マレーシア教育移住ガイド2025-2026 | 学費・学校選び・帰国生入試対策

家族構成や選ぶ学校によって大きく変わりますが、年間400-800万円を目安に見ておくと安心です。

学費のほかに、住居や食事、光熱費といった生活費、さらに医療保険や交通費、週末の活動や趣味にかかる費用なども加わります。学校によって差はありますが、「学費＋生活費＋その他の諸費用」という全体像で考えることが大切です。

生活費については、日本と比べて全体的にやや抑えられるケースが多く、とくに住居費や外食費が割安です。

首都中心部では東京と同程度になることもありますが、郊外に住むことでぐっと費用を下げられます。食費も自炊を組み合わせれば負担は軽くなり、交通もタクシーや配車アプリを利用すれば比較的リーズナブルに収まります。

一方で教育費については学校ごとの差が大きく、日本の私立校と同等の場合もあれば、それ以上になることもあります。住む場所や通学方法を含めてトータルで検討することが、現実的な費用感をつかむうえで大切です。

マレーシア生活では、最初に思っていた以上に出費がかさむポイントがあります。代表的なのが「デポジット文化」と「一時帰国費用」です。

住居を借りる際には家賃の数か月分を保証金として前払いするのが一般的で、水道・電気・インターネットなどの契約時にも同様に保証金が必要になります。学校関連でも、制服や教材、課外活動、スクールバス代など、細かい費用が積み重なっていきます。

さらに、日本への一時帰国は年に数回という家庭も多く、そのたびに航空券代や滞在費が発生します。加えて、現地での医療費（特に私立病院利用）や、年に一度のビザ更新手続きなども忘れずに考えておく必要があります。

マレーシアは人口約3,300万人、多民族・多言語が共存する国です。マレー系・中華系・インド系が暮らし、日常の中でマレー語、英語、中国語、タミル語が飛び交います。

宗教もイスラム教や仏教、キリスト教、ヒンドゥー教などが共存していて、多様性そのものが社会の土台になっています。ASEANでも有数の経済力を持つ安定した国で、生活環境の整備も進んでいます。

教育移住先として人気が高いのは、旧イギリス植民地として培われた 英語教育の伝統 があること、そして 生活コストが日本より低い のに快適に暮らせること。多民族社会にいるだけで自然と国際感覚が磨かれるのも魅力です。

さらに、日本からは直行便でおよそ7時間、時差もわずか1時間とアクセス良好。東南アジアの中でも治安の良さはトップクラスで、親子で安心して暮らせる環境が整っています。

マレーシアは世界的にも比較的安全な国とされ、世界平和指数では常に上位にランクインしています。2024年には142ヵ国中10位（日本は17位）となり、多くの日本人家族が安心して暮らしています。実際、約2万5千人の日本人が現地に住んでいることからも、生活しやすさがうかがえます。

犯罪発生率は日本よりやや高めですが、日本人や外国人が多く住むエリアは比較的落ち着いており、安心して生活できる環境が整っています。特に、モントキアラ、バンサー、ダマンサラ、KLCC周辺といった住宅エリアは警備体制や生活環境が整っていることで知られています。

もちろん注意すべき点もあります。観光地や繁華街でのスリやひったくり、運転マナーの違いによる交通事故、そして洪水やヘイズといった自然現象など。ただし、日常的に基本的な注意を払えば大きな問題はなく、多くの家族が安心して暮らしています。

マレーシアは一年中あたたかい熱帯気候で、日中は30℃前後、夜も20℃台半ばと安定しています。湿度は高めですが、日本の夏のような蒸し暑さが続くと思えばイメージしやすいでしょう。

服装は一年中ほぼ夏仕様でOK。ただし、室内は冷房が強いことが多いので、羽織れるものを持っておくと安心です。

雨季は地域によって時期が違いますが、基本的には「雨が多い季節」と「比較的乾燥している季節」が交互にやってきます。大雨の時間帯を避ければ、日常生活に大きな支障はありません。

