豊富なインターナショナルスクールの選択肢があるタイ。25年以上の実績を持つ英国名門校の姉妹校などもある、魅力的な留学先です
タイのインターナショナルスクール2024 | 160校ものインターがあるタイ
タイ国内には、全部で18都市にトータル160校以上のインターナショナルスクールがあり、それぞれが異なるカリキュラムや学校規模を有しており選択肢は豊富です。
しかし、くわしくは後述しますが、約90校が集中する首都バンコクをはじめ、複数のインターナショナルスクールが所在するエリアはある程度は限られてきます。
カリキュラムについては、英国式とアメリカ式を主体とする学校がもっとも多く、比率としては下回りますが、国際バカロレア(IB)や米英以外のナショナルカリキュラムを採用するケースも見られます。
もちろん、英国式およびアメリカ式、国際バカロレア(IB)などは生徒の包括的スキルを伸ばし、世界中の大学への扉を開く教育プログラム。
優秀な成績を収めれば、タイのインターナショナルスクールから、世界トップ大学への進学を実現することは十分に可能です
タイのインターナショナルスクール2024 | 何が違うのか?見極めのポイント
インターナショナルスクールを比較する際には、以下の8つのポイントに注目するとバランスのいい視点で比較できるでしょう。
まずは、それぞれの項目について、タイのインター事情を踏まえながら紹介していきます。
- ロケーション
- カリキュラム
- 伝統の有無
- 生徒の特徴(在籍数・国籍比率・多様性)
- キャンパス規模・設備
- 学費
- アカデミックスケジュール
- ボーディング(学生寮)
タイのインターナショナルスクール2024 | 半数以上がバンコクに集中
タイのインターナショナルスクールの半数以上、約55%は首都のバンコク付近に集まっています。
インターがひしめき合うスクンビット地区
そのバンコクのなかでも、日本人や欧米人の駐在員が多く住むスクンビットが、もっともインターナショナルスクールがひしめき合うエリアです。
同時に、スクンビット周辺に集まる学校は、総じて都会的な環境下にあると捉えることができます。
いっぽう、バンコク郊外エリアに立地する学校も少なくなく、その周辺はローカル色の強い住宅街が形成される傾向にあります。
パタヤ、プーケット、チェンマイ
そして、バンコク以外に複数のインターナショナルスクールが集まる代表エリアは、パタヤ、プーケット、チェンマイの3都市です。
パタヤとプーケットは世界有数のビーチリゾートで、美しい海や自然に囲まれた環境で学びたい人に向いています。
ただし、学校によっては内陸寄りに立地するケースもあり、なからずしも海の近くとは限らないのが実情です。
残るチェンマイは、タイ北部の山岳エリアに位置するタイ第二の都市です。
古くより栄えたこの地は、建築や工芸など文化的価値も高いことから観光地としても人気があります。
バンコクのように大型な都市ではありませんが、インターナショナルスクール数が多く、比較的安い授業料で通えるのもメリットです。
タイのインターナショナルスクール2024 | どんなカリキュラムがあるの?
タイのインターナショナルスクールでは、英国式またはアメリカ式のカリキュラムを採用するケースが多いですが、英国式については最終2学年のみ国際バカロレア(IB)DPに取り組むパターンも少なくありません。
英国式(ケンブリッジ式)カリキュラム
Primary School(6年間)とSecondary School(5年間)を合わせた11年間が英国式の義務教育に該当し、11年生の修了試験を経て国際資格IGCSEを取得。
IGCSE取得後は、大学のファウンデーションコース(大学準備コース)に進むか、Year 12~13にかけてAレベル資格を取得することで大学入学資格を手にします。
他の国際カリキュラムと比べると、特定科目を集中して学べる傾向があるほか、評価プロセスにおいて期末試験結果が重視されるのが特徴です。
アメリカ式カリキュラム
小学校6年間、中学校と高校が各3年間と、日本と同一の学年設定が採用されています。
英国式IGCSEのようなカリキュラム修了試験がないため、時間的なゆとりとともに、より自主的に学べる側面が強いと考えられています。
その分、同じアメリカ式でも、学校によってカリキュラム内容に違いが生じやすいのも特徴です。必須ではありませんが、大学進学を目指す生徒の大半はSATやACTなどの共通試験を受験。
共通試験だけで合否が決まるというより、高得点を取得することで、入試時に加点評価として扱われるケースが多いです。
その他のカリキュラム
国際バカロレア(IB)の採用例として、IGCSE受験後の12~13年生で国際バカロレア(IB)DPを履修するケースが目立ちます。
この国際バカロレア(IB)DPでは、試験科目も幅広く、課外活動やエッセイ作成など中長期的な課題も多いことから、日頃からタイトな学習スケジュールに追われる傾向にあります。
その他は、コースワーク(平常点)の比重も高いオーストラリア式や、科目別でシンガポール式を採用しているスクールもあります。
タイのボーディングスクール2024 | 生徒の特徴や学費は?
