日本では、2022年に英国の名門パブリックスクールである「ラグビー・スクール」と「ハロウ・スクール」が進出することが決定していますが、経済産業の発展とともに英語教育への熱も急速に高まっている中国では、2020年はコロナ禍という状況にも関わらず、新たに14もの英国系インターナショナルスクールが開校。さらに、数年のうちに40ヵ所に新たな英国の私立校がスタートする予定となっています
ニーズが急増する中国のインターナショナルスクール事情
国際教育専門家のための情報メディア「TEH PIE」の記事によると、英国の教育コンサルタント企業「Venture Education」は、広東省をメインとした中国南部沿岸エリアでは、中国政府の集中的な経済施策とも相まって教育への投資熱が著しく高まっており、イギリス名門校ブランドにとっても目下最重要の商圏となっているそうです。
今後2年間で開校予定のスクールのうち約半数が広東省に位置し、英国私立校と提携している企業の51パーセントが同地域に本社を置いています。
しかし、中国での英国名門私立校の立場は複雑な環境に置かれている側面もあります。
インターナショナルスクールとの提携に関心を示す中国企業が多くあるいっぽうで、中国政府側は教育に関するより厳しい規制を敷こうとする動きが目立ち、英国私立校ブランドにとって、ビジネス面の弊害として立ちはだかりました。
6才〜15才の生徒には国が編纂した共通のカリキュラム履修を義務づけたり、インターナショナルスクールに入学できる生徒の条件を中国以外のパスポート所持者のみに限定したり、新規ビジネスチャンスが頭打ちになりかねない状況でもありました。
ところが、2020年からのコロナ禍が思わぬ形で、中国内での英語教育の需要を加速。海外のインターナショナルスクールに子どもを通わせていた(あるいは通わせる予定だった)親たちが、海外へ渡航させることをためらい、さらに出国が難しい事態が生じたことで、中国以外のパスポートを所持する中国人生徒が、中国内の英国私立校に通いたいと考えるようになったのです。
こうして中国内のインターナショナルスクールへのニーズが急増し、目下、各校がもっとも頭を悩ませているのが人材確保だと言われています。当分の間、ネイティブスピーカーを海外から呼び寄せることは困難であるため、新たな採用はほぼ中国内に頼るしかありません。中国在住の優秀な英語教育者にとっては、とても職を見つけやすい状況が続くだろうと関係者は語っています。