国際認定を目指す日本の医学部
日本の大学の医学部が直面している、「2023年問題」をご存知ですか?
現在日本の医学部卒業生には、アメリカの医師国家試験「USMLE」の受験資格が与えられています。
が、2010年9月、外国の医学部卒業生に米国で医療行為を行うための資格を交付する委員会「ECFMG」(Educational Commission for Foreign Medical Graduates)が、「23年以降は『世界医学教育連盟』(WFME)に国際認定を受けた医学部出身者しか『USMLE』を受験することができない」と発表。
現状では、日本にはWFME認定大学がないことから、17年に医学部に入学(23年に卒業)する学生から、アメリカで医師になることができない(「USMLE」を受験できない)、という大きな問題に直面することになります。
今後、国際化に対応できない大学は国内での評価も下落する恐れがあるため、日本の医学部は急ピッチで国際基準への適合やグローバルスタンダードを意識した教育内容への転換を進めています。
東海大は米国式医学プログラムを導入
このような2023年問題に着手するべく、「東海大学」医学部(神奈川県伊勢原市)は、「ハワイ大学」医学部と連携し、2016年度よりハワイ医学教育プログラム「HMEP」(Hawaii Medical Education Program)を導入し、日本で初となる本格的なアメリカ式の医学教育を実践していくことを発表しました。
HMEPの特徴は下記のとおり。
- ハワイ大学医学部が、米国で臨床研修経験を持つ医師を講師として同大学に派遣。1〜3年生を対象に医学英語などの講義を日英両語で開講(日英両語)
- 1の講義を受講した学生から4年生を10〜20名程度選抜し、ハワイ大学医学部で臨床実習準備教育プログラム「HCCPP」(Hawaii Clinical Clerkship Preparation Program)を2ヵ月程度受講
- 「HCCPP」修了者は、ハワイ大学医学部が準備・提携する日本国内の臨床実習病院において米国式臨床実習を履修
HCCPP受講においては特別な学費は発生せず、ハワイでは「東海インターナショナルカレッジ」の学生寮を活用するなど、渡航費や滞在費など最小限の負担で学べるよう計画しているそうです。
HMEPを導入することで、受講生は4年次終了時点でUSMLEの「Step1」を、6年次終了後には日本の医師国家試験とともに「Step2」を受験できるレベルを目指すとしています。
なお、USMLEでは「Step3」まで合格することで医師資格が与えられることとなり、HMEPを受講してもUSMLE受験資格を得られるわけではありません。
そのため、今後東海大学はHMEPと並行するカタチで2023年までにWFME認定大学を目指し、国際的に活躍できる医師の養成に取り組んでいく予定とのことです。
【東海大学医学部「HMEP」】
- 東海大学医学部(神奈川県伊勢原市下糟屋143)
- 導入:2016年度より
- 対象:10〜20名(4年次以降)
- プログラム:1〜3年生/医学英語などの講義を日英両語で開講(日英両語)、4年生/ハワイ大学医学部における臨床実習準備教育プログラム「HCCPP」(Hawaii Clinical Clerkship Preparation Program)、「HCCPP」修了者/ハワイ大学医学部が提携する日本国内の臨床実習病院で米国式臨床実習を履修