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「海外の大学で学んでみたい」ーー世界からの仲間たちと切磋琢磨し、学問を追究するなかで、ひと回りもふた回りも成長するーーそんな未来の自分の姿を思い描いている中高生が増えています。国によって受験事情や留学に必要となるコストなど、大学を選ぶ基準は異なっているため、最適な進路を見つけることは簡単ではありませんが、この受験ガイドを通じて、どの学校に通っていても・どこに住んでいても「海外大学を目指せる可能性は自分のなかにある」と、気づいてくださいね!
中東に留学する魅力とは?
中東と聞くと、紛争やテロ事件などで政情が不安定な地域というイメージが先行し、海外大学の進学先としてはピンとこないかもしれません。
しかし、日本ではあまり知られていませんが、世界有数の裕福な国であるアラブ首長国連邦(UAE)とカタール※は、国家戦略として世界の高等教育機関を積極的に誘致し、いまやグローバルスタンダードな教育を提供する「中東の教育ハブ」として認知されています。また、「中東のシリコンバレー」と称されるイスラエルでは、そのイノベーティブな地域性に魅了された世界からの優秀な学生が学んでいます。
※国際通貨基金(IMF)が2018年4月に公表した「世界で最も裕福な国」ランキングで、1位にカタール、8位にUAEがランクイン(日本は30位)。
グローバル化が進む世界において、中東の大学では「アラブ人脈を作ることができる」という、他の地域にはないアドバンテージがあります。世界で3番目に多く話されている「アラビア語」を学び(もちろん英語も)、中東の歴史や宗教、生活習慣を体感しながら過ごす時間は、これからの人生において強力な武器として役立ってくれるはずです。
UAE「アブダビ」で学ぶ魅力
7つの首長国からなる連邦国家「アラブ首長国連邦」は、アブダビとドバイの2大都市(首長国)に教育特区を設け、欧米やアジアなどからの37もの高等教育機関がブランチキャンパス(分校)を開校しています。
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政治的中心地でもある首都「アブダビ」には、米国のニューヨーク大学やマサチューセッツ工科大学、フランスのソルボンヌ大学などトップ大学がキャンパスを構えています。
■中東でリベラルアーツを学ぶ「ニューヨーク大学アブダビ」
米国の私大「ニューヨーク大学」アブダビ(New York University Abu Dhabi)は、「中東のリベラルアーツカレッジ」として、アブダビ政府が全額を出資し、2010年に開校。4年間をかけて、社会学・サイエンス系・工学系・芸術人文学を学ぶことができます。
キャンパスは、芸術と文化の島として開発中の「サディヤット島」にあります。約1200名の学生のほとんどが全額奨学金(Full scholarship)を獲得しており、食費や生活費、留学生が自国を往復する際の航空券も大学が負担するなど、優秀な学生を集めるためのさまざまな優遇があるため、合格率は約4パーセントの超難関校として知られています。
- 出願要件:高校卒業資格、SATやACTのスコア、英語能力試験のスコア(TOEFL iBT/75もしくはIELTS/7.0以上)
- 学費:年間4万9256ドル(寮費などを含めると7万9706ドル)
- 出願締切:早期出願/2018年11月1日、通常出願/2019年1月1日
■フランス語で学びたいなら「ソルボンヌ大学アブダビ」
「ソルボンヌ大学」アブダビ(Paris-Sorbonne University Abu Dhabi)は、2006年に開校。「アル・リーム島」の中心に位置する広大なキャンパスでは、中東や北アフリカを中心とする世界からの学生たちが学んでいます。人文社会科学系の学部・大学院プログラムを提供しており、授業はフランス語で行われます。学部課程は3年制ですが、1年間のフランス語学集中コースも用意しています。
- 出願要件:高校卒業資格、フランス語テストでB2レベル以上(DELF、TEF、TCFまたはSELFEE)、英語能力試験のスコア(TOEFL iBT/61またはIELTS/5.0)
- 学費:学部プログラム(3年間)/5万6408ドル、フランス語集中コース(1年間)/1万2534ドル
- 出願締切:10月中旬〜12月中旬
UAE「ドバイ」で学ぶ魅力
外資企業を積極的に呼び込んでいる国際金融都市「ドバイ」は、人気のアラビアン・リゾートであり、また住民の8割以上が外国人というグローバルな環境であることから、生活のさまざまなシーンで英語が使われています。
2006年にオープンした特区「Dubai International Academic City」(DIAC)には、英国の「エクセター大学 The University of Exeter」「ブラッドフォード大学 The University of Bradford」「ロンドン・ビジネス・スクール London Business School」などが進出。9ヵ国の20大学がキャンパスを持ち、約2万4000名の学生が学んでいます。
