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ひより(東京都立両国高校3年生)
次世代リーダー育成道場8期生、10期生。学校では、英語ディベート部、水泳部に所属。モットーは「やらない後悔よりも、やって後悔」。将来は、法学や政治学、国際関係学を学び、よりよい社会づくりに法律や政治の観点から貢献していきたいと考えている
次世代リーダー育成道場 | 都立校生に開かれた留学のチャンス
はじめまして。「次世代リーダー育成道場」10期生として、アメリカ・インディアナ州の高校に留学中のひよりと申します。
今回は、次世代リーダー育成道場とは何なのか、高校留学とはどんな感じなのかについて、紹介していきたいと思います。
次世代リーダー育成道場とは
次世代リーダー育成道場は、東京都教育委員会によって運営されており、都立高校や付属中学、都立中等教育学校に在学する、中学3年生から高校3年生までが参加することができます。
毎年年度はじめに各校から募集がかかるので、在籍している学校を通じて応募してください。校内選考を経たのち、本選考に進むことができます。
選考について
本選考は、英語と小論文の筆記試験と、日本語、英語での面接があります。
英語は、文章を読んで、その内容についてすべて記述して回答。小論文では、800字程度で、社会問題や、リーダー像など、年度によって異なる課題が出題されます。
面接では、おもに次世代リーダー育成道場が求める人材や、留学中困ったらどのように対応するかなど、さまざまなことが質問されました。
次世代リーダー育成道場について調べ、留学中の生活を想像しておくと、安心して対応できるのかと思います。
本選考の倍率は、正確な数字はわかりませんが、そこまで高くなく、概ね1.5倍〜2.5倍ほどで推移していると思います。
プログラム内容について
留学期間は、約10ヵ月で、アメリカやカナダ、オーストラリア、ニュージーランドに留学することができます。
また、留学の前にも、月に2回ほど事前研修があり、英語研修や日本の伝統文化の見学体験、各界で活躍する社会人の講義などを受けることができます。
費用は80万円で、ほかにビザ取得費用やワクチン接種の費用などが個人負担となりますが、サポートが手厚く、安心して留学に行くことができます。
コロナ禍で豪州から米国にコース変更
当初は、10期生Aコースとして1月出発を目指していましたが、コロナ禍で2021年秋時点でオーストラリアの国境があいておらず、希望者のみ特例で北米のBコースへの変更を認められました。
もともといた10期生Aコース67人のうち、40名ほどが変更しました(結果的にオーストラリアの国境が開き、Aコースは3月に出発していました)。
なお、私は新型コロナウイルス感染拡大前の、次世代リーダー育成道場8期生にも在籍していましたが、そのときは11月に確定していたと思います。
次世代リーダー育成道場 | 応募した理由
次世代リーダー育成道場に参加した最初のきっかけとなったのは、中学2年生のときに中学3年生の先輩から「高校留学する」という話を聞いたことでした。
そのときまで、私は日本でずっと生活するものだと思っていたので「こんな方法があるんだ」「日本だけにこだわる必要もないのか」と世界が広がった気がしました。
また、大学で専攻を決めるまえに「広い視野をもって世界を見ておきたい」と思い、高校留学をすることを決めました。
私は、附属中学校から高校受験なしで都立高校に進学したので、あまり深く考えることなく、可能性があるなら挑戦してみようと思い、次世代リーダー育成道場に応募しました
次世代リーダー育成道場 | 事前研修について
私は、2021年7月に10期生に選ばれ、2022年8月に留学に出発したため、1年ほどの準備期間がありました。その間、次世代リーダー育成道場の研修としてやったこと、自分で取り組んだことを紹介します。
次世代リーダー育成道場では、月に2回ほど「東京都教職員研修センター」に赴き、同期の研修生たちと研修を受けました。
具体的には、日本と留学先国との関係を重視した近現代史、実践的な英語の学習、日本の伝統文化や最先端技術について学習しました。
自分の興味を深掘りする「ゼミナール研究」
また、次世代リーダー育成道場の特徴として「ゼミナール研究」というものがあります。
これは、自分の興味のある分野で、現代社会の課題を留学前・留学中に合わせて探究していくものです。
私は、この探究のために、参考となる本を読んだり、アンケートを実施したり、実際に当事者にインタビュー調査を行ったりしていました。
実践的な英語学習にも取り組む
個人では、引き続き英語の学習に取り組みました。
部活で行っていた英語ディベートは、英語能力の向上のみならず、論理的思考力の向上に役立ちました。大会にもときおり出場していました。
英検準1級を取得していたので、検定試験などの勉強は行わず、動画配信サイト等で海外ドラマ等を見て、生きた英語を学ぶことを心がけました。
実際に来てみると、検定試験などの学習用の英語と、日常会話の英語では大きく違うと感じます。日常会話に焦点をあてた学習をすることをおすすめします。
次世代リーダー育成道場 | 高校生活について
私は、アメリカ合衆国の中西部に位置するインディアナ州の人口2500人の町に配属されました。
