【なるほど国際バカロレア01】日本の教育が激変…世界共通のグローバル教育プログラムとは?

国際バカロレア

「国際バカロレア」ってナニ?

最近、ニュースや教育関連のサイトを見るたびに、「国際バカロレア」というキーワードをひんぱんに目にするようになりました。

この「国際バカロレア」は、いったい何者なのか…「国際バカロレア機構」や「文科省」のサイトを調べた人も多いのではないかと思います。

海外の大学を目指すための教育プログラムらしいけれど、学習言語が英語のこのプログラムを日本人の子供が学ぶことは可能なのか?

もし、うちの子がこのプログラムで学習した場合はどうなるのか? などなど、いくつもの疑問が出てくるのではないでしょうか。

また、このプログラムで学習しなければ、これからの世の中で生きてはいけないのではないか…と強い不安を抱えている人もいるかもしれません。

それもこれも、この教育プログラムによる実態についての情報(子供たちの様子や進路結果など)が少ないために起こる不安だと思います。

そこで、国際バカロレアがすでに実施されている海外で、子供たちのサポートを行っている立場から、このプログラムの内容やこのプログラムで実際に学習している日本人の子供たちの様子について、できるだけくわしく伝えていきたいと思います。

16年以降日本で急増するIB校

「国際バカロレア」とは、スイスに本部を置く「国際バカロレア機構」(IBO)による教育プログラムです。英語では「International Baccalaureate」なので、通称「IB」と呼ばれています。

海外の多くの大学がこのプログラムの修了者を大学入学のための有資格者と見なしているので、自国を飛び出し海外の大学を目指す子供たちにとっては、大変有効な資格となります。

この「国際バカロレア」は、日本ではおもにインターナショナルスクールと一部の私立学校で実施されてきましたが、2016年度より都立国際高校や東京学芸大学附属国際中等教育学校でもプログラム(DP)が導入され、これから急速に認定校が増えることになります。

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今後の子供の教育を考える際には、この国際バカロレアを選択肢から除外することができなくなるでしょう。

では、「国際バカロレア」(以下IB)の教育プログラムとはどのようなものなのでしょうか。

このプログラムのすべてを説明するにはちょっと時間がかかってしまいそうなので、ここではIBのポイントとなる3点についてまとめてみようと思います。

IBプログラムの3つのポイント

1)学習言語

現在のところ英語、スペイン語、フランス語のいずれかが学習言語として認められています。

つまり、日本でIBが導入されても、本来はこの3つの言語のいずれかで全授業が行われることになるのですが、13年に一部の科目の授業と評価を日本語で行う「日本語と英語によるデュアルランゲージ・ディプロマ・プログラム」が、文部科学省と国際バカロレア機構(以下IBO)の間で合意されました。

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そのため、日本人生徒にとって学習しやすい環境にはなりますが、基本は英語の授業となるので、学習を進めるために英語力は不可欠です。

2)教育理念

さて、この教育をわが子にどうか…と考えたとき、最初に確認すべきはIBの理念でしょう。IBでは、下記のような全人教育を目指しています。

IBの求める学習者像

  • 探究する人
  • 知識のある人
  • 考える人
  • コミュニケーションができる人
  • 信念のある人
  • 心を開く人
  • 思いやりのある人
  • 挑戦する人
  • バランスのとれた人
  • 振り返りのできる人

いかがですか? このプログラムがすばらしいと言われるのは、これらの理念が目標として掲げられているだけではなく、学習のなかで実践されているからです。

つまり、課題に対して「調べ、考え、行動する」という学習活動が基本となり徹底的に繰り返され、「学習者像」が実現できるようなプログラムとなっています。

教科書の知識詰め込み式で育った、私たち親世代の学習方法とはまったく異なるものなのです。

3)教育プログラム

現段階では、日本でIBが導入されるのは高校からとなりますが、じつはIBプログラムは以下のような幼児期からの3つのプログラムで構成されています。

  • PYP(Primary Years Programme)…3歳~12歳
  • MYP(Middle Years Programme)…11歳~16歳
  • DP(Diploma Programme)…16歳~19歳

大学入学資格となるのは「DP」なので、PYPやMYPの学習を行っていなくてもDP(日本の場合は高校2,3年生が対象)の学習を行い、DPの最終試験で規定の点数(45点中24点以上)をとることができれば合格となります。

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さらに、DPに合格するためには、その大前提として教科のポイント以外にTOK(Theory of Knowledge)、EE(Extended Essay)、そしてCAS(Creativity Action Service)の3要件を満たさなければなりませんが、これらについてはまた別の機会に説明できればと思います。

さまざまなIB認定校

IBOによると、14年7月時点でIB認定校となっているのは、全世界でおよそ3800校、日本では27校となっています。

これらの学校でIBプログラムの学習を行うことができますが、先にあげたPYP、MYP、DPのすべてを実施しているとは限らないので、学校選びの際は、子供の年齢に合ったプログラムが実施されているかどうか確認が必要です。

また、これらのIB校はIBOの厳しい審査を受け認定されていますが、実施している教科やIBの指導教員数、進路指導の実績などはさまざまなので、この点についても確認が必要です。

IBではなにを得られるのか

では、IBの教育プログラムを通じて、子供たちはどのような力を身につけていくことができるのでしょうか。

まず、授業において得られるのはもちろん「知識」です。これは日本の学習と変わりませんが、特徴的なのは、授業では思考に重点を置いていることです。

それも教えられたことや他人の意見をそのまま鵜呑みにするのではなく、クリティカル・シンキング(批判的思考)での学習が求められます。

物事に対しクリティカル・シンキングを行うためには、十分な知識が必要となりますから、良い思考を行うために必要な知識を自ら身につけることを自然に繰り返すようになり、子供たちの主体的な知識の獲得と深い思考の姿勢が養われます。

また、クリティカル・シンキングを行うためには情報の収集も重要です。

そのためには、資料を読んだり、他人の意見を聞いたり、あるいは自身で調査を行うことも必要になってきます。そのためには、コミュニケーション能力や言語力が必要となるので、このプログラムをこなすことによって、これらの能力も育成されていきます。

さらに、IBにおいては、理念の部分でも触れていますが、全人教育を目指しています。つまり、知識や思考などの能力だけではなく、心やバランスも大切にしています。

この点について大きな役割を果たしているのが、CAS(Creativity Action Service)と言えるのかもしれません。

CASでは、創造的活動やスポーツ、ボランティア活動などの実践が求められます。これらは、教師のサポートがあるわけではなく、おもに学校外で個別に行う活動となります。

それぞれが考え、自身に必要なもの、求めるものを得るための活動行いながら、自分や社会と向き合っていきます。そのため、ひとりの人間として社会で生きていくための主体性、行動力、広い視野、コミュニケーション能力などが身につくでしょう。

また、多くの課題をこなしていくわけですから、集中力や根気、セルフコントロールの力も当然養われていきます。

IBの理念=期待されるグローバル人材

「国際バカロレアの理念」と、11年に日本の「グローバル人材育成推進会議」によって提出された「グローバル人材の定義」はほぼ一致しています。

このことを踏まえると、いま日本政府が「国際バカロレア」の導入に力を入れている理由がわかると思います。

国際競争力をつけるためには、世界に通用するコミュニケーション能力(言語力+プレゼンテーション力)と思考力、行動力をもった人材育成が急務であるため、IBプログラムが活用されようとしているのです。

次回は日本をちょっと離れて、海外でのグローバル教育の考え方について話をしたいと思います。

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