留学データ
- 留学国:フランス(リヨン市)
- 留学先:「リヨン政治学院」(Lyon Institute of Political Studies)
- 専攻:ヨーロピアンスタディー(ヨーロッパ研究)
- 留学期間:2017年8月〜2018年1月(日本の大学3年生の秋学期に交換留学)
- 留学コスト:学費/月約10万円、生活費(食費、寮費、携帯代、交通費など)/月20万円
- 検討した留学先:リール大学、リヨン政治学院、リヨン第2大学、ノルマンディービジネススクール、サンジェルマン・アン・レー政治学院、モンペリエ大学
- この大学を選んだ理由:国際機関で働くことも考えていたので、そこでの使用言語のひとつフランス語を極めながら、専門的な講義を受けてみたかったから
松本 理佳
アメリカ以外の国に留学している女子7人が日常生活をレポートするサイト「留学ってアメリカだけじゃないよ?」メンバー。2015年3月に「関西学院千里国際高等部」を卒業し、4月に「関西学院大学」に入学。吉本新喜劇ネタをフラれると、脳より口が先走ってしまうほどの大阪人。中高生時代は毎年夏休みに海外サマースクールに通ったり、大学生になってからは東南アジアにフィールドワークやボランティアに参加しているので、学校や国籍を超えた友達がたくさんいる。バイト先のスタバでは、ドリンクを通してお客様とつながれた瞬間を最大の喜びに、やりがいを感じながら働いている。就職活動に向け準備中だが、楽しく何事にも前向きに取り組んでいる。
交換留学を視野に入れ、大学生活をスタート
「関西学院大学」人間福祉学部社会起業学科3年生の、松本理佳です!
他のメンバーとは異なる「交換留学」という形で、フランスの「リヨン政治学院 Lyon Institute of Political Studies」ヨーロピアンスタディー(ヨーロッパ研究)に半年間交換留学をしました。

そもそも、私が関西学院大学(関学)を選んだのには、3つの理由があります。
まず、講義を受けるだけではなく、実際に体感できる実践型の学びを受けられる学科があったから。「人間福祉学部社会起業学科」では、おもに国内外の社会問題を学んだり、その問題に向けて取り組むNPOやNGO団体の方を招いての授業を受けたり、途上国でのフィールドワークや国際機関を訪れたりして学んでいます。
2つ目に、留学制度が充実しており、なかでも交換留学の協定大学が豊富にあったから。世界にある約150の高等教育機関と協定を結んでいるため、実際にどの大学にどのくらいの学生が派遣されているのか把握できないくらい選択肢があり、毎年さまざまな大学に学生たちがバランスよく派遣されています。
3つ目として、中学・高校と国際学校に通っていたため、日本人として日本社会を大学という小さな社会を通して体験したかったからです。
なぜ、フランスに留学したのか
私がフランス留学を決めたのは、大学1年生の終わりのころでした。
将来的に国際機関で働くことも考えていた私は、そこでの使用言語のひとつ、フランス語を高校生のときから履修していました。
その学びの延長線として、大学入学後もフランス語を必修科目の第二言語として受講。しかし、スピーキングをおもに学んでいた高校時代とは異なり、大学の授業では文法をおもに学ぶ授業。
フランス語話者に対して、これらの文法やフレーズ、発音は実際に通じるのか? また、これまで培ったスピーキング力や文法力を活かすことなく(挑戦することなく)学びを終わらせてしまっていいのか?
帰国子女や海外経験のある友達が身近にいたため、私もいつか海外での生活を築いてみたい。語学学校ではなく、海外の大学に通ってみたい、様子を知りたい、専門的な講義をその国の言語で受けたい…とも思っていました。
検討したフランスの大学は、リール大学、リヨン政治学院、リヨン第2大学、(リヨン)、ノルマンディービジネススクール、サンジェルマン・アン・レー政治学院、モンペリエ大学。
最終的にリヨンを選んだ理由は、フランス第2の都市だったから。大阪で21年間育った私は、東京のような大都会より、大阪のような規模感が自分に合っている気がしたのです。

