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海外進学 Picks 10/18号|米国H-1Bビザ高騰、英大学インド進出、英私学へのVAT導入、英就労ビザ英語要件B2に

「海外進学ラボ Weekly Picks」は、グローバル進学に関心のある中高生・保護者向けに、世界の教育ニュースを厳選してお届けしています。進路のヒントが“5分”で見つかる週刊特集です。

今週の海外進学トピックは、世界の教育環境の“再編”を感じさせるニュースが続きました。

アメリカではH-1Bビザ手数料の高騰がインド人留学生の進路を揺さぶり、一方で英国大学はインド進出を加速。

カナダでは語学学校の閉鎖が相次ぎ、英国では私立校へのVAT導入で富裕層が欧州の寄宿学校へ流れています。

さらに、英国の就労ビザ英語要件も大学レベルに引き上げられるなど、「どこで学び、どこで働くか」を世界規模で見直す流れが本格化。

教育を“理想”ではなく“現実の選択肢”として捉える時代が始まっています。

グローバルエデュは、親子で“納得できる進路選択”を応援する教育メディアです。2025年より海外進学ラボを新設し、Q&Aライブラリや進路相談、イベントを通じて、海外進学を目指す中高生と保護者をサポートしています。

Contents

米国H-1Bビザ手数料の高騰、インド人学生の進路選択に最も影響を与える可能性

米国H-1B(特殊技能職)ビザに手数料10万ドルを課すという米経済界にとっても衝撃的な決定により、H-1Bビザ受給者7割を占めるインド人留学生に多大な影響が及ぶのは避けられないようです。

教育コンサルタントSIECの創設者は、「米国大学への問い合わせや出願は急減し、代替留学先として英国・ドイツ・オーストラリアなどが前向きに検討されている」と現況を説明。さらに、就職の見通しが不透明になり、学生の親が高額な米国留学費用を負担するインセンティブを失うことも見込まれます。

また、ビザ高騰ショックは、学生の進路選択に影響するだけでなく、インド教育機関の国際的パートナーシップにおいて、米国との距離感が生じうる一方、より多様な地域との関係構築を促すことになりそうです。

副編集長 城

留学生受け入れを推進している国にとっては、政策の安定性、就労機会、リーズナブルな学費など現状の米国にない強みをPRする絶好のタイミングといえます

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ランカスターほか英国大学のインド進出が活発、高等教育需要は上昇の一途

ドイツやガーナにもキャンパスを構えるランカスター大学(英)は、インドのIT中心地であるバンガロールに分校を新設することを発表。ビジネスやコンピューティングなどの分野に重点を置き、インドに滞在しながら英国大学の学位取得に関心を持つ若者に適した教育環境が実現するようです。

インドに分校を有する初の英国大学となったサウサンプトン大学では、2025年より第一期生を受け入れており、他にもインドの経済特区GIFT Cityに分校を置く予定のサリー大学など、2026年以降は英国の約8大学がインド各所に高等教育拠点の新設を計画中。

Bridget Phillipson英国教育大臣は「インドの若者に英国高等教育の恩恵が行き渡ると同時に、英国内の大学も実質的な利益を得られる」と展望を語っています。

副編集長 城

インドでは2035年までに現状の1.5倍以上、7000万人規模の高等教育需要に達する見通し。英印両国、教育の枠を超えた双方向的な発展が期待されています

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カナダの有名語学学校が閉鎖、経営難助長した行政政策の妥当性に疑問符

カナダでは、約60年の伝統がある有名校、YMCA国際語学学校の閉鎖が決定するなど、語学教育業界の苦境を象徴する出来事が続いています。大規模語学団体 Canada Languageによると、2025年上四半期だけで私立 18校、大学傘下の提携校11校が閉鎖を余儀なくされている状況です。

オンライン競争、移民政策の変更など複数の難題が重なり学校経営に打撃を与えたと見られていますが、Language Canada ディレクターのMarc Miller氏は政策的な誤りが語学学校の相次ぐ閉鎖を招いたと主張しています。

2024年にカナダ政府は、住宅不足が深刻化していることを理由に入国学生数に上限を設定。しかし、語学学生のほとんどがホームステイを利用する実態があることから、同氏はこうした政策アプローチには否定的立場を表明していました。

副編集長 城

政策的なバックアップも功を奏し、フランス語コースの学生数が約14%上昇しているのは現時点の光明です

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独やスイスの寄宿学校に英国富裕層からの問合せ急増、私学への付加価値税が発端

2025年1月より、英国私立学校に導入された税率20%の付加価値税(VAT)。その大幅な家計負担上昇は、英国以外の教育機関への関心を高め、ドイツやスイスのボーディングスクールには特に英国富裕層からの問い合わせが殺到する事態が起きているそうです。

独ブレーメンにあるインターの校長は、もともと英国の学校より割安な学費設定を意識してきたものの、「英国でVATが導入されたことで、英ボーディングスクールより1人部屋オプションで平均15,000£(約3百万円)も学費を抑えられる」とコスト面の優位性に言及しています。

また、スイス・インターの入学担当者によると、英国の有名校から寄宿生として転校するか、家族ごと移住してくるケースも増えているそうです。

副編集長 城

保護者にとって単なる家計の問題ではなく、自国以外の教育にどのような特色があるのか広範囲にアンテナを張るきっかけにもなったようです

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英就労ビザ、大学入学レベル(CEFR:B2)に英語力要件引き上げ、発給数減少は必至か

英国政府は、一部の就労ビザ申請に求められる英語力基準をCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)B1レベルからB2レベルに引き上げる変更を、2026年1月8日より適用します。この新規則は、今年5月発表の移民白書に記載された移民数削減計画を反映したもの。

対象となるのは、技能労働者ビザ(政府認可の雇用主による雇用)・スケールアップ労働者ビザ(急成長企業で就労)・HPIビザ(過去5年内にトップ大学で学位取得)申請者で、ビザ審査の一部として、英国政府が指定する機関にて英語4技能テストを受ける必要があります。

B2とは大学入学レベルの英語力に相当し、従来基準のB1(中等教育修了レベル)と比べてより厳格な英語力が要求されるのは明白。 👉 CEFR について知る

英国の移民弁護士は「英国国民でさえ不合格者がでるレベルの英語試験」と新審査基準の不公平性を主張しています。

副編集長 城

必要な英語力水準が高すぎると、従業員にそこまで高い英語力を求めない雇用主とのミスマッチが深刻化するという専門家の見方もあります

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次回予告:

留学選択肢の増加、コストへのシビアな価値観なども影響し、英国の大学にとっても留学生ニーズの把握は重要事項です。

そうしたなか、学生の母国でのキャリア形成を支援しようとする英国大学の動向に注目が集まっています。

世界の教育と日本をつなぐ
“確かな窓”でありたい
Weekly Picks 執筆・監修/ 城 圭一郎

教育メディア「グローバルエデュ」副編集長。国際教育・進路支援を中心に、世界の教育システムや最新動向を日本の家庭にわかりやすく届ける記事を多数執筆・編集。これまでに手がけた記事は500本超。正確な情報と多角的な視点で、進路選択と学びの可能性を広げるメディアづくりに取り組んでいる。

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