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海外大学進学後の就職
大阪在住の高校3年生です。
大学は英語で学べる大学を選ぼうと考えていて、国公立が第1希望です。
それが叶わなかった場合、首都圏の私立大学よりも海外大学で学びたいと思っていますが、漠然と就職はどうなるのか…と不安です。
日本のいわゆる有名大学を出て、英語力を強みに日本企業もしくは外資系企業に就職するか、海外大学を出て海外もしくは日本で仕事を探すか。
高校時代に海外で学び、帰国生として日本の大学に入る人もいますが、私からすると、海外大学進学のチャンスがあるのに日本の大学を選ぶのは、その先の就職や生活を日本で送ったほうがいい(つまり海外での就職は難しい)という判断があるのではないか、と気になります。
英語で学びたいという気持ちが先立ち、具体的にどんな仕事に就きたいのか思い描けていないことが問題なのかもしれませんが…
海外で学ぶ場合、学部や大学で就ける仕事は限定されてしまうのでしょうか? また、留学生の就職は難しいのでしょうか。
もちろん、どちらの大学に進学した場合でも勉強はがんばるつもりです。
アドバイスをいただけるとうれしいです。
海外なりの厳しさも…
海外で学んだのち、そのまま現地での就職を希望する人は多いですね。
もちろん就職できる可能性はありますが、事前に知っておいたほうがいいこともあるので、その点についてお話しておきましょう。
そのまえに、帰国生が海外から日本の大学に進学を希望する理由について触れておきますね。
個々により事情は異なるので、一般的なものとして読んでください。
1.滞在ビザとの兼ね合い
海外で駐在をしている親御さんの帰国が決まると、駐在に同行した子供も滞在ビザがなくなるので帰国しなければなりません。
しかし、子供の学校のきりがいいときに帰国になるとは限らないので、高校卒業を機に子供だけ、あるいは母子で帰国するケースはとても多くなっています。
2.日本の大学に志望学部がある
希望する学部によっては、日本の大学が海外の大学よりも優れている、あるいは現地の大学に学びたい学部がないという理由で日本の大学を選択することもあります。
3 .就職の希望先が日本にある
希望している就職先が日本である場合、やはり日本の大学で学び就職活動をするのが一番スムースな流れです。
企業のグローバル化に伴い、海外の大学で学んだ人たちが日本の企業に就職することも盛んになってくることが予想されますが、現状では学生時代に日本社会の常識やマナー、考え方を学んでおいたほうがいいという意識もいまだに強いのかもしれません。
いっぽうで、海外の大学を卒業後、日本で就職したいという人もいますが、一流大学はともかく日本であまり知られていない大学の場合、企業がその大学のレベルを推し量ることができず採用に至らないというケースも少なくありません。
企業も人材もグローバル化する移行期の現在、このような問題も起こりがちなのです。
4.日本企業における現地採用の雇用条件
海外の大学を卒業し、現地にある日本企業に就職するケースも考えられます。
この場合、日本で採用された駐在の日本人と現地採用の日本人とでは、日本採用者のほうが給与などの雇用条件がいいのが一般的です。
海外の駐在家庭はそのことを十分に理解しているので、卒業後を考えて日本の大学を選択するケースが多いのも事実です。
5.海外大学は学費が高い傾向にある
日本の大学は留学生でも学費は同額ですが、海外の大学の場合、通常現地の学生の何倍もの学費がかかります。
たとえば、オーストラリアの国立大学だと年間授業料は70~100万円ほどですが、留学生の授業料はおよそ3倍。アメリカやイギリスでは私立大学が多いので、それ以上になってしまいますね。
学費に加え生活費なども考えると、帰国したほうがいいという選択になる場合もあります。
6.帰国生枠で受験する場合
志望大学の帰国生枠の条件を満たすために留学をしている場合は、高校卒業後帰国し、受験することになります。
つぎに、海外の大学で学び、現地で就職を希望する場合に知っておくべきことをお話します。
1.ビザ取得の難しさ
大学を卒業しても、就業ビザを取得するのはなかなか難しいようです。
国や希望する職種にもよりますが、就職先が見つからなければ就業ビザもとることができません。
大学を卒業したら学生ビザも切れてしまうので、就業ビザが取れなければ帰国せざるを得なくなります。
2.海外も就職難の傾向
海外でも、条件のいい仕事を見つけるのはなかなか難しい状況です。
大学の最終学年になってすぐに就職活動をはじめ、30社ほどに履歴書を送ったという話もよく聞きますし、成績優秀で卒業したものの、コネクションがないために希望の職種に就けないこともあります。
日本人が就きやすい業種に観光業など日本人絡みの仕事がありますが、日本からの入国者が減れば仕事も減ってしまいます。
医師や弁護士、看護師などのスペシャリストは、資格があるので就職しやすそうですが、現地の人を優先して採用する傾向もあるので確実ではありません。
理系の研究職は仕事は見つけやすいようですが、技術と知識があればどの国でも働けるため、海外からの応募も少なくありません。そのため、要求される専門的な力が十分にないと就職競争に勝ち残ることは難しいといえます。
3.即戦力としてのアピール
日本では新卒の採用が当たり前ですが、海外では新卒より即戦力を求める傾向があります。
既卒でその分野の現場経験者が有利になるため、新卒者は大学在学中からボランティアやインターンシップなどで職場経験を積み、その実績により即戦力になることをアピールしていくことになります。
自分の希望に合った仕事を見つけることは、どの国であっても容易ではありません。
具体的な道を決めるのはこれからのようですが、まずは英語の力をつけておき、目指す分野が決まったら、どこで学ぶことが必要なのかを考え、実行し、力を蓄えておくことが大切です。
そして、はじめから希望の就職先に勤めることに固執せず、着実にキャリアアップできる仕事を経験しながら、最終的に希望の仕事に就く、という考え方が必要になってきます。
10年前に渡豪後、現地にて日本人のための教育機関にて教育管理や学習指導に携わりながら、日本人親子の教育や精神面のサポートを行う。2013年に「国際教育支援研究所」を設立し、国際教育で生じる不安や悩みについて、保護者や子供たち、教師を対象としたサポートと親子の理想の教育を実現するためのプラン作成「教育デザイン」の指導を行っている。「崎田和紗子」の名は、6年前の誕生日に支援を受けたお礼にと子供たちからその名前の一字ずつを合わせて贈られたもの。「子供たちの未来のための仕事」という初心を忘れないために、仕事の大切なパートナーとして使用している。