ayano(東京・T高校2年生) 国際問題・介護・教育に興味があり、さまざまな団体で活動しています。現在は学校の文化祭の委員会でチーフを務めています。将来は英語力をさらに高め、世界に通用する人になりたいです
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日中青年会議│日中から50名の高校生が参加
「日中青年会議」は、2018年7月20日(金)~26日(木)に、UWC香港校で開催された7日間のサマープログラム。
日本人20名、中国人30名(中国本土17名、香港13名)の計50名の中高生が参加しました。
このプログラムでは「自発的学習・文化交流・地域交流」に焦点をおき、参加者がお互いから学び、将来に向けた夢を共有できることを目指し、さまざまなアクティビティーやセッションを通して、未来を担う若者が日中間に存在する問題や歴史的背景を見つめ直し、考え、話し合いました。
このプログラムに参加したのには、大きくふたつの理由がありました。
- 日中問題に興味があり、実際に中国や香港が日本のことをどのように考えているのかが知りたかった
- 新しい環境に飛び込みチャレンジすることで、新しい自分や今後の課題を見極めたかった
現在の日中関係はいいとは言えませんが、1週間という短い時間でありながら、参加者同士の絆は本当に深まったと思います。
日中青年会議│応募方法について
一次選考では、オンライン応募フォームにて提出したエッセイが審査されました。
エッセイは、英語と日本語で自分の意見や日中問題について考えていることなどを書きました。
一次選考を経て、二次選考ではスカイプを使ってオーガナイザーと面接をしました。ここでも英語、日本語でそれぞれ設問がありました。
このプログラムでは、選考が2回に渡って実施されます。
1回目の締め切りは3月初旬、2回目は5月初旬でしたが、私は1回目の募集で合格しました。4月上旬に参加が決まったことから、夏休みに参加したい他のプログラム日程などを調整することができました。
日中青年会議│事前に理解を深めておいた「日中問題」
プログラムに参加する前に、主催者から事前課題と課題図書一覧が渡されます。
事前課題は、google docsで参加者と情報共有しながら作成したり、個別にエッセイを書いたりしました。
課題図書は日中問題に関する知識を深めるためのもので、この事前課題と読書をしていなかったら、実際にプログラムに参加しても知識不足のまま終わっていたと思います。
私は、日本人としてプログラムに参加するうえで、日中問題のある程度の流れ、それに対する自分の考えをまとめておきました。
中国・香港から参加した生徒も自分の国について勉強しており、知識も豊富な子が本当に多かったです。
歴史の背景などはすべて英語での説明となるため、あらかじめ勉強していくことをおすすめします。
日中青年会議│相互の歴史や文化について知った7日間
香港で実施されたプログラムでは、文化・メディアリテラシー・歴史・コンフリクトマネジメントなどをテーマとしたセッションがオーガナイザーによって行われました。
それぞれ5〜10人程度のグループにわかれ、ディスカッションをしたりスピーチをしたり、ゲームをしたりしました。
私は、文化セッションでやった「ドラゴンダンス」と、歴史セッションで「日中の歴史教科書の比較」をしたことがとくに心に残っています。
ドラゴンダンスは中国の伝統的な踊りで、グループでひとつの大きな龍を操ります。
写真などで見るのとは違い、迫力がありました。中国や香港の参加者もはじめてやる子が多く、短い時間で協力してひとつの作品を作り上げる楽しさを学びました。
歴史セッションでは、日本・中国・香港の歴史教科書で「南京大虐殺」についての記述があるページを比較する機会がありました。
南京大虐殺は、一般的に旧日本軍が南京を占領した後、民間人を含めて多くの人々を虐殺した事件と知られています。
しかし、日本では「捏造だったのではないか」「証拠がない」といった説や書籍も存在し、日本と中国で主張が異なることも事実です。
中国の教科書には、刑の種類や写真などが載せられているのに対して、日本の教科書にはそのような写真はいっさいありません。
これは他の出来事にも共通するかもしれませんが、日本はそういった悲しい出来事や辛い写真をあまり多く掲載しないように感じます。
これに対し、香港の教科書はもっとも中立的な記述となっていました。
教科書が日中間でこんなにも違うことに驚き、今後関係を改善していく上でお互いのイメージの悪化にもつながると考えました。
中国人の友達も、日本で南京大虐殺自体に疑いを持つ人がいることに衝撃を受けていました。
日中青年会議│歴史を乗り越える困難さも実感
最後は「Peace Initiative」という、この7日間の集大成として「平和」を香港の人々に発信していく活動がありました。
私たちは、フリーハグや署名集め、多言語で書かれたPEACEの文字の色塗りなどのアクションをショッピングセンターの前で行いましたが、そのなかで、お年寄りから日本式の敬礼をされたことが忘れられません。
戦後70年以上たった現在も、「ひとりの高校生」ではなく戦争と切り離すことのない「日本人」として見られていることを実感し、悲しい気持ちになりました。
ほかにも、日本人の参加者がゴミを投げられたり、中国人の参加者に対して「なぜ日本人とこんな活動をしているのだ」と声をかけたりと、辛いこともたくさんありました。
そんななか、参加者同士で助け合い、励まし合いながら活動をしました。
この活動を通して、「〇〇人」というレッテルを貼らずに、偏見を減らしていく世の中にしたいと感じました。
日中青年会議│対話を重ねて理解することの大切さを学ぶ
このプログラムは、7日間という短い時間ではありましたが、自分を大きく成長させてくれました。
たとえバックグラウンドは違っても、会話をしていくなかで互いを理解する大切さ、素晴らしさを学びました。
知識・能力・英語力の不足から、自信を失ったことは数え切れません。
しかし、同時に仲間と切磋琢磨して深く考える情熱を得ることができました。
日中関係は、今後若い世代が中心となって解決の道を図るべきだと感じています。
そして、これからは批判的に、そして柔軟に社会で起こっている事象を見ようと思いました。
「平和」を実現するのは簡単ではなく、たくさんの壁にぶつかることでしょう。
しかし、私たちが今回行ったプロモーションのように、少しずつその輪を広げていくことが将来的な平和へとつながっていくと思いました。
意識の高い仲間から刺激を受けたこの夏を、将来にどのように生かしていくかーーこれが私の最大の課題です。
日本と中国の架け橋となるような存在になりたいと、強く思いました。