せかいのSENPAI図鑑 #02|法政二高からサセックス大学へ:女子初の生徒会長が選んだ“誰とも違う進路”とは?

神奈川県出身で、「法政大学第二高校」から開発学の名門であるイギリス「サセックス大学 University of Sussex」へと進学した松澤美乃里さん。
内部進学が当たり前の環境から、あえて海外大学を目指した理由とは?

自ら道を切り拓いていった彼女のストーリーから、“レールの外にある進路”を選ぶヒントが見えてきます



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海外進学を考えたきっかけ|“女子初の生徒会長”として感じた違和感
松澤さんが通っていた法政二高は、中高一貫の私立校。学内で交換留学生を受け入れていたり、自宅でホームステイも経験していたことで、早くから“世界”を身近に感じていました。
英国ボーディングスクール留学で得たもの
「高校2年のとき、オックスフォードにあるボーディングスクールへ短期留学をしました。カトリック系の学校で、人権やジェンダーの授業も多くありました」


ある日、同級生の黒人女子が発した言葉に衝撃を受けたといいます。
『自分は裕福だからここに来ている。でも、親戚の女性たちはアフリカにいて、教育を受けられない』
自分もまた、日本で「女性だから」という理由で批判された経験がある——生徒会長に初めて女性として選出された際、否定的な声を受けたからです。



彼女の言葉を聞いたとき、自分の体験と重なって。そこで初めて“開発学”という分野に興味を持ちました
「海外で学びたい」と思った瞬間|環境と学問の一致
もともと大学附属の高校に通っていた松澤さん。当初は内部進学を考えていました。
しかし、開発学が本格的に学べる日本の大学が限られていることを知り、 「本場で学ぶなら、イギリスしかない」と方向転換します。
その後、イギリスの高等教育に特化したエージェントに相談し、志望校として「サセックス大学」を選定。世界的に開発学の分野で評価が高く、学びたい内容とも一致していました。
出願戦略とモチベーション維持|仲間と支え合う力
開発学に強い大学を中心に出願校を決定。サセックスを第一志望としつつ、不合格時のプランも検討しました。
「開発学を学びたい」という熱意を伝えるため、志望動機ではイギリス留学中の体験や、立ち上げたファンドレイジング団体の活動、高校での国際交流や部活のエピソードなどをまとめました。
受験準備と英語対策|限られた時間で最大限の成果を出す
英語のスコアで活用したのはIELTS。高校2年の2月に英検準1級を取得していたものの、本格的な勉強は部活引退後の夏休みからでした。


「陸上強豪校で円盤投げとやり投げをやっていたので、7月後半に引退するまでは本当に忙しかったです。徹底的に勉強できたのは、引退後の夏休み約1ヵ月間。必死で勉強して8月後半に受験し、IELTS6.0を取ることができました」
ほぼ独学で進めたIELTSスコアのための勉強
IELTSの勉強は、英会話スクールで毎日30分スピーキングの練習をしながら、リーディング・ライティング・リスニングは独学で進めました。



問題集は1冊を5回以上解きました。BBCニュースやYouTubeのネイティブ動画も通学中に1.5倍速で聞いて、生活に英語を取り入れていました
成績も求められるため、学校の勉強もしっかりと取り組み、5段階評価で4.5くらいの成績を取ることができ、入学条件をクリア。



晴れて第一志望のサセックス大学に合格した松澤さん。年間約500万円ほどと決して安くはない学費ですが、家族の全面的な援助のもと、進学することができました
大学で学んでいること|講義と自習のハイブリッドスタイル
「大学の授業は、講義で知識をインプットし、そのあとグループでディスカッションする形式です。自分で予習してこないと置いていかれます」
授業数はアメリカに比べて少なく、空き時間に自習する時間が多いため、学びの主体は自分自身にあると感じているそうです。


開発学のクラスにはアジア系学生が多く、人類学はイギリス人が中心。クラスの国籍によって雰囲気も異なるのが面白いポイントだとか。



いっぽう人類学はイギリス人ばかりで、日本人どころかアジアの人もほとんどいません。中国や韓国の学生は「人類学はお金にならないから学ばない」と言っていました
大学で出会ったドバイ出身の親友がいて、休みの日にはイスラム教についていろいろと教えてもらったり、中東の料理を食べに行ったりしています。


後輩たちへのメッセージ|“普通”じゃなくていい、自分を信じて
海外に出たからこそ、日本の良さがわかったという松澤さん。
日本は、治安、インフラ、おもてなしの文化などとても暮らしやすく、これまで当たり前だと思っていたことが本当に素晴らしいと感じているそうです。日本をもっと知るためにも、たくさんの人に留学をしてほしいと願っています。



私は、Normality is a paved road, it is comfortable to walk, but no flowers grow.というゴッホの言葉が好きです。快適な道では花は咲かない、という意味です
松澤さんの挑戦は、普通とは違う道を選ぶことの価値を体現しています。
「“人と違うこと”に不安を感じている人こそ、勇気を出してほしい。自分だけの進路を歩んでいいんです」
編集部より
日本の私立一貫校で、内部進学が当然という空気のなか、海外に出る選択をした松澤さん。その行動力と信念は、多くの人に勇気を与えるはずです。
進路に“正解”はありません。大切なのは、自分で選び、納得して歩むこと。そのヒントが、SENPAIたちの言葉のなかにあります。
進路に迷ったら、相談もできます。
海外進学ラボでは、海外進学を視野に入れた“戦略的な進路相談”を行っています。一人ひとりの価値観・タイミング・資源に応じて、今、何をすべきか・何を選ばないかを一緒に整理します。
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私の挑戦が、次の誰かの一歩になりますように。