■英国式教育でビジネスを中東で学ぶ「ミドルセックス大学ドバイ」
DIACにキャンパスがある、イギリス北部の「ミドルセックス大学」(Middlese University Dubai)は、ビジネス、国際関係学、法学、コンピューターサイエンスなど17の学部、3つの大学院プログラム、学部準備コースを提供。100を超える国々から3000名以上の学生が学んでいます。
- 出願要件:高校卒業資格、英語能力試験のスコア(TOEFL iBT/65もしくはIELTS/5.5以上)※日本の高校を卒業した生徒は1年間の学部準備コースの受講が必要
- 学費:学部/約1万3600ドル、学部準備コース/約1万1400ドル
- 出願時期:秋・冬入学もあるのでその都度確認
■ドバイ発英国名門ラッセルグループ「バーミンガム大学ドバイ」
2018年9月にDIACにオープンしたばかりの「バーミンガム大学 University of Birmingham Dubai」は、ビジネス、経済、コンピュータサイエンス、機械工学、初等・中等教育などの学部・大学院プログラムを提供していく予定です。
「カタール」で学ぶ魅力
UAEと同じくペルシア湾に面した「カタール」は、秋田県よりもやや小さな国土ながらも世界一裕福な国。世界最大の液化天然ガス輸出国ですが、欧米の名門大学を誘致するなど教育に投資することで、今後は「人的資源」の確保にシフトしていく見通しです。
首都・ドーハ郊外に設けられた「Education City」には、「ジョージタウン大学 Georgetown University」「カーネギーメロン大学 Carnegie Mellon University」「ノース・ウエスタン大学 Northwestern University」などの米国6大学、フランスの「HEC経営大学院 HEC Paris」、英国の「ロンドン大学 University of London」などが進出し、世界からの留学生を受け入れています。
■アラビア語で学ぶなら「カタール大学」
1973年に設立された「カタール大学 Qatar University」は、首都・ドーハ郊外に、芸術・科学、ビジネス・経済、教育、エンジニアリングなど9つのカレッジからなる公立総合大学で、約2万人の学生が学んでいます。1年間のアラビア語習得コースは、アラビア語学習を目的とした留学生に人気のプログラムとなっています。
- 出願要件:アラビア語(現代標準アラビア語)の基礎知識、高校卒業資格
- 学費:アラビア語習得コース/1学期につき約33万8000円〜(授業数により異なる)、学部/年間約184万円〜(2年次の場合、学年により異なる)
- 出願時期:秋入学は2月から出願、春入学は10月から出願開始
■中東でジャーナリズムを学ぶ「ノース・ウエスタン大学カタール」
「ノース・ウエスタン大学」は、米国のイリノイ州にある名門私立総合大学で、「US News&World Report」の米国大学ランキング2019では10位にランクイン。カタール校(Northwestern University in Qatar)は、カタール財団と提携して2007年に開校し、ジャーナリズムとコミュニケーションの学位を取得できます。
- 出願要件:高校卒業資格、SATもしくはACTのスコア、英語能力テスト(TOEFL iBT/104もしくはIELTS/7.5以上 )
- 学費:年額2万7000ドル
- 出願締切:1月1日
■政治学・国際関係学を学ぶ「ジョージタウン大学カタール」
「ジョージタウン大学 Georgetown University」は、ワシントンD.C.の近郊ジョージタウンに位置する、政治学や国際関係学で世界的に有名な私立大学。カタール校(GeorgeTown University Qatar)は、2005年に開校。文化と政治、国際経済学、国際史、国際政治が学べ、いずれも本校と同じカリキュラム・教材で授業が行われます。
- 出願要件:高校卒業資格、SATのスコア(任意)、英語能力テスト(TOEFL iBT/104もしくはIELTS/7.5以上 )
- 学費:年額5万3520ドル
- 出願締切:2月1日(秋入学)
<ブランチキャンパスの受験について>
海外大学のブランチキャンパスでは、本校と同様の学位が取得できます。また、出願・選考・入学なども本校と同時期に行われ、欧米の大学なら秋入学に向けた受験スケジュールとなります。
出願は、大学の公式サイトなどからのオンライン出願となり、アメリカやイギリス系の大学では、出願後にインタビュー(面接)が必要な場合もあります。
イスラエルで学ぶ魅力
中東のシリコンバレーとも呼ばれるイスラエルは、近年起業率やベンチャーキャピタルによる投資額も世界トップレベルの「イノベーション立国」として注目されています。
先進的な文化都市・テルアビブから北部のハイファにかけての一帯は、世界有数のテクノロジー・ハブであり、熱気に溢れた「スタートアップ・シティ」には優秀な人材が集まっています。
