進路ってどう決めればいいの? 子どもが決めないとき 〜エリクソンの「発達段階理論」から考える

「進路が決められない中学生」にどう寄り添う?
中3の娘が、進路をなかなか決めません。高校受験が迫っているのに「別にどこでもいい」としか言わず…。

私としては、将来のことをしっかり考えて選んでほしいのに、まるで他人事のようでモヤモヤします
周りの子はもう志望校が決まっていて、焦る気持ちだけがつのります。
ヒント:子どもの内面を見つめてみるコンサルタントの視点
焦る気持ち、とてもよくわかります。周囲がどんどん進路を決めていく中で、自分の子だけが「どこでもいい」と言うと、なんだか置いていかれるような不安になりますよね。
子どもが「選ばない」理由を探るには
でも、まず伝たいのは、「どこでもいい」と言っているお子さんも、じつは“何も考えていない”わけではない、ということです。進路を決めるというのは、人生に関わる選択ですから、「まだ自分の中で答えが出ていない」状態なのかもしれません。
とくに思春期は、自分の意見を明確に言うのが難しい時期でもあります。将来をどう描けばいいのか、何を大切にしたいのか、自分でもまだ整理できていない。そんな揺らぎの中にいるんですね。



この時期に大切なのは、“今すぐに正解を出すこと”よりも、“自分の考えや感覚に丁寧に耳を傾ける時間”を親が支えてあげることです
焦る気持ちを持ちながらも、こうして「しっかり考えてほしい」と願っている。それはもう、十分に愛情深いまなざしです。
進路はゴールではなく、通過点です。「まだ決められない」ことは、決して悪いことではなく、「自分で考えようとしている」サインかもしれません。
どうか、お子さんの“沈黙の中にある問い”に寄り添いながら、話せるタイミングを待ってみてください。
エリクソンの発達段階理論とは?
米国の発達心理学者・エリクソン(エリク・ホーンブルガー・エリクソン、1902年〜1994年)は人間の成長を8段階に分け、中学生~高校生の時期は「自我同一性(アイデンティティ)の確立」がテーマであるとしました。この時期は、将来の役割や価値観を選び取る練習期間です。
内面の地図を描く
そのため「どこに行くか」よりも、「自分はどんな人間か」「何が好きか」といった、“内面の地図”を描くことが、進路選択の前提になるのです。
チェックシート:“わたしの視点”
- 「早く決めなさい」と毎日のように言っている
- 子どもが進路に無関心なことに苛立ちを感じる
- つい他の家庭と比べてしまう
- 子どもの代わりに資料を集めて先回りしている



2つ以上チェックがあれば、「子どもが自分で考える余白」が狭くなっているかも
生活での実践:わが家の変化エピソード
- 学校の話題ではなく、趣味や最近ハマっていることを聞いてみる
- 選択肢を提示するのではなく、「どうしたい?」と主語を子に戻す
- 進路の話題が重くなりすぎないよう、雑談の延長で問いかける
小さな変化を見逃さない
進路の話題を少し横に置き、娘と一緒に観たドラマの会話から、「海外に行ってみたい」という言葉がふと出ました。
そこから自分で国際系の高校を調べ始めたんです。



選ばせようとしなくなってから、選び始めた——そんな不思議な変化に、私自身が驚いています