伝統の有無
タイでは、20世紀から続く老舗校から新設校まで、新旧さまざまなインターナショナルスクールが勢揃い。
タイ国内の歴史は浅くても、ザ・ナインに代表される英国名門の姉妹校として設立され、500年近い教育エッセンスを継いでいるインターもあります。
総じて長年実績を積んできたスクールは、独自色のわかりやすさや信頼度の観点から人気が高く、入学難易度が上がっているケースも確認されます。
また、新設校の場合は、最新のハイテク設備の下で学べるほか、比較的入学しやすい一面もメリットです。
生徒の特徴
生徒構成は、地元タイの学生が最多数を占める学校がほとんどです。
しかし、タイ人には中国系など多民族が混ざり合うことから、地元学生が多数派だとしてもインターらしい多様性のある雰囲気を体感できるはずです。
また、イギリス式のインターであればイギリス人、アメリカ式のインターであればアメリカ人の留学生比率が高い傾向にあります。
基本的に日本人生徒数は少なく、5パーセント前後にとどまるケースが大半です
こうした一般的傾向に加えて、その時々の国際状況によって、生徒の構成事情は大きく変動します。
たとえば、2023年後半はタイに入国するロシア人が急増し、その影響からロシア人留学生数が大幅に増えたケースもあります。
キャンパス規模・設備
生徒数500名を下回る小規模校から2000名近くが在籍する大規模校まで、タイには幅広い規模感のインターが揃っています。
敷地面積は、バンコク以外の都市の方が広々とした傾向にあり、バンコクであれば総じて郊外エリアの方がキャンパス規模は大きいです。
大型キャンパスのスクールは、ボート競技用の湖などスポーツ施設の充実ぶりが際立っています。
また、キャンパスが広ければ、かならずしも生徒数が多いわけではなく、都市型立地のほうが面積当たりの生徒数は多いでしょう。
学費
タイに限ったことではありませんが、近年の世界経済状況や円安もあり、学費が年々上昇傾向にあるのは確かです。
また、学校によって授業料の差も大きく、大学進学に相応しい質を求めるなら年間40万~50万バーツ(約160万円~200万円)以上は想定すべきでしょう。
学費設定が高い学校では、年間100万バーツ(約400万円)を超えるケースも見られます。
年齢別では、幼稚園から学年カテゴリ―に応じて学費は上がり、幼稚園とIGCSE以降の高学年を比べると、年間あたり100万円~200万円程度の違いがあります。
アカデミックスケジュール
タイでは、8月~6月にかけての3学期制を採用するスクールがほとんどです。
8月中旬以降からのスタートが大半ですが、一部8月上旬を起点とするパターンもあります。
基本的に通年出願できるものの、英国式IGCSE(Year 10~11)は2年間コースのため、11年生から入学できないなど制約もあるので注意
ボーディング(学生寮)の有無
学生寮を備えたインターナショナルスクールも多く、小学校中学年を目処に入寮できるケースが一般的です。
また、フルボーディングに限らず、平日/週のみ滞在するオプション(Weekly Boarding)も選べることから、地元学生が寄宿生として学ぶケースも考えられます。
さらに、週3日程度滞在するPart Boardingを申し込める学校もあり、数日間の寄宿生活体験にも活用できるでしょう。
タイのボーディングスクール2024 | 注目の5校を比較!
