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海外進学 Picks 8/9号|米国務省vsハーバード・コロンビア和解・ロンドン進学率…教育界が揺れる

「海外進学ラボ Weekly Picks」は、グローバル進学に関心のある中高生・保護者向けに、世界の教育ニュースを厳選してお届けしています。進路のヒントが“5分”で見つかる週刊特集です。

学ぶ国、学び方――
進学の「選び方」そのものが
静かに塗り替わりつつあります

今週は、米国と名門大学との緊張関係から、都市部貧困層の意外な大学進学率、AI学習モードの新展開まで、教育の世界で気になる動きが目白押し。

米国務省とハーバードの対立は、交換留学プログラムの存続にも影響しかねない深刻な局面へ。コロンビア大学は和解金2億ドル超で政権と合意。

英国では無償給食の生徒が高進学率を記録し、環境と進路の関係が注目されます。

AIの「学習モード」新機能や、中国系教育機関と英国大学の関係を巡る議論など、進路選択にも示唆の多いニュースをまとめました。

グローバルエデュは、親子で“納得できる進路選択”を応援する教育メディアです。2025年より海外進学ラボを新設し、Q&Aライブラリや進路相談、イベントを通じて、海外進学を目指す中高生と保護者をサポートしています。

Contents

米国国務省、ハーバード大学の交換留学プログラム参加資格への新調査を開始

米国務省のマルコ・ルビオ国務長官は、交換訪問者プログラムのスポンサー資格継続についてハーバード大学に対する調査を開始する声明を発表しました。

7月23日付けの同声明では、スポンサー資格を維持するには、全規則の遵守はもちろん、とくに米国の外交政策目標や安全保障上の利益を損なわない方法でプログラムに参画すべき点が強調されています。

ハーバード大学の広報担当は、今回の動きに対し、「ハーバード大学の合衆国憲法修正第一条(言論の自由や平和的な集会の自由を保障)の権利侵害に相当する現政権の新たな報復措置」と主張。

トランプ政権は、これまでも留学生の学生ビザ発給停止や連邦政府資金の凍結など、ハーバード大学への強硬策を打ち出しており、大学側も真っ向から抵抗する姿勢を崩していないことから、連邦裁判所をも絡めた両者間の応酬は長期化する様相を呈しています。

副編集長 城

一国の政府と一大学という対立構図ですが、その動向はその他多くの教育機関にも影響しそうです

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コロンビア大学、トランプ政権へ和解金2億ドル以上の支払いで連邦資金を回復

アイビーリーグの一角、コロンビア大学は2億2000万ドル以上をトランプ政権に支払うことで連邦予算4億ドルの回復に合意しました。

今回の取引では、和解金の支払いに加え、現政権側が要求した、学生の懲戒手続きの見直しや反ユダヤ主義に関する新定義採用への合意も含まれるようです。

こうした大学による大幅な譲歩とも捉えられる決着には、いくつかの学内団体が歓迎の意向を示すいっぽう、コロンビア大学ロースクールDavid Pozen教授の「恐喝が合法化された」という非難に象徴されるように否定的な反応も相次いでいます。

また、同じアイビーリーグに名を連ねるハーバード大学のように、大幅な連邦予算の削減は違法に当たるとしてトランプ政権を提訴したケースもあり、現政権との関わり方は名門大学のなかでも差異が生じています。

副編集長 城

政権と「和解金による合意」という前例が生まれたことで、他の大学もどのように交渉が進展するのか注目が集まります

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ロンドン中心部で無償給食を利用する生徒、高い大学進学率が明らかに

英国教育省の調査によると、ロンドン中心部でFSM(Free Service Meal)、すなわち無償学校給食の資格がある生徒は、19才までに大学進学する割合が、人種や経済状況を考慮しない標準値(45.8%)を上回る50.7%を記録することがわかりました。

さらに、ロンドン中心部ではFSM対象者の10人に1人が選抜制の大学に進学していますが、その割合はFSM対象者全国平均の2倍以上に相当することも判明。

ロンドン中心部貧困層の大学進学率が際立つ状況について、ウェスト・ロンドン大学Graeme Atherton教授は、ロンドンのGCSE(義務教育修了試験)達成率の高さ、GCSE結果に関わらず進学を選ぶ非白人系学生が多いこと、大学が地理的に近いことなどの要因が噛み合った結果と分析しています。

国全体では貧困層の進学率が落ち込む傾向に変わりはないものの、今回のロンドン中心部の好結果に後押しされ、FSM対象者と裕福な層の進学率ギャップにもわずかながら改善が確認されました。

副編集長 城

大学が身近にある都市コミュニティの環境は、進路選択に少なからず影響を与えそうですね

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ChatGPTが学術的利用に適した「学習モード」を新発表、ツール悪用事例の増加も憂慮

ChatGPTの開発元OpenAIは、正答の提示よりも学習プロセスのサポートに重点を置いたチャットボットの「学習モード」を新たにリリースしました。

AI技術の発展に伴い、学生のAIツール不正利用がますます問題視されていますが、そのいっぽうで米国大学生のチャットボット使用用途は学習目的が約4分の1を占めるように、学習パートナーとして大きな可能性を秘めているのも事実です。

こうした状況下で、OpenAIの国際教育リーダーであるJayna Devani氏は、ChatGPTが学生に悪用されることは望んでおらず、学習モードの開発が「建設的な学術的利用を促す第一歩になった」と一定の手応えを表明しました。

とはいえ、学生自身が意図すれば、学習モードを無視して安易な道を選べる状況に変わりはありません。Devani氏は、評価方法の変更や明快なAI使用ガイドラインの策定も含めて、業界全体で対話していく必要性を強調しています。

副編集長 城

学習モードが適切に機能すれば、思考プロセスなどより根本的な能力開発にも役立ちそうです

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英国設置の中国政府系教育機関、新ガイドライン適用に伴い英国大学との関係性が物議

2025年6月、英国高等教育の規制当局「OFS(Office for Students)」が言論の自由に関わる新ガイドラインを発表したことにより、各大学に設置される中国系教育機関「孔子学院」を巡って、従来の英国大学との取引や関係性を問題視する議論が加熱しています。

英国のみならず世界中に拠点を構える孔子学院は、中国語教育や中国文化への理解促進を目的とした教育機関。

ただし、中国政府が出資することから、各国の教育制度に入り込み、特定のイデオロギーを浸透させるリスクに一定の懸念も寄せられていたようです。

新ガイドラインの影響により、例えば、雇用条件にイデオロギーテストを含める外資機関と関わる場合、その英国大学は罰則対象となる可能性が高く、契約内容の見直しや孔子学院自体の閉鎖など、新ルールに抵触する大学は明確な行動を示すべき状況に置かれているようです。

副編集長 城

日本にも立命館大学など10校以上の孔子学院が設置されており、文科省は透明性確保の重要性に言及しています

出典リンク

次回予告:

「人の悩みをAIに打ち明ける。」一見、現実味の薄い表現に思えるかもしれませんが、海外では生徒の相談先としてAIチャットが成果を示しつつあるようです。

世界の教育と日本をつなぐ
“確かな窓”でありたい
Weekly Picks 執筆・監修/ 城 圭一郎

教育メディア「グローバルエデュ」副編集長。国際教育・進路支援を中心に、世界の教育システムや最新動向を日本の家庭にわかりやすく届ける記事を多数執筆・編集。これまでに手がけた記事は500本超。正確な情報と多角的な視点で、進路選択と学びの可能性を広げるメディアづくりに取り組んでいる。

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