「リヨン政治学院」という選択肢
私が留学した「リヨン政治学院」は、フランスでは「グランゼコール」と呼ばれる高等職業教育機関で、一般の大学とは異なり、政治・政策や経済、開発、社会科学といった社会発展に寄与する専門職分野をおもに学ぶことができます。

ヨーロピアンスタディー(ヨーロッパ研究)を専攻しましたが、フランス語だけではなく、英語でも開講される授業もいくつかあります。ヨーロッパ圏の学生が圧倒的に多いのですが、彼ら留学生や現地の学生とともにレベルの高い教育を受けることができます。
官僚や政治家を目指したり、国際機関で働いたりしたいと思う人には、フランス語も同時に学ぶことができるので、ピッタリの教育機関だと思います。
留学期間は1年(2学期間)もしくは半年(1学期間)から選べましたが、私は大学3年の後期に半年間留学しました(2017年8月〜2018年1月)。
大学に入る前から、4年間まるまる関学に在籍することは考えてはおらず、交換留学か「国連ユースボランティア」(1学期間)のどちらかに参加するつもりで、授業をやりくりして単位を履修できるよう調整していました。
また、留学先では単位を取得することができるので、3年生で1年間留学しても、帰国後は4月には4年生になることができます(ただ、私の学部では2年生までにとっておかないといけない必修単位や科目があり、場合によっては1、2年生に戻らなくてはならないケースもあるかもしれません)。
交換留学では、履歴書に書ける資格をもらいたい人もいると思いますが、リヨン政治学院にも、留学を証明するサティスフィケーションがもらえるコースもありました(希望者のみ)。
ただ、朝の8時から3時間の授業を1日3つずつ、月曜日から金曜日まで受ける必要があり、私の場合は半年の留学だったので、リヨンの街を知りたいという気持ちや初めての寮生活にも不安を感じていたので、そのコースは取りませんでした。
「交換留学」にかかる費用
私が、数多くある留学プログラムのなかから交換留学を選んだ理由、それはズバリ、学費です。
関学の交換留学では、協定大学側に学費を収める必要はなく、関学の学費を支払うだけで留学することができます。そのため、交換留学の審査は厳しく、その大学が求める英語力(TOEIC、TOEFL iBT、IELTSなど)もしくは、留学先の言語力を証明できる資格、日本語と英語(またはその国)の志望理由書、面接、在学中のGPA(グレード・ポイント・アベレージ) を総合して大学側から可否の判断がおります。
私の関学での学費は、1年間122万9000円なので、1ヵ月計算だと学費はおよそ10万円強。
フランスの国立大学は授業料無料ではありますが(私の通っていた大学は国立大学ではないですが)、他国と比較するとやはり学費面では交換留学という形の留学は安いと思われます。
生活費は、月によって前後はしますが、だいたい食費、寮費、携帯代、交通費などを合わせると1ヵ月20万円ほど。1ヵ月あたりで約30万円です。留学という視点で考え、比較すると、交換留学は全体的にも安い方なのではないのでしょうか。

交換留学で準備しておくべきこと
大学側から交換留学の了承がおりたら、その後は留学先の大学が求める成績表や私自身の資料を送付したり、東京にあるフランス大使館でビザを発給してもらうための準備をしました。
勉強面の準備では、フランス国民教育省が認定したフランス語資格「DELF DALF」や「フランス語検定」を受けてみたり、文学部のフランス語学科の授業や、ネイティブのフランス人の先生の講義を受講したりしました。
留学前にビザを取得するために行動したことや、自分の語学力のレベル以上の授業を受けたり勉強したりしたことは、フランスでひとり暮らしをする前のいい準備運動になったと思います。少しでも海外の大学に興味がある場合は、早くからスコアを取るための勉強をすることを強くオススメします。
また、私は海外の大学への進学も視野に入れていたため、英語資格は高校2年生の冬から3年生までスコアを取るための勉強をしていましたが、これは大学生になってもできたことだと感じています。
学んで、味わって、満喫したリオン生活
リヨン政治学院では、チーズが2週間に1回配布される「チーズサークル」に入っていました。
「リヨン Lyon」はフランスの南東部に位置する都市で、「美食の街」と言われるほど美味しいものがたくさんあります。