ここからは、日本からタイに単身留学でき、編入にもおすすめなボーディングスクール5校を紹介していきます。
Rugby School Thailand(ラグビースクール・タイランド)
ロケーション | パタヤ内陸部(7/2 Moo 2, Khao Mai Kaew, Bang Lamung Chonburi 20150) |
カリキュラム | 英国式カリキュラム一貫教育(IGCSE、A Level含む) |
設立年 | 2017年 |
生徒の特徴 | 地元学生と海外留学生が概ね1:1、日本人生徒は少なく、英国人生徒率がやや高い |
生徒数・規模感 | 生徒数約1000名、敷地面積はかなり広大(80エーカー) |
学費 | 約200万円~370万円 |
アカデミックスケジュール | 3学期制 (2024年8月27日~2025年6月27日) |
ボーディング制 | あり(10才以上) |
ラグビースクール・タイランドは、ハロウ・バンコクと同じく、英国名門ザ・ナインの姉妹校に位置付けられるハイブランド校。
設立年は2017年と、タイ国内での歴史はまだ日が浅い状態にあります。
立地はパタヤに分類されますが、東方内陸部に入り込んでいるため、ビーチリゾートが身近な環境ではなく、緑に囲まれた田舎エリアにキャンパスは広がっています。
さらに、英国式一貫教育のため、卒業生の進路は英国の大学に偏りがちです。
学費設定は高いものの、類似点の多いハロウ・バンコクにくらべればある程度は安くなっています。
British International School Phuket-BISP(ブリティッシュインターナショナルスクール・プーケット)
ロケーション | プーケット(59 Moo 2, Thepkrasattri Road, Koh Kaew, 83100 Phuket) |
カリキュラム | Early Years~11年生:英国式カリキュラム Senior School(12~13年生):IBDP |
設立年 | 1996年 |
生徒の特徴 | 2024年時点ロシア人留学生20%以上、次点タイ出身学生 |
生徒数・規模感 | 約1100名、敷地面積は広大(44エーカー) |
学費 | 180万円~350万円/年 |
アカデミックスケジュール | 3学期制 (2024年8月19日~2025年6月20日) |
ボーディング制 | あり(8才以上) |
英国式(IGCSEまで)+IBDPというバランス型のカリキュラムを設ける、プーケットを代表する老舗インターナショナルスクール。
2024年現在、ロシア人生徒が急増中で、地元学生を凌ぐ2割を占めています。
ロシアからのタイ訪問客増加は、一般の時事ニュースでも報じられていますが、タイを代表する常夏リゾートという(ロシアとは対極の)地理的条件も重なり、生徒構成に顕著な変化が表れているようです。
卒業生は、世界中の幅広い大学に進学実績を残していますが、とくに英国と北米圏の大学に進む事例が目立っています。
KIS International School Reignwood Park(KISインターナショナルスクール レインウッドパーク)
ロケーション | バンコク北方に隣接する郊外エリア(888 99, Lam Sai, Lam Luk Ka District, Pathum Thani) |
カリキュラム | 国際バカロレア:PYP~MYP (DP/CPは導入予定) |
設立年 | 2024年 |
生徒の特徴 | 新規開校のため不明 |
規模感 | 敷地面積はかなり広大(60エーカー) |
学費 | 約260万円~390万円 |
アカデミックスケジュール | 3学期制 (2024年8月8日~2025年6月13日) |
ボーディング制 | あり(9才以上) |
2024年より新規開校を迎える、広大なキャンパスにハイクラスな施設設備を備えたIB候補校。
2024年度は、9年生が最上級生となりますが、11~12年生に相当するIBDPやIBCPも数年後にはスタートする見通しです。
バンコク圏には数多くのインターがありますが、Early Yearsから一貫したフルIB教育を扱うのはKISが初となり、本年からタイのインター志望生にとっては注目の選択肢が加わります。
