ルワンダ親子留学 | なぜルワンダに留学したのか
「千の丘の国」と呼ばれ、どこまでも美しい緑の景色が広がるルワンダ。
子どもたちが通う「エイコーンズ・インターナショナル・スクール Acorns International School」は、首都キガリの大通りから逸れた静かなエリアにあります。
2才児のデイケアからナーサリ、キンダーガーデン、小学校(Primary)、中高(Secondary)までひとつの敷地内にあり、総勢320名ほどの生徒が通っています(2024年6月現在)。
エイコーンズの創立者はインド人、校長はパキスタン人のためか西アジア系の生徒が多い印象がありますが、ルワンダをはじめアフリカ、中東、ヨーロッパ、カナダ、アメリカ系など32ヵ国からの国の生徒が在籍しているようです。編入後に知りましたが、日本人ハーフの子もいます。
ここに集う生徒たちは、わたしの知る限りですが大使館、国際協力機関をはじめ、大学、医療機関、ホテル、民間企業などさまざまです。
わが家は、わたしも夫も独身時代にアフリカの別の国に住んでいたことがあり、ニュースなどではわからないリアルなアフリカを経験してほしいという思いが、ルワンダで親子留学している理由のひとつです。
また、アフリカのなかでもルワンダは治安が良く、英語、フランス語をはじめさまざまな言語を話す人と出会えることも魅力的だと感じています。
ルワンダの公用語について
首都ではルワンダ人でも英語かフランス語を話せる人が多いです(政治的背景から年配の人ほどフランス語が堪能な人が多いと思います)。普段の生活ではお店やタクシーなどでも大体英語でコミュニケーションが取れます。
しかし、いったん首都を出ると状況はガラッと変わり、省庁やリゾート地などのスタッフを除くと英語はあまり通じず、ルワンダ語が必須になるようです。
ルワンダ親子留学データ
子どもの年齢 | 息子12才、娘9才 |
留学先 | ルワンダ(首都キガリ) |
学校名 | エイコーンズ・インターナショナル・スクール(KG 375 St, Kigali, Ruwanda) |
期間 | 2024年1月〜(最短でも2026年くらいまで) |
子どもの英語レベル | 息子/英検4級程度、娘/ほぼゼロからのスタート |
留学コスト | 1年間の学費は1〜3年生5175ドル、4〜6年生は5340ドル(兄弟割引は10%)。習い事は、スイミング、ダンス、空手、テコンドーなど、1回1,500円前後程度 |
ルワンダ親子留学 | 学校選びのポイントは?
キガリのインターナショナルスクールは、Googleで検索すると30校以上出てきますが、実際に名前を耳にする学校は10校前後という印象です。
エイコーンズはケンブリッジ式カリキュラムを採用していますが、ほかにもIB(国際バカロレア)やモンテッソーリ教育、 フランス語重視の教育のほか、ACSI(国際クリスチャン学校協会)認可校でのカリキュラムなどが挙げられます。
じつのところ、学校選びは移住前からルワンダに住んでいる日本人親子に話を聞いたりして、3校くらいで悩んでいました。
手続きなどもあるので移住前に学校を決めましたが、現地を見学する機会がなかったため、インターネットで情報を集めました。
エイコーンズは、他校とくらべてSNSでもひんぱんに写真が上がっており、スポーツやファッションショーなど、勉強以外のことも積極的に取り入れている様子が感じられたのが決め手のひとつとなっています。
学費について
1年間の学費は1〜3年生5175ドル、4〜6年生は5340ドル(兄弟割引は10%)。
物価はここ数年で一気に上がってきているようで、食費(外食は日本並み)、交通費などは日本よりまだまだ安いですが、首都の家賃は日本の大都市くらいかそれ以上のところもあります。
ルワンダ親子留学 | エイコーンズ・インターナショナルスクールで学ぶ
