【グローバル教育相談室18】海外では「ギフテッド」はどのように発見され教育されている?

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ギフテッド教育の可能性は?

この春、カナダ在住の14歳の日本人少年がカナダ国内のトップ大学5校に合格した、という話題をニュースで知りました。

しかも、すべての学校が返済不要の奨学金つきということで、これはうらやましい限りです。

この少年は、9歳のときにカナダで「ギフテッド(天才児)」として登録され、公費で特別な教育プログラムを受けてきたのだそうです。

このような子供はきっと日本にもいるはずですが、その存在を発見するしくみ自体が日本にはないんですよね。

これはなんだかとってももったいない気がします。

海外における「ギフテッド・チャイルド」とは、どのように発見され、どのような教育プログラムを受けることができるのでしょうか。

また、彼らが大人になったとき、このようなプログラムの成果はどのように反映され、どのような立場で社会に関わっているのでしょうか。

海外でのすばらしい成果が日本にも伝われば、日本でも同様の個性の伸ばし方を検討しはじめるのではないか、とちょっと期待しています。

個性を伸ばすための教育

ギフテッドチャイルドとは

「ギフテッド・チャイルド」とは、文字どおり「天に与えられた才能」をもつ子供たち、つまり「先天的な才能」のある子供たちと考えられています。

ギフテッドと同様に「タレンテッド」という言葉もあり、これもその名のとおりタレント性のある子供たちのことです。

ギフテッドがアカデミックな面、タレンテッドがスポーツや芸術面での才能と考えられる場合もあります。

カナダやスイス、ドイツなどのヨーロッパの国々やアメリカなどは、ギフテッド・チャイルドの特別なプログラムを用意し、その育成にとても力を入れています。

私の暮らすオーストラリアでも「ギフテッド&タレンテッド協会」というものがあり、才能をもった子供たちの教育に組織的に取り組んでいます。

どのように判定されるか

では、このような才能を子供たちは、どのように判定されるのか。

これは国や州などによって異なりますが、先天的要素が大きいため、日本では実施されることがまれな「IQテスト」を利用している場合が多いようです。

さらに、IQ以外の側面からもテストをおこない(文章理解や文章力など)、総合的に判定したり、子供たちの受賞歴や過去の作品なども参考にされる場合もあります。

ただし、ギフテッドは目に見えない能力を探るものなので判定がとても難しいことも確かで、いまだその方法を模索している状態であるともいえます。

教育プログラムについて

オーストラリアのある高校のケースでは、ギフテッドのクラスを理数特化、英語特化、総合特化(理数+英語)の3つにわけているところがあります。

ギフテッドの才能は、学問でも数学的な才能や言語的な才能、思考的な才能までさまざまなので、クラスわけしたほうが指導側にも子供にもいいわけですね。

この高校の理数特化と総合特化クラスでは、「入学日までに終了させておいてください」という手紙と一緒に、高校1年分の学習内容が収まったテキストとDVD1枚が、入学の数週間前に送らてきたそうです。

入学後の授業は、その1年ぶんの内容を習得していることを前提に行われるため、その時点で一般クラスとは1年ぶんの差がついていることになり、それを短期間で自分の力で習得できる子供たちの集まりともいえます。

ギフテッドの子供たちは「一を聞いて十を知る」能力を備えている場合が多く、基礎知識を提供し、問題意識をもたせれば、自分で伸びていく場合が多いようです。

ただ、ギフテッドの子供たちは思考のレベルが違うため、一般のクラスでは勉強がつまらなくなって授業放棄をしたり、想定を超えた思考をするため周囲の理解が十分にえられず、「学習障害なのでは?」と思われることも少なくありません。

それでは、ギフテッドの子供たちを集めた授業は相当高度な内容をガンガン行っているのかというと、あくまでも子供の伸びに合わせた教育がなされています。

せっかく才能を見出しても、育て方を誤ってつぶしてしまっては元も子もありませんよね。

また、学歴重視のアジア系のギフテッドの家庭では飛び級を好む傾向もありますが、個を重視した家庭では、子供の精神発達に合わせて飛び級を拒否したり、進級を遅らせることもあります。

ギフテッド=社会的成功ではない

ギフテッドの子供たちの高校卒業後は、高学歴や社会的に成功に直結するかというと、それはまた別の話になりそうです。

ギフテッドは社会的に貢献できる人材の育成という枠組みではなく、「個」を重視する教育のなかのひとつとして認識されています。

たとえば、身体的に不自由であった場合も、その子の「個」に合った環境を整えれば、力を伸ばしていくことができるという考え方と同じです。

「個」の重視は、「できる」と「できない」を両方受け入れることが原点になります。

日本でも、ギフテッドについての正しい認識が定着したうえで子供たちの力を伸ばす環境が整えば、生き生きと成長していけることになるでしょう。

大切なのは、指導者や親がこのような子供たちの個を理解し、「子供の能力を最大限にのばす」環境を整えていくという認識ですね。

回答者/崎田和紗子

10年前に渡豪後、現地にて日本人のための教育機関にて教育管理や学習指導に携わりながら、日本人親子の教育や精神面のサポートを行う。2013年に「国際教育支援研究所」を設立し、国際教育で生じる不安や悩みについて、保護者や子供たち、教師を対象としたサポートと親子の理想の教育を実現するためのプラン作成「教育デザイン」の指導を行っている。「崎田和紗子」の名は、6年前の誕生日に支援を受けたお礼にと子供たちからその名前の一字ずつを合わせて贈られたもの。「子供たちの未来のための仕事」という初心を忘れないために、仕事の大切なパートナーとして使用している。

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