不確定要素のある新規校は不安を感じるかもしれませんが、KISの場合、バンコク中心部で25年以上IB教育を提供してきた十分な実績があり、姉妹校のKIS Reignwood Parkにも確かな信頼を寄せることができるでしょう。
Harrow International School Bangkok(ハロウインターナショナルスクール・バンコク)
ロケーション | バンコク北部(45 Soi Kosumruamchai 14 Kosumruamchai Rd Don Mueang Subdistrict Don Mueang District Bangkok 10210) |
カリキュラム | 英国式カリキュラム一貫教育(IGCSE、A Level含む) |
設立年 | 1998年 |
生徒の特徴 | タイ出身学生が最多数、日本人生徒は少数 |
生徒数・規模感 | 在校生多数(約1600名)、敷地面積は広め(35エーカー) |
学費 | 約230万円~400万円 |
アカデミックスケジュール | 3学期制 (2024年8月22日~2025年6月27日) |
ボーディング制 | あり(9才以上) |
英国名門ザ・ナインの姉妹校でありつつ、タイでも約25年の実績を積み上げてきたネームバリューと実力を兼ね備えた人気校。
2024年時点では、かなりハイレベルな進学校として地位を築いており、入学するにはどうしてもハードルが高いのが実情です。
また、タイのインターナショナルスクールの中では授業料も明らかに高額な部類に入ります。
そのぶん、進学実績も他校より抜けている印象があり、英語力や学力が高水準かつ、学費もカバーできる場合は有力な選択肢になるでしょう。
Regent‘s International School Bangkok(リージェントインターナショナルスクール・バンコク)
ロケーション | バンコク(601/99 Pracha Uthit Rd, Khwaeng Wang Thonglang, Khet Wang Thonglang, Bangkok 10310) |
カリキュラム | Early Years~11年生:英国式カリキュラム 12~13年生:IBDP |
設立年 | 1999年 |
生徒の特徴 | タイ出身学生が最多数、次点は英国人・中国人留学生 |
生徒数・規模感 | 約650名、敷地面積は中規模 |
学費 | 約160万円~290万円/年 |
アカデミックスケジュール | 3学期制 (2023年8月21日~2024年6月21日) |
ボーディング制 | あり(男子7才~、女子10才~) |
リージェントインターナショナルスクール・バンコクは、基本的にBISPと同一カリキュラムを採用し、同じく20年を超える長年の教育キャリアを有した実力校です。
今回紹介する5校の中では、もっともバンコク中心部寄りにキャンパスを構えています。
男子生徒であれば、低年齢(7才)からでも入寮が認められ、学費も安いとは言えないものの、他校よりリーズナブルな設定が好印象です。
進路も英国に偏り過ぎることなく、北米圏のトップ大学にも一定数の卒業生が進学を決めています。
タイのボーディングスクール2024 | 自分にあったスクールの選び方
今回紹介した5校は、それぞれメリットは異なりますが、現実問題としては学費や志望大学、カリキュラムとの相性などを重視して絞り込むのがおすすめです。
まず、学費を抑えることを何より優先すべき場合は、リージェントインターナショナルスクール・バンコクが最有力です。
同校は、進学先の地域バランスやIGCSE+IBDPというカリキュラム構成が示すように、何かが突出しているのではなく、生徒の多様な事情に対応可能なところが魅力。
そして、1点集中ではなく、幅広いジャンルの学習をこなすのが得意という場合は、IBプログラムが好相性な可能性があります。
その点、KIS Reignwood Parkは、貴重なフルIBを採用する学校であり、新規開校する現状のタイミングなら入学難易度は低いはずです。
志望大学が英国方面に絞られている場合、そして特定の科目を深掘りするのが苦手でなければ、A Level試験に向けて学習するのが最善策でしょう。
これには、ハロウ・バンコクやラグビー・タイランドが該当しますが、ハロウ入学は狭き門という状況にあり、一回り学費も抑えられているラグビー・タイランドを前向きに検討するといいでしょう。