TOEFLが開始する新型オンラインテストとは?
コロナ禍の2020年は、自宅でオンライン受験できるで英語能力試験「Duolingo」の利用者が世界で急増した年となりました。
Duolingoによると、2020年のDuolingo受験者数は前年比で2000パーセント増を記録。これまでアカデミックな英語能力試験は「TOEFL」と「IELTS」がスタンダードでしたが、2020年はこのマーケットシェアを根本から揺るがすインパクトとなりました。
2021年現在、Duolingoを認定する教育機関は全世界で3000校を上回り、同様にインターネット上で能力測定するTOEFLもこの社会情勢にスピーディーに対応すべく、TOEFL運営元の「ETS」は、2021年8月より新形式テスト「TOEFL Essentials」を開始すると発表。
2021年5月から申し込みを開始する見通しですが、こうした動きは、2005年にインターネット対応版「TOEFL iBT」が発表されて以来の大きなニュースとして注目を集めています。
iBT版よりも安価&短時間で日常的な英語スキルも評価
TOEFL Essentialsは、試験会場で実施されるTOEFL iBTとは異なり(コロナ禍の現在は自宅受験も可能)、自宅などでのオンライン受験のみに特化。受験料は100ドル~120ドル程度、試験時間も1時間半と、iBTとくらべると約半分のコストと時間設定となっています。
受験会場を設けないやり方はDuolingoと同様、受験料と試験時間については、TOEFL iBTとDuolingoの中間レベルに設定。Duolingoを競合と捉え、TOEFLの要素も継承したのがTOEFL Essentialsといえるでしょう。
TOEFL Essentialsでは、受験者の解答により次々に設問が変化していく適応型を採用。各受験者のレベルに最適な設問が導かれ、その英語能力をより正確に測ることが可能となります。
また、Essentials版ではアカデミックな英語スキルと日常的な英語スキルの両面を試す問題で構成されているのも、アカデミックな英語のみを出題対象としていたiBT版とは異なる点。
さらに、従来のTOEFLよりも出題数を多く、素早く解答させるようにデザインされ、試験時間短縮化という点も合わせると、深く考察することより処理速度にフォーカスした問題構成になると考えられます。最後の5分間は採点対象外ですが、設問に答える形式で受験者のスピーキングの様子が録画されます。
Duolingoにはないポイントは、TOEFL Essentialsでは採点や試験中の監視に人間が関わっているという点です。会場外で実施されるオンライン試験は、カンニングなどの不正を防ぐ厳格性に疑問を持たれることもありますが、Essentials版はその業務をAIのみに依存せず、人間特有の柔軟性のあるスキルを活用し、試験のマネジメントを万全なものにするとしています。
なお、8月のTOEFL Essentialsスタート以降も、TOEFL iBTは継続されます。今後、ETSは、EssentialsかiBTかその選択は受験者側に委ねたうえで、民間英語試験のシェアを堅持していくようです。