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【上海】教育熱が加速する都市部と貧困地域の教育格差も…中国初等教育の現状についてレポート

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中国の教育システムについて

日本ではあまり知られていない、中国の学校教育や教育プログラム。

今回は、上海の現地小学校など教育現場を取材した模様も交えて、中国の教育について紹介したいと思います。

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中国では、小学校は6年間(上海市などの一部地域では5年間)、初級中学校が3〜4年間、高級中学校が3年間、大学は4年間がもっともポピュラーな学年構成。

義務教育は6才からの9年間(小学校〜初級中学校)で、日本とほぼ同じ制度となっています。

中国の近代教育史について触れておくと、1966〜77年まで続いた「文化大革命」により、中華人民共和国成立(1949年)以前の教育は全面的に否定されました。

日常的に工業や農業活動などに従事する「労働」のような授業が行われ、座学を主とする授業は次第に疎かに。授業を行おうとする教師は、反逆人物として処分の対象にもなりました。

この時期に10〜20代を過ごした人々は、現在60〜70代。読み書きすら不十分な場合もあり、中国では「失われた世代」とも呼ばれてます。

このような過去の反省を踏まえ、現在の中国では「国際競争のなかで生き抜く力の育成」、そして「愛国心を育む教育」を実践しているといえます。

ひとりっ子ゆえ教育には熱心

中国の教育は、なにに関しても「徹底」しており、「結果」を重んじるのが大きな特徴といえます。

たとえば、学力試験の結果は小学校でも成績順位を校内に貼り出すなど大いに評価し、成績優秀者には学校から現金を支給する場合もあります。

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また、中国では長らく「ひとりっ子政策」を導入してきたことから、親が子供にかける期待はハンパではありません。

上海市には裕福な家庭も多く、教育に熱心な親たちは「教育重点校」と呼ばれる政府が優秀な人材を育成するための学校に子供を入れたいと願っています。

重点校にはいくつかの種類があって、「区重点校」→「市重点校」→「国家重点校」という順に難易度もあがり、これらの学校に入るためには試験に合格しなければなりません。

所得格差が生む「教育格差」

ただ、中国では「義務教育制度」があるものの、すべての子供が学校に通えるワケではありません。

中国での教育費用は、義務教育期間も含めすべて有償です。

税金も投入されてはいますが、小学校でも教科書代や学習用品などは個人負担。家庭によっては、家計を圧迫することにもなります。

また、学習が遅れちな児童や生徒には放課後に特別補習が設けられていますが、この補習にも別途費用がかかります。

昨今は国の補助金が減額傾向にあるので、そのぶん親の負担も増加しています。

そのため、北京市や上海市など沿海部の大都市では、ほぼ100パーセントの子供が小学校に入学し、初級中学校にも約7割が進学するいっぽうで、内陸部の貧しい農村地域などでは、小学校に通えない「失学少年(少女)」と呼ばれる子供たちが100万人以上いるといわれています。

たとえば、安徽(あんき)省などの一部学校では、教科書やノー卜も十分に与えられず、満足な教育が行われているとはいいがたい現状があります。

1989年には寄付金により貧困地区へ小学校を設立する援助基金プロジェクト「希望工程」も発足し、私の勤務する日本人学校でも安徽省への寄付活動が毎年行われています。

それでも、地域を変えるような人材を育成するまでにはなかなか至らず、貧困のループを断ち切ることは難しい状況です。

中国でも経済格差が教育格差として明るみになっており、親の所得が子供の将来に大きく関わってきます。

地域の経済格差を根源とする教育格差の是正が、今後の中国でも大きな課題のひとつとなっているといえます。

上海の先生たちの思いとは…

最後に、上海の現地校を訪れた際に先生たちに尋ねてみた、「教師をしていてよかったと思うことはなんですか?」という質問への回答を紹介します。

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「子供たちの笑顔が見られるときですね」(40代・女性教師)
「子供たちと将来の夢の話を一緒にできるときです」(20代・男性教師)
「子供たちの元気なあいさつや声が学校に響くときですね。いつもとても清々しくうれしい気持ちになります」(50代・男性教師)

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上海の教育現場にも、教育に携わる教師の世界共通の思いがありました。

文と写真/中村祐哉(中国・上海市)

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