健康面で注意したいのは、乾季に起こりやすいヘイズ（煙害）と、雨季に増えるデング熱などの感染症です。小さな子どもには手足口病や胃腸炎も見られることがあります。

対策としては、空気清浄機を使う、蚊よけを徹底する、信頼できる小児科を確保しておく、海外保険に加入しておく、といった準備が有効です。

最初は体調管理に少し気を使いますが、生活に慣れてしまえば一年中快適に過ごせる環境です。

マレーシアでは長期的に暮らすための仕組みはいくつかあり、条件を満たせば永住権を得ることも可能です。永住権を持つと就労や不動産、子どもの進学などで自由度が広がり、生活の安心感も高まります。

一方で国籍取得はとてもハードルが高く、実際には日本国籍をそのまま維持しながら永住権や長期ビザで暮らす家族がほとんどです。そうした方法でも十分に快適に暮らせるため、あまり心配しすぎる必要はありません。

マレーシアは多宗教国家で、基本的に宗教の自由が守られているので、特別に心配する必要はありません。イスラム教が国教ではありますが、仏教やヒンドゥー教、キリスト教などさまざまな宗教が共存していて、とても寛容な雰囲気があります。

インターナショナルスクールでは宗教的に中立な運営が多く、授業や行事に関しても「希望すれば参加できる」スタンスが一般的です。

また、食事の面でもハラルやベジタリアン対応など柔軟に配慮してくれる学校が増えていて、必要に応じて相談できる環境が整っています。

マレーシアで日本人家族に人気なのは、モントキアラ、バンサー、ダマンサラ などのエリアです。

モントキアラは日本人が多く暮らしていて、日系スーパーやレストランがそろっている安心感があります。主要なインターナショナルスクールにも車で10〜15分ほどで通えるため、ファミリーにも人気です。

バンサーは欧米系外国人に人気のおしゃれなエリアで、カフェやショッピングも充実。都会的な雰囲気を楽しめる一方で、学校によっては通学に時間がかかる場合もあります。

ダマンサラは落ち着いた高級住宅街で、治安が良く静かな環境を求める家族におすすめ。多くのインター校にアクセスしやすく、駐在員ファミリーにも選ばれています。

いずれも魅力がありますが、まずは通う学校を決めてから通学時間を基準にエリアを選ぶのが安心です。

マレーシアでの家探しは、まず 「予算・場所・物件タイプ」 を決めることから始めます。オンライン検索は便利ですが、写真と実物が違うこともあるので、必ず現地で確認することが大事です。

見ておきたいポイントは、セキュリティがしっかりしているか、部屋の設備やネット環境が快適か、そしてプールやジムなど共用施設の充実度。小さなお子さんがいる場合は、子ども向け施設が整っているかも安心材料になります。

契約では、保証金や契約期間などが条件に含まれるので、信頼できるエージェントに相談しながら慎重に進めることがカギ。とくに外国人向けの契約は特有のルールがあるので、早めに確認しておくと安心です。

マレーシアでは、私立病院を中心に質の高い医療を受けることができます。中には日本語の通訳サービスを備えた病院もあるので、言葉の不安があっても安心です。

医療機関は大きく分けると、公立病院（費用は安いけれど待ち時間が長く英語やマレー語での対応が中心）、私立病院（外国人向けのサービスが充実し、診療もスムーズ）、そして街のクリニック（ちょっとした診療や専門医の受診が可能）があります。

利用するときは、海外旅行保険に加入してキャッシュレス対応できるか確認しておくと安心です。診察は予約制が一般的なので、事前に手続きをしておけば待ち時間も短くなります。薬については、日本で使っているものとの飲み合わせを医師に確認しておくと安心です。

緊急時には、まず保険会社へ連絡を入れること、そして必要に応じて日本大使館や領事館へ相談できる体制を頭に入れておくと心強いです。

マレーシアでは、配車アプリの Grab がもっとも手軽で便利。日常の移動はほとんどこれで済む家庭も多く、安全性も高いので親子での利用にも向いています。ただし雨の時期や混雑時間帯はつかまりにくいこともあるので、その点だけ注意が必要です。

一方で、郊外に住む場合や行動範囲を広げたい場合は マイカー を持つとぐっと自由度が上がります。国際免許で運転を始め、その後現地で更新して長く使う人も多いです。

公共交通機関としてはLRTやMRTといった電車が主要エリアをカバーしていて、都心部では便利。スクールバスを利用する家庭も多く、学校指定ルート内に住めば安心して通学できます。

