英検準1級を受ける人が、年々増えています。
2024年度の受験者数は 約19万8863人。この10年間で、なんと約8倍に増えました。
多くの人が「2級の次のステップ」として挑戦するようになり、準1級は今や“英語力の分かれ道”ともいえる存在になっています。
しかしその一方で、「単語が難しい」「長文が読めない」「スピーキングで沈黙してしまう」――そんな壁にぶつかる受験者も少なくありません。
今回紹介するのは、そうした壁を乗り越え、見事に合格をつかんだ6人の中高生たちのリアルな記録です。
彼らの共通点は、特別な才能でも環境でもなく、「自分のやり方を見つけて、コツコツ続けた」こと。
この記事では、その6人のプロセスをもとに、次の挑戦に生かせる“英語力の育て方”を整理しました。

これから準1級の取得を目指す人、または前回惜しくも届かなかった人にとって、再スタートのヒントになるはずです
6人の合格者プロフィール
名前 | 学校など | 学習背景 | 合格タイプ |
---|---|---|---|
E.I.さん(高1) | 中高一貫・インターコース | 中3で1次合格も2次不合格。再挑戦で満点合格 | 継続と復習を徹底 |
K.E.さん(高1) | 私立中出身 | 洋楽とTEDを活用し、3ヵ月集中で突破 | 自主的インプット型 |
M.F.さん(中2) | プリスクール出身 | 幼少期から英語環境、スピーチ大会常連 | 体系的に学びを積み上げるタイプ |
S.N.さん(高2) | 公立高校 | 小学生から公文英語、国際プログラム参加 | 実践と自己分析のバランス型 |
H.S.さん(高3) | 伝統的な女子校 | 1年間のアメリカ留学後に準1級合格 | 実践的英語運用力が強み |
S.S.さん(中3) | 英語教育特化校 | 学校の英検対策を活用、塾なしで合格 | 自走型の継続学習者 |
学んだ環境もきっかけもさまざま。



でも6人に共通していたのは、「英語ができるようになりたい」という気持ちを、行動に変えて続けたことでした
合格者が口をそろえた「語彙力」の大切さ
どの合格者にも共通していたのが、「単語力をとにかく鍛えた」という声でした。英検準1級は、語彙のレベルが一気に上がります。見たこともない単語が並ぶ問題に、最初は誰もが戸惑います。
彼らが選んでいた教材はほぼ同じ。旺文社『英検準1級 でる順パス単』(アマゾンにリンクしています)です。
ただし、使い方にはそれぞれ工夫がありました。
- 音声アプリを使って、通学中にシャドーイング
- 単語カードを使わず、ノートに手書きでまとめる
- 覚えた単語には印をつけ、苦手リストをつくる
- 類義語・派生語をセットで覚えて「つながり」で記憶する
E.I.さんは「1日50語でもいいから、毎日必ずやる」と決めて、朝学習をルーティン化。最初の2ヵ月は単語だけに集中したといいます。



単語を覚えるのは退屈。でも、語彙が増えるとリーディングが楽になる瞬間がくる。そこから一気に英語が楽しくなった!
英語を“使う”時間を自分で作る
英検準1級では、“知っている”英語よりも、“使える”英語が求められます。6人の合格者は、学校や塾だけに頼らず、自分で英語を使う時間を作っていました。
K.E.さんは、TED Talksを毎朝1本見ることを習慣にしていました。



最初は字幕なしでは何を言っているのか分からなかった。でも、繰り返し聞いていると、“分からない”が“知ってる”に変わる瞬間があった
一方、S.S.さんは英語教育に力を入れる学校で、毎日の単語テストと仲間との励まし合いを積み重ねました。
👉 S.Sさん:英検準1級→合格までのリアル⑥|“中3までに準1級取得”を掲げる学校で、中2の冬に合格
共通していたのは、「インプット(読む・聞く)」と「アウトプット(書く・話す)」をセットにする意識。
TEDを聞いたら内容を英語で要約してみる、洋楽を聞いたら歌詞の意味を自分の言葉で説明してみる――そんな小さな練習を日常的に続けていました。
4技能をバランスよく伸ばす
準1級は、4技能すべてで高いスコアを求められます。
どれかが突出していても、苦手分野が足を引っ張る。6人の合格者は、「自分の弱点を認識し、全体を底上げする」学習を意識していました。
スキル | 主な取り組み | ポイント |
---|---|---|
リーディング | 時事英語や過去問の長文を精読 | 構文と要約力を鍛える |
リスニング | TED、BBC、過去問音源 | シャドーイングで耳と口を連動 |
ライティング | 過去問と添削を繰り返す | テンプレート化して構成を磨く |
スピーキング | オンライン英会話や模試練習 | 意見+理由を一貫して話す |
M.F.さんは、「読む・聞く・話す・書くをバラバラにやらない」と決めていました。TEDで興味のある話題を選び、それを英作文にしたり、家族に英語で説明したり。