エイコーンズは1学年1クラス制で、1クラスはだいたい15人前後と少人数なので、先生との距離が近くアットホームな雰囲気です。
アカデミックイヤーについて
新学期は9月スタートで、3学期制。カリキュラムは、ケンブリッジ式に独自のプログラムが加えられています。
英語教育について
英語教育に関しては、授業料がほぼ無料に近いルワンダの公立小学校でも基本的に授業は英語で行われており、科目もインターナショナルスクールとそれほど変わらないようです。
が、生徒が午前と午後で入れ替え制、1クラス70〜80人…という状況も当たり前で、子どもたちが授業についていくのが困難な状況のよう
いっぽう、インターは少人数制を採用しており、エイコーンズでは3年生までは副担任もいるため、英語力ゼロだった娘は基本的にいつも副担任が隣についてサポートしてくれていました。
英語力が不足している生徒には英語の特別授業が行われ、個々のレベルに合わせて通常授業についていけるようにするための学習機会があります。
ケンブリッジ式のためイギリス英語が主流という点が少し気に掛かっていましたが、実際に編入してみると娘の担任がアメリカ人だったり、息子のクラスにアメリカ人生徒がいたり、教師陣の出身もさまざまなことがわかり、「イギリス英語なのかアメリカ英語なのか」ということはあまり気にする必要はなかったことがわかりました。
授業で使用される言語
基本的に授業は英語で行われますが、フランス語や現地語であるルワンダ語の授業はそれぞれの言語で進められるようで、子どもたちは少し苦戦しています。
英語、フランス語、ルワンダ語、数学、理科、体育、音楽、美術、ICT以外にも家庭科やGlobal Perspectiveなどの授業があり、教科ごとに専門の先生がいます。
全校生徒が縦割の4グループで過ごす
学校の特色として、ハリーポッターの組わけのように学年ではなく全生徒をランダムにWater、Air、Fire、Earthという4グループにわけ、運動会などの行事や、宿題提出など日常生活態度をポイント化して1年間で順位を競うシステムがあります。
縦のつながりもできるので、学年を超えた助け合いの精神が育まれるているのを感じます
ルワンダ親子留学 | 入学手続きについて
入学が決まったら、まずはデポジットを支払います(ひとり目は400ドル、2人目以降は350ドル)。
提出する書類
前年度の成績表(英語に翻訳し、原本のコピーと共に提出)、パスポートのコピー、出生証明書、予防接種歴(母子手帳の必要箇所のコピーと翻訳で大丈夫です)を送る必要がありますが、メールの添付で大丈夫でした。
また、編入に際して学力試験を受ける必要がありますが、時期については融通が効き、わが家の場合はルワンダに引越してから都合のいい日時を決めて試験を受け、その翌日さっそく通学開始となりました。
ルワンダ親子留学 | 毎日の学校生活やアクティビティ
エイコーンズでは、ケンブリッジ式カリキュラムに即した内容の授業が提供され、中学生からはIGCSEに対応したカリキュラムとなっています。
毎日のスケジュール
学校は通常、朝8時〜夕方3時半までですが、金曜日は12時半で終了します。
給食は日替わりで、主食はお米、パン、パスタ、ポテトなどさまざま。
気候に恵まれているルワンダでは、年中ほどよい気温のため、水泳の授業は1年中あります。
休み時間はドッジボールやサッカー、鬼ごっこ、チェスなどでお友達と楽しく遊んでいるようです。
週に2回クラブ活動の時間もあり、バスケットボール、サッカー、伝統舞踊、アート、そろばんなど多様なアクティビティから選べます。
毎週水曜日の放課後は保護者がクラスに入れるルールがあり、気になることや質問があればその機会に担任や専門の先生と話すことができます。
豊富なアクティビティを用意
インターナショナルスクールと聞くと勉強第一というイメージでしたが、エイコーンズでは運動会や空港見学、アートワークショップなど、とにかくイベントが多いというのが少し意外で嬉しい点でした。