暮らす場所によっておすすめの移動手段は変わるのがポイント。モントキアラのように日本人が多いエリアならGrabとスクールバスで十分、郊外なら車を持つと安心、都心部なら電車やバスを活用するなど、ライフスタイルに合わせて選ぶのがベストです。

マレーシアでは、日本の食材や日用品は思った以上に手に入りやすいです。日系スーパーや大型ショッピングモールには、醤油やみそなどの調味料から日本米、冷凍食品やお菓子まで幅広くそろっています。ドン・キホーテやイオン、伊勢丹など、日本でもおなじみのお店も進出しているので、海外にいることを忘れるほどです。

価格は日本よりやや高めですが、普段使いのものは十分確保できるレベル。現地の食材とうまく組み合わせたり、一時帰国の際にまとめて持ち帰ったりすることで、負担を抑えつつ快適に日本食を楽しめます。購入、一時帰国時の大量購入、現地の日本料理作りコミュニティ参加などです。

マレーシアで暮らす上で大切なのは、交通の注意 と 健康管理、そして 地域コミュニティとのつながり です。

交通面では、日本ほど歩道や横断歩道が整っていない場所も多いので、子どもだけでの徒歩移動は避けた方が安心です。車利用が基本になるため、スクールバスではシートベルトの着用を確認し、マイカーではチャイルドシートを徹底することが大切です。

健康面では、感染症やデング熱の予防として虫よけ対策を欠かさず、飲み水や食事の衛生管理にも注意を払うと安心です。冷房の使い方による体調管理も意外と重要なポイントです。

いざという時に備えて、警察や救急の番号、日本大使館や学校、かかりつけの病院の連絡先を手元にまとめておきましょう。

また、日本人学校や日本人会が発信する安全情報、保護者同士のネットワークやSNSグループなどを通じて、最新の情報を共有できる環境を持っておくとさらに心強いです

カリキュラムは大きく分けて IB（国際バカロレア）・英国式・豪州式 の3タイプがあり、それぞれに特徴があります。大事なのは「子どもの性格」と「将来の進路」に合うものを選ぶこと。

IB（国際バカロレア）
世界中で認められていて、大学進学にも強いのが魅力。批判的思考や問題解決力をしっかり育ててくれるけど、課題の量が多くてハード。自主性がないとちょっと大変かも。

英国式
歴史が長く、日本人にも馴染みやすいシステム。規律や礼儀を重んじ、GCSE→A-Levelと段階的に力をつけられる安心感あり。ただしルールが厳しく、競争も激しい面がある。

豪州式
全体のバランスが取れていて、体験学習やスポーツ・芸術も大事にするカリキュラム。費用も比較的抑えめ。ただし世界的な知名度はIBや英国式より少し劣るかも。

実は「どちらが良いか」は一概に言えず、子どもの年齢や性格によって最適解が変わってきます。

日本人が多い学校は、同じ文化背景の友達がいるので安心感があり、適応がスムーズ。保護者にとっても日本語での情報やサポートが得やすく、帰国生の先輩から受験情報をもらえることもメリットです。ただし休み時間も日本語中心になりやすく、せっかくの英語環境が十分に活かせないことがあります。

一方で日本人が少ない学校は、必然的に英語を使うので語学力や多様性への対応力が伸びやすい環境です。自分で考えて動く力もつきやすく、将来のキャリアにもプラスになります。ただし孤立感を覚えやすかったり、保護者が情報を自分で集めなければならない大変さもあります。

年齢が低いうちは安心感を優先して日本人の多い学校、高学年以降は挑戦を兼ねて少ない学校、という選び方をするご家庭も多いです。

学校を選ぶときは、教育の質・環境の整備・コミュニティの雰囲気をトータルで見ることが大切です。

授業では先生の教え方や生徒の反応を観察し、先生の経験や国際性もチェック。カリキュラムの進度や評価方法、そして進学実績も参考になります。施設面では教室や図書館、体育館やIT環境、そして安全対策や清潔さに目を向けましょう。