学んだ内容をすぐに自分の言葉に置き換えることで、4技能のバランスを自然に整えました
モチベーションを保つ“自分だけの理由”
長期間の学習を続けるには、目的意識が欠かせません。
6人の合格者は、それぞれ「なぜ英検を受けるのか」をはっきり持っていました。
- 海外大学進学を視野に入れて(S.N.さん)
- 国際プログラムに応募するため(H.S.さん)
- 将来、英語を使って働きたいから(K.E.さん)
「点数のために頑張る」よりも、「この資格で自分の未来を広げたい」という気持ちが、日々の学習を支えるエネルギーになっていました。
また、彼らは一人で黙々と勉強するだけでなく、友人や先生と共有する工夫もしていました。
勉強の進捗を話したり、模試の結果を見せ合ったり。小さな成功を共有することで、モチベーションを保っていたのです。
不合格から学んだ“分析の力”
6人のうち3人は、一度不合格を経験しています。でも、その失敗を「やる気が続かなかった」では終わらせませんでした。



公式には発表されていませんが、英検準1級の合格率は約15~16%との見方が多くあります
E.I.さんは、初回の2次試験で沈黙してしまった経験を振り返り、「何を話せばいいかではなく、“どう伝えるか”を意識するようになった」と話しています。
👉 E.I.さん:英検準1級→合格までのリアル①|グローバル教育一貫校で英語をスタート、中1で2級→高1で準1級合格
次の試験では、自分の意見を「理由+例」で説明する練習を重ね、見事リベンジ合格。彼らは、不合格の原因を“感覚”ではなく“データ”で分析していました。
ライティングの構成ミス、リスニングの取りこぼし、時間配分。数字で課題を見える化することで、次の行動が明確になっていたのです。
合格までのプロセスを分解してみる
6人の合格者を比べると、学習期間や進め方には違いがありました。でも、全員に共通していた「流れ」は意外とシンプルです。
ステップ | 内容 | 学習期間の目安 |
---|---|---|
STEP1 | 語彙と文法の整理 | 約1〜2ヵ月 |
STEP2 | 長文と過去問演習 | 約2〜3ヵ月 |
STEP3 | ライティング・リスニング集中 | 約2ヵ月 |
STEP4 | スピーキング練習・模試 | 約1ヵ月 |
STEP5 | 弱点補強と復習 | 試験直前期 |
K.E.さんは「3ヵ月集中型」、M.F.さんは「1年かけてじっくり型」。
それぞれのペースに違いはあっても、「反復と継続」がすべての共通点でした。
合格の先にある“成長”
英検準1級の合格は、6人にとってゴールではありませんでした。その後、英検1級、TOEFL、IELTSなど次の挑戦に進んでいます。
とくに印象的だったのは、「英語を学ぶ姿勢そのものが変わった」(H.Sさん)という言葉です。
👉 H.Sさん:英検準1級→合格までのリアル⑤|留学がくれた「伝える力」― 英検面接で生きた経験値
K.E.さんは「勉強が“テスト対策”から“自己投資”に変わった」と話し、S.N.さんは「英語を通じて、世界とつながる感覚を得た」と語っていました。
準1級の学習を通じて、彼らは英語力だけでなく、計画を立ててやり抜く力を手に入れていたのです。
まとめ:次の挑戦へ向けて
英検準1級の合格に近づくためのポイントを、6人の体験から整理すると――
- 語彙力を地道に積み上げる
暗記ではなく「使える単語」を増やす。 - 英語を生活の中に取り入れる
毎日少しでも、英語を使う時間を確保する。 - 不合格を分析材料にする
点数を見える化して、次の行動を明確に。
英語の力は、1日では伸びません。でも、努力の積み重ねは必ず結果に変わります。
あなたの次の挑戦が、きっと“自分らしい英語力”を育てる時間になりますように。
6人のストーリーからも分かるように、英検準1級は“使える英語力”を試す登竜門。級別の特徴や最新スケジュール、大学入試での活用法は
→ 英検完全ガイド|2025年度の日程・攻略法・入試活用術まとめ