宿題は、ルワンダの他のインターナショナルスクールにくらべて多めのようです。
日本の学校との違い
エイコーンズでは、掃除当番がないことに最初子どもたちは驚いていました。
毎日好きなおやつを持っていき、誕生日にはケーキを持ち込んでみんなでお祝いすることもあるようです。
夏休みの過ごし方
子どもたちは約2ヵ月半の長い夏休みの間、首都にあるコーディング系スクールのサマープログラムに参加したり、わたしがボランティア活動をしている現地NPOで職業訓練中の女性たちから伝統工芸のカゴ編みを教わったりして、普段なかなかできないことに取り組んでいます。
ルワンダ親子留学 | アフリカで逞しく成長する子どもたち
算数好きの息子12才
算数が大好きで、日本では市の算数大会でグループ優勝を果たしたこともある息子でしたが、エイコーンズでの最初の試験では英語の質問の意味がわからず、なんと算数の正答率は3分の1以下……
どうなることやら、と心配でしたが、本人は語学という新しいチャレンジをむしろ楽しんでいるようで、数ヵ月であっという間に授業に追いつけるようになっていました
そして夏休み前の卒業式にはクラスみんなでミュージカル「ハミルトン」の一部を披露!
歌詞が多いし早いしで暗記に苦労していましたが、たくさん練習した甲斐あって、みんな役になりきっていてお見事でした!
英語ゼロからスタートした9才の娘
娘は、最初のころ、毎朝登校前に大泣きしていましたが、ハグ文化のあるルワンダでは何かあると先生やお友達がいつも取り囲んでハグしてくれます。
言葉が理解できなくて困ったときは、お友達も絵で表したり、ていねいに何度も教えてくれていました。
そんな娘も英語の特別授業でフォニックスから基礎をしっかり教わったおかげで知らない単語でも読めるようになり、いまでは図書館で新しい本を借りて自分で読めるのが嬉しそうです。
少しずつ英語でコミュニケーションが取れるようになり、いまでは楽しく学校に通っています
首都はインターネット環境も良好なので、週末には前の学校の日本のお友達と何時間もビデオチャットするときもあり、離れていても寂しく感じていないようです。
ルワンダでの留学生活をまとめてみると…
行事のお知らせが来るのが遅いなど困ることはありますが、祝日が前日の真夜中に決まるようなお国柄なので、いちいち気にしていられません(笑)。
規模が小さめの学校ではありますが、どの先生もとても親切で生徒ひとり一人のことをよく見てくれているので、安心して子どもたちを送り出すことができます。
安全で住みやすい国に進化しているルワンダ
日本からほど遠く、大虐殺という暗い過去をもつ国…ルワンダといえばそんなイメージしかありませんでしたが、現在ではICT産業や女性の社会進出に力を入れており、アフリカのなかでもとくに安全で住みやすい国へと成長しています。
ルワンダでの交流について
歴史的背景も関係しているのか、ルワンダ人は少しシャイな印象がありますが、基本的にみんな親切で陽気です。
行くまではどんな暮らしになるのか想像さえできなかったけど、一緒に笑い合ったり、ときには喧嘩したり、人種や文化が違っても人間の本質は一緒なんだなと身をもって実感できたことは、子どもたちのこれからの人生にとってかけがえのない経験だと思います。
子どもたちの変化について
エイコーンズに編入して約半年が経ちましたが、子どもたちはようやく英語に慣れてきて、家でも少しずつ英語で会話するようになってきたところです。
フランス語も、現在は大学で第二言語として学んだわたしと同じくらいのレベルです。
夫の仕事の関係であと2年弱はルワンダにいる予定なので何よりも健康第一ですが、残りのルワンダ生活では勉強に、課外活動に、好奇心の赴くままにエネルギーを注いでいってほしいと思います。
文と写真提供/Iさん