有名シェフのフランス料理店「ポール・ボキューズ」やチョコレート専門店「ベルナション」などの超有名店から、学校終わりに通っていたカフェまで、どこに行ってもおいしいものに出会えるという、食に関しては何も問題のないところでした。

秋は、チョコレートの祭典「サロン・デュ・ショコラ」に行ったり、冬には世界最大と言われる光の祭典に参加したりと、とてもいい経験になりました。


留学してよかった3つのこと
留学をしてよかったことはたくさんありますが、そのなかでも3つに絞ってみると、
1. 寮生活(ひとり暮らし)を通して、自立することができたこと
リヨンでは、リヨン政治学院の学生寮ではなく、政府が管理している寮に住んでいました。リヨンにある大学の学生や多国籍な留学生が集まっていましたが、ここではひとりで生活することの難しさを身をもって実感することができました。
私は生まれてからずっと実家から離れたことがなかったので、今回の留学が身の回りに身内がいない初めての環境でした。
掃除、洗濯、食事を作ることがとても大変で、1日のスケジュールの中にこれらの家事をする時間を取らないと、快適な暮らしは作ることができません。この体験を通して、これまで気づかなかった親をはじめとする家族のありがたみを強く実感しました。

また、体調を崩してしまったときの心細さと、このままひとりで死んでも誰にも気づいてもらえないのではないのかなという恐怖心を通して、身体的にも精神的にも強くなったような気がしました。
2. 将来を考える際に、現実を知り、考えることができたこと
留学前までは、国際機関で働き、世界中の社会的立場の弱い人たちを少しでもいい方向に持って行きたいと考えていましたが、私の言語力をはじめ、日本での学びではまったく肩を並べることができないという教育レベルの違いや、世界には驚くほど優秀で賢い学生がいることも知りました。
フランスでの授業内容に毎回圧倒され、私の力では及ばないことを実感しました。だからこそ、私は日本で就職し、日本の社会の役に立つ人になりたい、そう強く考えるようになりました。

また、日本のいいところも実感できるようになり、日本の文化や習慣をもっと知らなければならないとも考えました。
3. 自分が頑張らなければならない状態に追い込めた
リヨンは、パリに次ぐ第二の都市ですが、留学には本当に適した環境でした。リヨンの街には英語表記がほとんどなく、フランス語表記のみは当たり前、人々もフランス語しか使いません。パリなどでは英語表記は当たり前で、私のようなアジア人には英語でオーダーを取ってくれたり、話しかけてくれたり、生活においては何の支障もありませんでした。
なので、つたないフランス語で一生懸命努力して話しかける・話しかけられるリヨンのほうが、自分のためになり、あえてこのような環境に身を置く大切さにも気づきました。

反対に、留学をすることで支障をきたしたのは「留学のタイミング」です。日本で日本企業に就職したいと考えていながら、帰国後の就職活動に遅れを取ってしまいました。インターンシップや説明会などに参加することで多くの企業に出会い、自分に合う企業を知るチャンスを逃してしまいました。
2年生もしくは1年生で留学に行く場合、進級単位や必須単位が取得できない状況もないとはいえず、卒業が遅れてしまう場合も考えられます。ただ、どの時期に行っても、日本の大学での授業やスケジュールは、私の留学とは関係なく淡々と進んでいきます。それは、交換留学だからこそのデメリットだと思います。
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私は、3年生で留学をしたため、来年度をもって大学を卒業します。つまり、これからが本格的な就職活動時期となりますが、あと1ヵ月間弱で自己分析や業界研究・企業研究をし、自分に合う業界・企業を探そうとしています。
どのような分野に進むのかはまだ考え中ですが、これまでの人生を振り返って得たこと、とくにフランス留学を通して得た学びや経験がムダではなかったことは強く感じています。
周囲にも影響を与えられ、役に立てる社会人になり、日本独自のオリジナリティーを今後も大切にして生きていきたいです。
リヨン政治学院(Sciences Po Lyon Institute of Political Studies)
【リヨン政治学院(Sciences Po Lyon Institute of Political Studies)】
- 設立:1948年
- 所在地:14 Avenue Berthelot, 69007 Lyon
- 学生数:1400人(日本人は18名、2017年1月現在)