配属先の学校について
2022年5月に配属先の高校、出発2週間ほど前にホストファミリーについて連絡がありました。学校は完全にランダムに選ばれ、1校につき2名まで配属されますが、学年は異なるようです。
私が通っている公立高校は、ひと学年70人ほどで、規模が小さくアットホームな雰囲気。町には高校がひとつしかなく、小学校中学校も同じ敷地内に併設されています。
そのため、ほとんどの生徒が小さいころから一緒に過ごしているため、全員が知り合いのような雰囲気が、都会から来た私には新鮮でした。
選択科目について
授業は、アメリカ史、政治経済、微分積分学、英語、音楽をとっています。
私の場合、高校を休学して留学に来ているので、自由に科目を選ぶことができました。
また、このプログラムでは何単位とるという規定はありませんが、ほとんどの場合で、すべての時間を就業で埋める必要があると思います。
アメリカでの授業の特徴
日本とアメリカの高校の大きな違いとして、課題やテストは、パソコンで行われることが多いです。
パソコンはアメリカの高校から支給されたものを使用していましたが、日本から、次世代リーダー育成道場の課題用にパソコンを持ってきてはいました。
また、授業時間内に、アウトプットや課題に取り組む時間が多くとられているのも特徴です。
授業での評価について
来る前は、オールイングリッシュの授業についていけるか不安でしたが、予習復習を徹底的に行い、ストレートAを達成することができています。
成績評価方法は、各教科、担当の先生によって異なります。
比較的、提出物の割合が大きく、期日前に提出するだけではなく、課題中の問題の正解率等も見られます。そのため、すべての課題で100パーセントをとれるように、取り組む必要があります。
また、5月にはアメリカの高校卒業資格(High Shool Diploma)ももらえる予定です。
次世代リーダー育成道場 | 課外活動も充実
課外活動については、私はスポーツが苦手だったので、スポーツをやるという選択肢はありませんでした。
ミュージカルをつくりあげる活動に参加
その代わり、学校が実施しているミュージカルに参加していました。3ヵ月の活動期間のなかで、本格的なミュージカルを作り上げていくのは本当に楽しかったです。
いろんな人とも関わりが持てて、交友関係が広まりました。やはり、何かの団体に所属することはとてもおすすめです。
プロムやホームカミングについて
アメリカの高校生活の醍醐味として、プロム(卒業を前にしたダンスパーティ)やホームカミング(卒業生たちを母校に迎えて楽しむ伝統的なイベント)があります。
私も、アメリカの雰囲気を存分に味わおうと参加しました。高校生とは思えないような華やかなドレスに身を包んで、夜中まで踊り続けます。さながら、映画の世界のようでとても胸が高鳴りました。
ゼミナール研究と私にできること
次世代リーダー育成道場生としては、引き続きゼミナール研究を行っています。
私は「若者の政治参画意識」について研究しているのですが、実際にアメリカの高校生に話を聞き、日本の高校生と比較して、政治参加意識を高めるにはどうすればいいのかについての提言をまとめています。
また、今回の留学中にトルコ、シリアで大きな地震が発生したことを受け、地震大国の日本出身として、私たちにできることを考えました。
私は、SNSに被害の状況をまとめてシェアしたり、アメリカの人たちに地震についての私の経験を話したりしました。
次世代リーダー育成道場 | キラキラ?だけではない留学生活
留学中の人のYouTubeやSNS を見ると、ほとんどがキラキラした場面ばかりです。
私もここまで、なるべくキラキラした部分だけを話してきましたが、それらは留学生活のほんの一部分を切り取っただけにすぎません。
そのため、留学生活に過度な期待をしたり、ほかの人と比較してしまったりすることなく、自分自身の留学生活を作り上げていくことが大切だと思います。
思ったよりも友達と話せなかったり、そもそも友達ができなかったり、私も最初は悩みました。
1年間の留学は長く、短いです。ゆっくりと、自分のペースで進んでいきましょう。
次世代リーダー育成道場 | 留学で得られたもの
私は、今年6月に留学を終え、両国高校に復学します。そして、日本の大学を一般で受験し、進学する予定です。
次世代リーダー育成道場のなかには、推薦で受験する人や、海外大学に進学する人もいます。
留学を通じて変化したこと
将来の目標に関しては、留学を通じて変わることはありませんでしたが、日本に対しての見方が大きく変わったと思います。
これまで海外ばかりに目を向けて、日本という存在をおろそかにしていましたが、日本人として、日本という国からできることをよく考えるようになりました。
私は、この留学を通じて、たくさんの出会いや新しいことに出会い、同時に自分自身における課題にも直面しました。
逃げ出せない時間から得られるもの
留学に対して、新たな一歩を踏み出すことに対して、不安に思ったり、戸惑ったりすることは当然だと思います。
そのなかで、自らを逃げ出すことはできない環境に置くことは、思いがけない成長をもたらしてくれると思います。
実際に行ってみないと、実際に住んでみないと、わからないことはたくさんあります。高校時代こそ、世界で自分を鍛えてみませんか。