イスラエルにある8つの総合大学のうち、中東におけるトップ大学でもある「ヘブライ大学 Hebrew University of Jerusalem」(エルサレム)、「テルアビブ大学」「イスラエル工科大学」の3大学は、「ベンチャー起業家を育成した世界の大学トップ50※※」にランクインしています。
※※ 米国「Pitchbook社」調査による「the top 50 undergraduate programs that produce VC-backed entrepreneurs」より。2006年〜18年6月までの期間で集計。テルアビブ大学は8位、イスラエル工科大学14位、ヘブライ大学35位
なお、イスラエルの大学は、学部課程では文系は3年の専攻が多く、理系は4年間となっています。
■英語やアラビア語で学べる多彩な専攻を提供「テルアビブ大学」
「テルアビブ大学 Tel-Aviv University」は、科学、人文科学、芸術などの分野で3万人もの学生が学ぶ総合大学。通常の授業はヘブライ語で実施されますが、英語で学べる「TEL AVIV UNIVERSITY INTERNATIONAL」(TAUi)もあり、リベラルアーツ(3年)と電気・電子工学(4年)専攻があります。
- 出願要件:高校卒業資格、SATやACTのスコア、英語能力テスト(TOEFL iBT/79もしくはIELTS/6.5以上)
- 学費:TAUiリベラルアーツ専攻/年間1万1500ドル、TAUi電機・電子工学専攻/1万5000ドル(学生寮は5700ドル)
- 出願締切:秋入学は5月に締め切り
■イスラエルのMIT「イスラエル工科大学」
「イスラエル工科大学 Technion – Israel Institute of Technology」は、イスラエルのMITとも称される理系大学。工学、医学など18の学部と教育機関があり、1万4000人の学生が学んでいますが、卒業生にはノーベル賞受賞者も数多くおり、マイクロソフト、グーグル、アップル、フェイスブック、インテルなどがハンティングにくるなど優れた学生や研究者を輩出しています。授業はヘブライ語で行われますが、英語で学位が取得できる「Technion International」コースもあります。
- 出願要件:入学試験(Psychometric test overseas)に加え、SATやACTのスコアがなどが必要
- 学費:年額約1万4000ドル
- 出願締切:秋入学は5月中旬に締め切り
<中東留学 Q&A>
Q. 中東の大学に向いている人や、進学するメリット、学ぶべきことがあれば教えてください
A. 中東で学ぶメリットは、中東における人的なネットワークを構築できることや、優秀な学生を集めるために教育に投資している国では、豊富な奨学金制度や恵まれた教育環境を享受できることでしょう。また、中東の大学を卒業している日本人学生は、アメリカやイギリスの大学とくらべて少ないという希少性も魅力です。
中東人脈は、社会に出たあとも中東でのビジネスや研究を進めていくうえでの強みとなります。しかし、将来中東関係の仕事や研究に携わりたくない、中東の歴史に興味がない人には「中東留学」は選択肢に入ってこないと思います。
イスラエルの大学は、起業マインドに溢れた学生が多く、スタートアップ大国でもあるため、将来同窓生が凄腕エンジニアとなる可能性もあり、テック系などで起業したい人におすすめです。また、中東でジャーナリストになりたいのであれば、アラビアのニュース専門放送局「アルジャジーラ」のおひざ元であるカタールで学ぶのもいいですね。アラブ語や英語を習得していれば取材も容易です。
Q. 中東の大学受験はどのように準備をすればいいですか?
A. 基本的には、アメリカなどと同様の準備を進めていきます。高校での成績を上げていくことが最重要ですが、留学生として大学に通うための語学力(英語、アラビア語、フランス語など)は中学からスタートし、高校2年までに出願要件を満たすペースで準備するのが理想的です。
大学ごとに学べる学問・学ぶべき言語も異なります。事前にしっかりと公式サイトで調べておきましょう。
自身の英語学習や留学経験を活かし、英語学習カウンセラーとして1万件以上のカウンセリングを担当。現在は、「Global Learning Center」(GLC)で海外大や国内国際系大学受験のための出願指導を行っています。サポートした国は、アメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、マレーシア、香港、中国、韓国、ドイツ、オランダ、フランス、アラブ首長国連邦など。
<海外大学につながる、GLCでの学び>
GLCでは、TOEFLやSAT対策だけではなく、物事の考え方や伝え方、Logical ThinkingやCritical Thinkingも学べるため、大学に進学してからも授業で発言したりレポートを作成するのにも役立ちます。また、エッセイ対策で行う自己分析や自己探究は、学問の履修の際にはもちろん、インターン、就職活動の際にも生きています。
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