が行われているいっぽうで、日本の中学生や高校生が起業やビジネスについて学ぶ機会は増えているものの、まだまだ少ないのが現状です。

アメリカに目を向けると、すでに数十年に渡る実績のあるジュニア向けリーダーシップ&起業家教育プログラムがいくつもあります。

1946年に設立された非営利教育推進団体「DECA(デカ)」は、米国のみならず世界の高校でマーケティングやファイナンスについて教え、次世代リーダーや起業家を育成するプログラムを提供していますが、年に1回開催されている世界大会を目の当たりにすれば、日本の起業教育が加速するべき必然性を体感するはずです。

DECAに加盟している高校はアメリカでは3500校、カナダ、中国、ドイツ、メキシコ、プエルトリコ、スペインの高校生も合わせると会員数は21万5000名にものぼる

DECAは、加盟校の生徒を対象に、毎年春の4日間、米国の都市で世界大会「ICDC」(International Career Development Conference)を開催。5000組(3名1チーム)を超える高校生が一堂に会し、巨大なコンベンションホールの至る場所でビジネスプランを披露し、競い合う様はまさに圧巻です。

2019年5月、その「ICDC」についに日本から「広尾学園高校」(東京・港区)が初出場。「Written Event」(事前に用意していたビジネスプランを英語でプレゼン)に6チームが出場し、うち3チームが「AWARD OF EXCELLENCE」(入賞)を受賞しました。

起業のエッセンスを体感する「起業力教室」

広尾学園を「ICDC」に導いたのが、日本にいながらにして世界レベルの起業力が学べる「GTEイノベーションチャレンジプログラム」を主催する「一般社団法人カピオンエデュケーションズ*」(和歌山市)です。

※カピオンエデュケーションズは日本で唯一の「DECA」日本認定校設立サポート機関

「GTEイノベーションチャレンジプログラム」は、サマーキャンプ、ウィンターキャンプ、起業力教室の3つのプログラムを軸に、ビジネスで世の中の問題を解決するためのさまざまな力が学べる中高生向けのプログラムですが、そのエッセンスを半日で体感する「起業力教室」が、2019年6月15日(土)に開催されました。

「起業力教室」は、カピオンエデュケーションズと「KPMG/あずさ監査法人」が共催

「KPMG/あずさ監査法人」のセミナーホール(東京・大手町)には、高校生94名、中学生46名、保護者50名が詰めかけ、さらに中高生のサポーターとしてKPMG/あずさ監査法人のスタッフ50名が加わると、広々とした会場の空気は一気にヒートアップしました。

日本の現状を知り、ビジネスの可能性を知る

今回が第1回目となる「起業力教室」では、参加者たちは国際的な視野で日本の置かれた困難な状況や、ビジネスが社会問題解決の糸口となる可能性について理解を深め、グローバルな巨大企業を例にファイナンスの基礎を学びました。

カピオンエデュケーションズの曽我弘さんと能登左知さんによる講義では、グローバル企業が育たない日本の現状と、新たな雇用を生み出すビジネスが社会課題を解決している米国の事例が紹介されました。

カピオンエデュケーションズ・曽我弘さん。シリコンバレーで起業した会社を、2001年にAppleに売却した経験を持つ唯一の日本人

曽我さんからは、日本一の企業でありながら時価総額ランキングでは世界40位にとどまる「トヨタ」を引き合いに、世界トップ5のグローバル企業は過去40年以内にトヨタの10倍規模に成長しているいっぽうで、日本からはトヨタに続くグローバル企業が出てこない現状が語られ、チェンジメーカーの登場が切望される日本では早期起業教育が必須であると訴えました。

能登さんからは、配車アプリ「Uber」がアメリカで新たな雇用を生み出し、大きな社会問題である移民の貧困問題解決のカギとなっている事例が紹介されました。これまでは、英語を十分に話せない移民は工事現場や清掃などの低賃金の仕事に就かざるを得ませんでしたが、翻訳アプリと運転技能があればUberのドライバーとして日に3万円を稼ぐことも可能です。

日本の学校でも「SDGs」を通じて社会課題について考える機会が増えていますが、「貧困問題」はアフリカやアジアの貧困国に募金をしたり、医療や教育支援を行うだけでなく、新しく生み出されたビジネスによってSDGsの問題を継続的に解決することも可能なのです。

ファイナンスは難しいけど…勉強になった!

