国際バカロレアのこと、じつはあまりよくわかってないのよね…😅
国際バカロレアについて、5回にわけてわかりやすく紹介していきますね
Globaledu進路ナビチーム
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国際バカロレア | IBの学習を越えてつかみ取った進路
前回は、海外にいながら国際バカロレアを選択しない子どもたちについて書きましたが、今回はIBという大きな壁に挑んだ3人の日本人の子どもたちの実例を紹介します。
国際バカロレア | 【G君】初志貫徹でIBを修め、カナダに進学
- 高校生で単身留学(留学期間2年)
- 大学受験:IBを選択
- 進路:カナダの大学へ入学
G君のお父さんはオーストラリアでの留学経験があったため、早い時期からG君を留学させる計画でいたそうです。
ですから、英語も幼稚園から習いはじめ、高校2年生から単身留学となりました。
英語力には自信があり、カナダの大学への入学を希望していたG君なので、最初からIBを選択することに迷いはありませんでした。
ところが、授業がはじまってすぐに電話がかかってきました。「授業がまったくわかりません!」という半泣きの声で。
確かに分厚い教科書すべてが英語で、授業もネイティブスピードで進みます。
日本だったらわからないところを日本語で説明してくれたり、英語のスピードを落としてくれる配慮もあるかもしれませんが、現地ではそのようなことは期待できません。
そして、無情にも授業はどんどん進んで行きます。
ここからG君の戦いがはじまりました。授業の予習復習はもちろん、授業内容の理解のために多くの時間を割きました。
授業のスピードが速いため、ノートをとることもままならないので、友達にノートを貸してもらうなどの協力をしてもらいました。
先生にも状況を説明し、授業でわからないところをメールで質問してもいい許可をもらいました。
そのうちに、だんだんと英語にも慣れ、授業のペースについていかれるように。
そして、DPの1年目が修了間近となり、学校はDPから統一試験の受験クラスに変更する生徒の確認をはじめました。
私もG君がどのような決断をするのか心配しながら連絡を待っていましたが、けっきょくカナダ留学のためにはIBを選択する必要があると考え、IBを続行。
最後の1年、やはりエッセイを書くことや「思考する」部分においては、先生からダメ出しをされることが多かったようです。
しかし、持ち前の前向きで物おじしない性格とクリアな進路の目標が彼を支え、見事カナダへと飛び立っていきました。
国際バカロレア | 【Oさん】IBから方向転換、自らが望む進路を歩む
- 5歳から豪在住
- 大学受験:IB選択後→統一試験受験に変更
- 進路:オーストラリアの大学で会計を学び卒業
両親の仕事の都合で、Oさんは5歳からオーストラリアに住んでいました。ですから、英語力に関して何の心配もありません。
両親は、高校の入学説明会でのIBの教育理念に賛同し、OさんにはぜひIBを学んでイギリスに留学してほしいと考えていました。Oさんも両親の強い希望でIBを選択しました。
ところが、半年ほど経ってからお母さんから連絡があり「成績がまったく伸びない」というのです。
IBを学習しても、最終試験でそれなりの成績をとっていなければ、希望の大学に願書を出すこともできません。
さっそくOさんと話をしてみると、「イギリスの大学ではなく現地の大学で会計学を学ぶことを希望し、またIBのプログラムではディスカッションやプレゼンテーションが大きな負担になっている」と話しはじめました。
もともと、親しい友達以外とのコミュニケーションを避ける傾向のあるOさんにとって、IBは望まない学習方法だったのです。
それから親子での話し合いを持ってもらいました。大切なのは「Oさんが生き生きと自分の将来のために学ぶには、どのような学習環境とサポートが必要か」ということ。
話し合いの結果、Oさんの希望が尊重され、IBから統一試験の受験へと変更することになりました。
それからのOさんは、自分で決めた目的のために主体的に学習をはじめ、希望の大学に入学し、税理士の資格を取りました。
現在は、日本語が話せるメリットを生かして、日系の会社の仕事も少しずつこなしながら、国際人としての生活を歩みはじめています。
国際バカロレア | 【Dさん】英語とIBを乗り越え、現地の医学部へ進学
- 高校生で単身留学(留学期間3年)
- 大学受験:IBを選択
- 進路:オーストラリアの医学部に入学
Dさんは、中学卒業と同時に単身留学でオーストラリアにやって来ました。医師になりたいという目標と、海外で暮したいという自らの希望を叶えるためです。
医学部に入るためには、日本同様学業成績が相当に高くなければなりません。
IBよりも統一試験を目指したほうが高得点を狙えるのは明白でしたが、彼女は医学部に入るだけではなく、海外で暮らすための実力を身につけたいと考えていたので、迷わずIBを選択しました。
とはいえ、IBの学習量の多さと英語の負担から、毎日部屋に引きこもって勉強をするようになりました。
そして、そのような生活を続けるうちに気持ちが滅入るようになり、ホストファミリーとの関係がうまくいかなくなり、私のところに相談にやってきました。
私は、彼女にホストファミリーに助けを求め、学習のなかでわからない英語を教えてもらったり、エッセイの評価をしてもらったりすることを勧めました。
そのような関わりを持つうちに、ホストファミリーとの関係改善だけではなく英語力もずいぶん向上したようです。
3年間で大きな成果を出した彼女ですが、もちろん並々ならぬ努力をしたことはいうまでもありません。
その努力がどれほどのものだったのかは、彼女が大学生となってひとり暮らしをはじめるときにホストファミリーのママが彼女にかけた言葉でわかると思います。「あなたは3年間、寝たことがあったの?」
上記の3人以外にも、たくさんの日本人の子どもたちが世界中でIBプログラムに取り組んでいます。
今後は、日本にいながらにして「国際バカロレア」を学ぶチャンスを得られることになりますが、最後に私の考えをひとつだけ。
私が「国際バカロレア」がすばらしい教育プログラムだと考えるのは、国際バカロレア機構が掲げた「IBの求める学習者像」にあります。
探究する人、知識のある人、考える人、コミュニケーションができる人、信念のある人、心を開く人、思いやりのある人、挑戦する人、バランスのとれた人、振り返りのできる人。
これらは、理想の人間像ということもできますし、万国共通に求められる人間像でもあります。
もちろん、このような人はIBプログラムだけで完成されるものではありませんし、IBだけがその理想を手に入れるための術ではありません。
もし、このような人間像をわが子に求めるのなら、IBだけに頼ることなく、子どもの主体性を尊重しながら「この子の未来のために何が必要か。何ができるのか。」と考え、行動し、教育環境を整えていただければと思います。
そうすれば、きっとIBプログラムのなかで、あるいは子どもに合った別の教育プログラムのなかで、望まれる力が育まれ、熟成していくことでしょう。