庶民の味「パンミー」に挑戦してみた
マレーシアよりこんにちは!
息子のスクール選びも一段落したので、今日は ”大人の学び” 編。
近所のカルチャースクールにて「パンミー」の調理実習に参加してみました。
パンミーとは、マレーシア発祥の客家スタイルの麺料理だそうです。
中国語で書くと「板麺(ban mian)」。
板麺といえば、以前暮らしていたシンガポールでは「バンミー」「バンミェン」などと呼ばれていて、うどんに似た優しい味わいが日本人に人気でした。
きしめん風の麺を使ったシンガポール版うどん、という印象だったのですが、マレーシアのパンミーはちょっと違う雰囲気。最初は同じ料理だと気づきませんでした。
麺も手打ち自家製のこだわり
教えてくれたのは、客家出身で、ご主人様が日本人だというジョアン先生。
「客家の女性、料理うまくないとダメ」「分量あんまり気にしない!」と、少し日本語を交えながら、英語で楽しく教えてくれました。
古代中国の王族の末裔にルーツを持つといわれる漢族の一グループで、独自の言語や慣習を持つ。
中原と呼ばれた古代王朝の中心地(黄河中流周辺地域)から、戦乱に追われて南方に移ったと伝えられ、主に広東、福建、江西省の境界の山岳地に住んだ。
香港、台湾、東南アジアへの移住が多く、それぞれの地で政治家や企業家を輩出している。
中国の鄧小平、洪秀全、シンガポールの李光耀(リー・クァンユー)、台湾の李登輝なども客家出身。クアラルンプールの開拓者といわれる葉亜来(ヤップ・アー・ロイ)をはじめ、マレーシアにもたくさんの客家系著名人がいる。(コトバンク/Wikipediaより抜粋)
メニューは「スープ・パンミー」「ドライ・パンミー」と、「サンバル・ブラチャン(Sambal Belacan/チリソース)」の3種。
なんと、麺を打つところから始めるそうです!
材料はこの通り↓↓↓
板麺とは、平たくちぎった麺のこと
詳しい手順は省略しますが…
麺は小麦粉に水、塩、油を混ぜ合わせてこねる。お好みで卵を加えてもOK。
こねた生地を40〜50分寝かせた後、スープタイプのパンミーは指先でちぎって親指でへこませて平たくする。
これは片手でポンポン作れて、とっても簡単!元はこの形を「板麺」と呼んでいたらしいです。
ドライタイプは生地を麺棒で薄く伸ばして、好みの細さの麺にカット。
これを、後ほど茹でてザルにあげておきます。
「イカン・ビリス」は必需品
スープの出汁には、骨付きポーク、チキン、イカン・ビリス(ikan bilis/dried-anchovies: 干したカタクチイワシ)、ショウガを使いました。さらに、固形スープの素、塩で好みの味に仕上げます。
イカン・ビリスはあらかじめカリカリになるまで鍋で乾煎りしておきます。
これはスープストックのほか、ドライ麺のトッピングにも使います。
マレーシアの国民食「ナシ・レマッ」の付け合せにも欠かせない存在。
このままでビールのおつまみにも最高!と先生が言っていたので、さっそく家で試してみました。フライパンでカリカリに煎ってピーナツやピスタチオ、銀杏などと混ぜ合わせてもおいしいし、サラダのトッピングにもぴったり。
乾物屋やスーパーで手軽に手にはいります。
麺の上に載せるメインの具は、豚ひき肉と干ししいたけを炒めた「そぼろ」。
醤油・魚醤・オイスターソース・塩・胡椒・砂糖・カラメルソースなどで味付けをします。
これも日本人好みの味で、白いご飯に載せたり、レタスで包んで食べたり、いろいろアレンジできそう。
不思議な野菜「スイートリーフ」
そして、パンミーには、スイートリーフ(sweet leaves/ sayur manis)という葉っぱを添えるのがお決まりのスタイルだそうです。
初めて見たので調べてみると、東南アジアなど熱帯雨林原産の植物で、日本では「アマメシバ」という和名で紹介されていました。
ビタミンB、C、カロテノイド、プロテイン、カルシウムなどが豊富とされ、市場で枝付きのまま入手して、調理する直前にフレッシュな葉の部分を摘んで使うそうです。
マレーシア、インドネシア、タイなどでは古くから食用や薬用に使われている植物ですが、ダイエット食品や健康食品として流通した中国、台湾、日本などでは、過剰摂取による被害も報告されたことがあるとか…
味はこれといって特徴がなく、茹でてあれば柔らかくてクセのない、食べやすい葉っぱです。
仕上げは「サンバル・ブラチャン」
もうひとつ、東南アジア料理になくてはならないのが辛味!
サンバル・ブラチャンというチリソースを作りました。
以下の材料をブレンダーでミックスすれば出来上がりです。
- 大きな赤いチリ(それほど辛くない唐辛子)
- 小さな緑色のチリ(チリ・パディと呼ばれるものすごく辛い唐辛子)
- ブラチャン (エビの発酵食品。伝統的には固形のものを火であぶって使いますが、すぐに使えるビン詰めタイプもあります)
- 小ぶりのライム
- 塩
これで準備完了!
あとは、スープタイプとドライタイプ、それぞれにトッピングを載せて「いただきます!」
ドライ麺にはダークソヤソース(dark soya sauce)をからめてから具材を載せました。
どちらもおいしかったけれど、特にスープが何杯でも飲めてしまう味わい深さ。
ローカル食材の使い方がわかって勉強になり、おなかもいっぱいになりました。
東京生まれ。2011年より約4年間シンガポールに滞在、2015年1月よりクアラルンプール在住。翻訳者・ライター。共訳書に「メディカル ヨガ 〜ヨガの処方箋〜」(バベルプレス)、書籍「アンコールの神々 BAYON」(小学館)、WEBサイト「シンガポール経済新聞」、「シンガポールナビ」、マレーシア在住日本人向けフリーマガジン「Weekly MTown」などに記事を寄稿。グローバルエデュ 姉妹サイト「旅キッズ」で「てくてくシンガポール」を連載。