せかいのSENPAI図鑑 #05 | 日韓の教育を経て、東大PEAKへ|3ヵ国語を駆使するSENPAIが見つけた“戦略的進路選択”

日本と韓国、異なる教育環境で育ち、2023年秋から東京大学の英語学位プログラム「PEAK(Programs in English at Komaba)」に進学したアレックスさん。

自らの特性と強みを見極め、戦略的に選んだ“東大進学”の道のりを伺いました。
進学を考えたきっかけ|日本と韓国を行き来する中で見つけた“納得できる進路”
アレックスさんが最初に日本に来たのは2歳のころ。東京のインターナショナルスクールに通い、その後、東日本大震災をきっかけに韓国へ帰国。


再来日・転校・再び韓国での中学生活と、文化や教育制度の違いに直面しながら、柔軟に自分の進路を模索してきました。
韓国では、学力競争が非常に激しく、周囲が夜中まで塾で勉強するのが当たり前。アレックスさん自身も数学や英語塾に通いながら、猛勉強の日々を過ごしたといいます。



韓国の中学では、小学生のうちに高校内容を終わらせる子もいます。わたしも、塾は週5ペースで通ってましたね
そんな環境から日本へ戻り、カナディアン・インターナショナルスクール(CIS)に転校。クラスメイトとの距離の近さに最初は戸惑いながらも、韓国で身につけた学習習慣を保つため、塾にも通い続けました。
試験対策|“夏休み2回分”を活かしたSAT&TOEFL対策
10年生の夏は韓国の塾でSAT対策、11年生の夏はTOEFL対策に集中。どちらも夏休みをまるごと使って一点集中型で攻略したといいます。







学期中は学校の成績に集中。試験対策は、夏休みの“短期集中ブースト”にして切り分けました
SATは12月の試験で好成績を残し、それ以降は完全にTOEFLにシフト。効率的に勉強時間をマネジメントしながら、着実に進学に必要な条件をクリアしていきました。


進学先を決めた理由|“東大PEAK”という明確なゴールを見据えて
10年生の初め、東京大学PEAKのオンライン説明会に参加したことが、進路選択のターニングポイントでした。



求められるスコアや書類の内容が明確で、自分にとって目指しやすいと感じました。早い段階で“東大一本”に絞れたのが、準備に集中できた理由でもあります
欧米の大学も一時は検討したものの、課外活動やエッセイの比重が高く、成績への影響を考慮して日本の大学入試に照準を定めたといいます。
PEAKの学びとキャンパスライフ|国際性の中で気づいた“言語の壁”
現在は東京大学教養学部の英語プログラム「PEAK」に在籍。理系の「環境科学コース」に所属しています。


1学年の学生数は30人ほどで、国籍もさまざま。中国・韓国・日本・オーストラリアなど、世界中から多様な学生が集まっています。
「環境科学コース」が12人、文系の「国際日本研究コース」が19人、1学年合計31名という構成です。
中国人が1番多くて、そのつぎはミックスの日本国籍の学生、3番目に多いのが韓国人。その他は、オーストラリアやニュージーランドなどの国籍が1名ずついます(2023年入学)。
日本のインター出身は5名ぐらいでしょうか、ほとんどは海外から出願してきた生徒です。







インター出身者もいますが、大多数は海外から出願してきた生徒たちです。どうしても同じ言語圏で固まりやすく、“英語以外の母語”が優先される場面もあります
授業は基本的に英語で行われますが、日本人教員が多いため、ネイティブ英語の授業は限られるとのこと。
とはいえ、アレックスさんは日本語・韓国語・英語の3言語を使えるため、学習面での柔軟性は大きいようです。



日本語がわかれば、一般学生向けの講義も履修できるので、選択肢は広がります


東大での毎日|勉強だけじゃない、挑戦の場に
PEAKではサッカーとバレーボールのサークルに所属し、積極的に一般学生との交流も楽しんでいるアレックスさん。バレーボールサークルではPEAK生が彼一人ということで、最初は驚かれたそうです。



サークル活動を通じて、日本の学生とも自然に関われるのがすごくありがたいですね
将来的には交換留学で米国の大学にもチャレンジしたいと語ります。
「東大の学費でアメリカ留学ができるなら、それは最高の選択」と、冷静かつ現実的な視点を持ちながら大学生活を送っています。
後輩たちへ|“情報戦”を制する人が進路を制す



PEAKを目指すなら、まずは“求められる条件”を徹底的に調べること。そのうえで、東大を第一志望に据えることで、他の難関私大も視野に入れられます。ただし、日本と海外の併願はハードなので、どちらかに全力を注ぐのが現実的です
英語・日本語・韓国語の3ヵ国語を自在に使いこなし、制度を理解して最適な道を選ぶ——そんなアレックスさんの進路選択は、まさに“情報を活かす力”の象徴といえるかもしれません。
編集部より
地理も言語も文化もまたいで、自分にとって最も納得できる選択をする。アレックスさんの話からは、「進路は“受け身”じゃなく“戦略的に切り拓ける”ものだ」というヒントが詰まっていました。
自分を知り、世界を知り、そのなかで“どこに立つか”を決める。そんな選択を、あなたにも。
進路に迷ったら、相談もできます。
海外進学ラボでは、海外進学を視野に入れた“戦略的な進路相談”を行っています。一人ひとりの価値観・タイミング・資源に応じて、今、何をすべきか・何を選ばないかを一緒に整理します。
ご相談・ご予約はこちらから → [進路進路相談室ページ]
“戦略的に切り拓ける”!