ワークショップでは、KPMGコンサルティングの萩原健斗さん(コンサルタント)から「世界における起業の現状」、あずさ監査法人の倉田剛さん(公認会計士)から「起業のための会計基礎」を学びました。

「世界における起業の現状」では、シリコンバレーや中国から、世界を変えるようなイノベーションを起こす成長企業やユニコーン企業(企業価値が10億ドル以上と評価される創立10年以内の未上場企業)が数多く出現しているなか、日本は追いつくことさえできない現状についての説明があり、その後参加者が認識している社会の課題についてグループでシェアしました。

1ページに収まる事業計画書「リーンスタートアップ・ビジネスモデル・キャンパス」について説明する、あずさ監査法人の倉田剛さん

「起業のための会計基礎」では、まずは会計の意味や事業計画作成の目的といった基本的なことから、資金調達や収支計画、損益分岐点などの専門的な事柄について概要が説明されました。

学年ごとにわけられたテーブルには会計士のファシリテーターが1名ずつつき、課題や解決策、会計の基礎的な考え方をグループでシェアしていった

その後、経営状況を客観的に数値で把握するために必要な「財務三表」として、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」について基本的な概要を押さえました。

「売上と利益率」「キャッシュフロー」は、米国の主要IT4企業「GAFA」(ガーファ、Google、Amazon、Facebook、Appleの頭文字をとっての総称)とトヨタを例に、数字で規模感を把握。さらに、ドコモ、ソフトバンク、auから財務三表に関連する数字を引用し、身近な企業の事例を通じて理解を促しました。

*    *    *

1時間ほどの駆け足での授業でしたが、参加者からは「難しかった!」という声も聞こえるいっぽうで、「学校で学べないことをたくさん知ることができてよかった」「年内に起業する予定なので、本格的に勉強するきっかけになった」などの声があがりました。

限られた時間でしたが、「自分以外にもこんなにも多くの中高生がビジネスに興味があるんだ!」と、たくさんの刺激を交換し合う時間となったようです。

なお、今回の「起業力教室」で使われた資料は、「KPMG/あずさ監査法人」公式サイトからPDFでダウンロードできるので、参加できなかった人もぜひ参考にしてみてくださいね。

閉会後は、自由参加の質問会や懇親会となり、100名ほどが参加した

パワーアップした起業力教室がこの秋開講

好評のうちに終了した起業力教室ですが、参加者からは「今回のような授業をまた受けたい」「もっとグループワークを増やして欲しい」などのリクエストが多く寄せられたので、この秋には2回目の「起業力教室」が開催される予定です。

次回は500名と今回の2倍以上の参加者を見込んでおり、ファイナンスのみならず、ビジネスにおけるプレゼンのコツやアイデアを磨く方法が学べる講座や起業家のトークセッションなど、スキルアップしたい講座を渡り歩くことができるそうです。

気軽に参加できる「起業力教室」を通じて、ぜひ行動を起こすきっかけをつかんでくださいね!

「GTEイノベーションチャレンジ」公式サイト


【第1回GTE起業力教室】

  • 共催:一般社団法人カピオンエデュケーションズ、KPMG/あずさ監査法人
  • 日時:2019年6月15日(土)14時〜18時30分
  • 会場:「KPMG/あずさ監査法人」(東京都千代田区大手町1-9-7「大手町フィナンシャルシティ」サウスタワー)
  • 参加者:高校生/94名、中学生46名、高校生・中学生の保護者50名
  • 参加:無料

◉提供:GTEイノベーションチャレンジ

 

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