コミュニティの面では、生徒の表情や多様性のバランス、学校スタッフや日本人サポートの充実度、保護者同士のつながり方も重要です。

見学の際には、英語サポート（EAL）の仕組みや期間、課外活動の種類や参加しやすさ、いじめ防止の取り組みなども確認すると安心です。学費以外にかかる費用や、転入・転出のしやすさも気になるポイントです。

最後は、子どもがその学校にワクワクしているかどうか、そして通学や費用、将来の進路とのバランスを見て総合的に判断するのが一番です。

インターナショナルスクールでは、保護者の参加は基本的に 任意。PTAも「やりたい人がやる」スタイルが多く、日本のように必須で当番が回ってくることはほとんどありません。

学校イベントでは、文化祭や運動会、チャリティ活動などでボランティアを募ることがあり、希望すれば運営やお手伝いに参加できます。学級活動では保護者会や懇親会、個別面談などがあり、家庭と学校のつながりを持てる機会もあります。

また、日本人コミュニティに属すると、日本文化の紹介や日本語維持の活動に参加することもできます。そうした活動を通じて他の保護者とのつながりを作るのもひとつの楽しみ方です。

最近はデジタル化が進んでいるので、参加しなくても学校からの情報は得やすくなっています。「子どもに合わせて無理なく関わる」 というスタンスで大丈夫です。

多くのインターナショナルスクールでは、きょうだい優先制度があり、同時に申請することで入学しやすくなるケースがあります。ウェイティングリストで優先されたり、学費が割引になる場合があったり、手続きもまとめて進められるのでスムーズです。

同じ学校に通えば、兄弟姉妹で助け合える安心感があり、学校の情報も共有しやすくなります。送迎も一つの学校にまとまるので、保護者にとっても大きなメリットです。

一方で注意したいのは、入学審査はあくまでそれぞれの子どもの力で判断されること。また学年が離れている場合は調整が必要になったり、費用が一度にかかるため計画的な準備が大切になります。

マレーシアのインターナショナルスクールを卒業すると、世界のトップ大学を含め幅広い進路が開けます。イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダなどへの進学実績が豊富で、オックスフォードやハーバードなど名門校に進んだ先輩もいます。

カリキュラムごとに特徴があり、IBは国際的に強く、A-Levelはイギリス・英連邦圏、APはアメリカやカナダの大学に有利です。現地の大学進学では、海外名門の分校や有名私立大学で学ぶこともできます。

進学を成功させるには、英語力をしっかり伸ばすこと、課外活動に力を入れること、そして早めに進路を設計して学校のカウンセラーと相談することが大切です。

マレーシアの教育は、多民族・多文化の環境で学ぶからこそ、将来のキャリアに直結するスキルを自然に身につけられるのが強みです。

• 語学力
  　英語はもちろん、マレー語や中国語の基礎にも触れられて、多言語環境に強くなれます。
• コミュニケーション力
  　日常から異文化に触れることで、多様な価値観を理解しながらチームで動く力や、プレゼン・交渉の経験が積めます。
• 考える力
  　IBやA-Levelでは、課題やリサーチを通じて「自分で調べ、分析し、解決策を考える」力が鍛えられます。
• リーダーシップ
  　文化の違う仲間をまとめる経験、社会貢献活動への参加などを通じて、多様性に対応できる柔軟性や責任感が育ちます。

こうしたスキルは、国連や国際機関、多国籍企業、外交官、国際NGOなど、実際のキャリアにも直結しています。

マレーシアでの教育経験は、就職活動で大きな武器になります。

まず履歴書に「海外で学んだ」という実績があるだけで差別化でき、面接では多文化での経験談が説得力あるエピソードとして響きます。英語での面接やディスカッションでも、自信を持って臨めるのは大きな強みです。

業界別に見ても、商社・貿易、コンサルティング、金融、ITなど、グローバルに展開する企業との相性が良く、ASEAN理解がある人材は特に重宝されます。

入社後も、海外部門への早期配属や昇進のチャンス、駐在候補としての優先評価につながることが多く、キャリアのスタートラインから大きなアドバンテージになります。

大事なのは、「どんな経験をしたか」を具体的に語れること。課外活動や学校生活での挑戦を、就活に活かせるエピソードとして整理しておくとさらに効果的です。