奨学金が「英語力」で決まる新時代
大学の授業料が年々上昇し、毎年のように学費改定が行われる昨今、多くの保護者にとって奨学金は子どもの進路を支える重要な選択肢となっています。
tokyoママチームでも、奨学金って成績優秀者や低所得世帯しか対象にならないのでは?
そう思われている人に朗報です。2026年度から、東京都が経済状況や学力を問わず、英語資格を主な条件とする画期的な奨学金制度をスタートさせることになりました。
それが「東京グローバル・パスポート」です。



この制度の登場により、英語力が「受験のツール」から「家計を支える力」へと、その意味合いが大きく変わろうとしています
本記事では、この新制度の詳細と、保護者として今すぐ始めるべき準備についてお伝えします。
東京グローバル・パスポートとは? 制度の全容を解説
基本情報
- 運営主体: 東京都
- 返還義務: なし(給付型・返済不要)
- 募集人数: 合計350名
・短期コース:250名
・中長期コース:100名
応募できる人(主な条件)
【応募者本人】
- 日本国籍を持ち、日本国内の大学に在籍していること(応募時・留学中)
- 2026年4月1日時点で 30歳以下
- GPA 2.5以上、または高校3年間の評定平均3.5以上(新高1生のみ)
- 英語力:CEFR B1以上推奨
【保護者(生計維持者)】
- 応募時点で 1年以上、東京都内に継続居住 していること
留学の条件
- 期間: 28日以上〜1年以内
- 開始時期:
・短期コース:2026年7月20日〜12月31日
・中長期コース:2026年7月20日〜2027年3月31日 - 留学先: 原則として海外の大学・大学院・短期大学
- 内容: 語学学習のみは対象外。明確な目的・探究活動を含むこと
支給金額
- 短期コース(28日〜4ヵ月未満):地域により 40〜90万円
- 中長期コース(4ヵ月〜1年以内):最大350万円(例:アメリカ1年間)
応募期間
- 第1回募集: 2025年12月〜2026年2月27日(17:00締切)
- 第2回募集: 2026年4月〜4月22日(17:00締切・新大1限定)


なぜ注目? この奨学金の3つの特徴
特徴① 英語力があれば誰でもチャンス
推奨される語学力B1以上とは、英検2級、IELTS4.0~5.0、TOEFL iBT42~71が目安です。 👉 CEFRについて知る
特徴② 所得制限なし
所得制限は設けられず、学業成績の指定こそあるものの、標準程度の成績で要件を満たすため決してハードルは高くありません。ただし、語学学習のみを行う計画は支援対象外となります。
特徴③ 募集人数が多い
また、奨学金の募集定員は数名~数十名が一般的ですが、本制度の場合は全期間でトータル350名の枠が設けられています。



こうした定員や応募要件を踏まえると、誰にでもチャンスがある採用期待度の高い奨学金といえそうです
保護者にとって、この制度が持つ本当の意味
英語力が「学費支援」に直結する時代へ
英語力が「学費支援」の条件に据えられているのが、東京グローバル・パスポートの画期的な特色です。従来の奨学金といえば、所得制限が設けられていたり、上位の学業成績が出願要件に定められていたりするケースが大半でした。



本制度の場合、実質的に一定の語学力(CEFR:B1以上)だけで主な応募資格を満たすことができます
応募要項では、B1以上が推奨されていますが、ワンランク上のB2相当(英検準1級、IELTS5.5、TOEFL72以上)を取得していれば、採用可能性をさらに引き上げることができるでしょう。👉 進学の選択肢を増やすCEFR B2とは?
これまでもIELTSやTOEFLのような英語能力試験といえば、受験突破、特に海外大学進学を実現するための一要素でした。 👉 IELTSについて知る, 👉 TOEFLについて知る
しかし、今回の東京グローバル・パスポートの登場により、英語試験の資格(スコア)取得が「家計の支え」となるという大きな変化が訪れようとしています。
「現実的に狙える」奨学金という選択肢
また、「現実的な狙い目」としても、東京グローバル・パスポートは無視できない存在です。実際、米英トップ大学を対象とした全額免除または支給額が多額の奨学金は、東大合格級の採用難易度をクリアする必要があります。
その点、都の新奨学金は学業成績のハードルも低く、350名と余裕のある募集枠が用意されているため、誰もが挑戦する価値がある採用期待度の高い支援制度といえるでしょう。
今後の展望:英語×奨学金のトレンドは広がるか
他の自治体・大学も追随する可能性
東京グローバル・パスポートは、2026年夏期留学より東京都が独自に提供することが決まった英語資格ベースの海外留学支援制度。日本の首都機能を担う自治体が、グローバル志向の意欲的な若者への支援に踏み切ったことで、他の自治体や大学も似たような「英語力を条件とした奨学金」を検討する可能性は大いにあります。
つまり、本制度は東京都に最低1年居住していなければ利用することができませんが、実際にみなさんがお住まいの自治体が同条件の奨学金制度を導入する期待感が高まっているということです。
海外の奨学金事情から見る日本の未来
海外では、もともと多様な支援制度が充実していますが、同じ返済不要の奨学金でも応募要件によって「scholarship」、「grant」、「bursary」など呼び方が異なる場合が多いです。
100%厳密ではありませんが、「grant」や「bursary」では家計情報を審査して不足分や固定額を支給するケースが一般的。
一方、「scholarship」の場合は、家計状況を問わず、各分野で優れた学業成績・実績を有している学生が対象となり、学費や生活費の全額支給が行われるケースも珍しくありません。
よって、日本でも海外の奨学金事情に倣い、かならずしも経済状況を要件に含めない支援のあり方、つまり「英語資格が進路と家計に直結する」流れが加速していくのか、その動向を注視すべき重要な転換点にあると言えるでしょう。
保護者が今すぐ始めるべき3つのアクション
アクション① 奨学金情報のリスト化
保護者の立場として1番にやるべきことは、将来のニーズに合いそうな奨学金制度をリスト化して応募要件を整理しておくことです。
リスト化することで、どの奨学金制度と相性が良さそうか、採用可能性が高そうかを比較しやすいメリットもあり、予め大まかな優先順位を付けておくこともできます。
また、新たな奨学金制度が発表された際も独自視点で重要情報を把握しやすくなるでしょう。
アクション② 英語試験の選択と計画的学習
実際に、海外受験に挑んだ生徒の体験談にも多いですが、英検・IELTS・TOEFLなど英語試験ごとの相性や得点の伸びやすさは必ずしも一様ではありません。
限られた時間の中で効率良く奨学生採用の可能性を高めるには、軸にする英語試験を早めに絞り、中長期的にスコアアップに取り組むのがおすすめです。
アクション③ 最新情報へのアンテナを高く
奨学金制度は毎年新設・改定されます。「知らなかった」だけで数十万円〜数百万円のチャンスを逃すのは、あまりにもったいないことです。
定期的に以下をチェックする習慣をつけましょう。
- グローバルエデュ進路を応援する奨学金関連ページ 👉
- 東京都や自治体の教育関連ページ
- 志望大学の奨学金情報
- 文部科学省の留学支援制度
まとめ:チャンスを掴むための「逆算思考」を
英語力は「受験のため」だけでなく「奨学金=家計の支え」に直結する新潮流が訪れようとしています。まさに、東京都の新制度はその変化を象徴する注目の一歩。そうした状況下で、保護者として今できるのは「早めに逆算して、チャンスを逃さない準備」です。
知るか知らないかでは大きな違いを生む最新情報への感度を高め、より充実した進路の可能性を切り拓いていきましょう。
次回は「大学入試での英語資格の最新トレンド」を紹介予定です。





