高校生や保護者、教員など600名を対象に調査
「日本赤十字社」(東京・港区)は、全国の高校生・大学生・大学院生・保護者・教員の計600名を対象に調査した「コロナ禍の生活が若者の将来への不安に与える影響」結果を、2022年1月6日(木)に発表しました。

日本赤十字社は、「人間のいのちと健康、尊厳を守る」という使命のもと活動。地震や台風などの自然災害発生時に、現地に駆けつけ救護活動を行っています。平時の備えとして、災害救護訓練、ボランティア育成、救援物資の備蓄等の活動も行っている
今回発表された調査は、新型コロナウイルスの初の感染者が日本国内で確認されてから2年が経過するタイミングで、若者の行動や意識の変化を明らかにするために実施。
調査対象は、高校生・大学生および大学院生・高校生の保護者・大学生・大学院生の保護者・高校教員・大学教員それぞれ100名の計600名。
調査結果から、とくに結果が顕著だったのが下記の2つのポイントです。
1)2020年4月の緊急事態宣言から2021年9月の宣言解除までの期間におきた若者の心の変化
- 何もしたくなくなる、無気力…高校生43.0%、大学生49.0%
- 孤独を感じ1人でいるのが不安…高校生28.0%、大学生35.0%

コロナ禍で生じた若者の気持ちの変化(日本赤十字公式サイトより)
2)若者が抱く将来の社会生活に対する不安
- 新しい人間関係を築くのが困難…高校生30.0%、大学生33.0%
- 対人コミュニケーションスキルが身につかない…高校生30.0%、大学生27.0%

コロナ禍が若者の「進路・就職」に与える不安 上位5項目(日本赤十字公式サイトより)
若者の半数近くが、コロナの影響で何もしたくなくなる、無気力な気持ちに変化していたことが判明。また、若者が3人にひとりが集団生活で得られる経験に不安を感じていることが明らかになりました。

コロナ禍が若者の「成長・経験」に与える不安 上位5項目(日本赤十字公式サイトより)
心がつらいときの対処法も紹介
今回の調査から、日本赤十字社は「仲間との直接交流が大きく制限されたことが精神面に大きく影響を与えた」と考えており、対処法のアンケート結果では、大学生は「親と相談する」「考え方を転換する」など何らかの対処がとれているものの、高校生ではその割合が低下していることを指摘し、その上でサイト上から学生・保護者・教職員向けに自殺予防のメッセージを発信しているのでこちらに転載して紹介します。
<心がつらいときの相談窓口>
- 文科省 子どものSOS相談窓口(電話・SNS・LINE)
- 内閣官房 孤独・孤立対策担当室 あなたはひとりじゃない(18才以下のみなさんへ、19才以上の方へ)
- 厚生労働省 こころもメンテしよう ~ご家族・教職員の皆さんへ~
【学生の皆さんへ】
気持ちが辛い時に相談できる人を思い浮かべましょう。その人たちとの交流をこれまで以上に意識してみてください。保健室の先生やスクールカウンセラーをはじめ、専門家と相談もできます(上記「相談窓口のご案内」参照)。また、あなたのストレス対処法は何でしょうか?人と話す、自分の趣味に没頭するなど様々でしょう。今頭に浮かんだその対処法は、いつかまた困難に直面した時にもきっと役に立ちます。セルフケアに活用しましょう。今は大変なときですが、皆さんにとって成長の糧になりうるときでもあります
【保護者の方々へ】
結果を見て心配される保護者もきっといらっしゃるでしょう。「あなたは大丈夫なの?」と聞きたくなるかもしれませんが、多くの子どもにとってこの時期は第二次反抗期と重なり、親にはあまり相談したくないと自然に思う時期です。細かく聞こうとしても、逆に反抗的な態度が返ってくるかもしれません。一方で親に対する甘えも残っていて、身近な大人にいつも味方でいてほしいと感じています。話しかけてきた時にはしっかり聞くという態度を示し、子どもにとっての安全基地でいて下さい。また大人自身の安定も子どもにとって大切です。どうかセルフケアもお忘れなく
【教職員の方々へ】
生徒・学生に対して、今は大変な時期であると伝え、やる気が出なかったり、不安があったりしても、それは自然な反応であると話してあげてください。そして、子ども達にとって悩むときに話せる人がいること、具体的な相談先を伝えてください。コロナ禍において、授業の工夫や行事の考え方など先生方も大変なご苦労があったのではないでしょうか。学生・生徒のケアが第一となりがちかもしれませんが、先生方ご自身の大変さもないがしろにせず、仲間内で共有したり相談したりするなどしてみてください
青少年赤十字の活動も紹介
日本赤十字社の青少年赤十字(JRC)では、直接仲間と交流する機会の減ってしまったなかでも、若者が参加できる以下のような活動を紹介しています。
通常行っていた研修やボランティア活動が制約を受けるいっぽうで、オンライン上で国内・海外の子どもたちに学びの場を設け、交流をはかっているようです。
【新型コロナ禍と若者の将来不安に関する調査】
- 調査元:日本赤十字社
- 期間:2021年12月10日~12日
- 対象:日本全国の男女600名(高校生・大学生および大学院生・高校生の保護者・大学生および大学院生の保護者・高校教員・大学教員それぞれ100名)
- 方法:インターネット調査