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海外進学 Picks 9/6号|カナダ学生ビザ急落・韓国就職の壁・米の中国留学生政策転換・豪州29.5万人計画

「海外進学ラボ Weekly Picks」は、グローバル進学に関心のある中高生・保護者向けに、世界の教育ニュースを厳選してお届けしています。進路のヒントが“5分”で見つかる週刊特集です。

学ぶ国、学び方――
進学の「選び方」そのものが
静かに塗り替わりつつあります

今号では、留学をめぐる世界の最新動向を一気にチェックします。

カナダでは学生ビザ承認率が過去最低を記録し、韓国では教育の国際化と就職環境のギャップが浮き彫りに。アメリカでは中国人留学生をめぐる方針転換が波紋を広げ、オーストラリアは受け入れ拡大の国家計画を発表しました。

さらに、学生の声からはAIチャットがメンタルヘルスを支える新たな存在に。進路を考える上で、国ごとの政策や社会環境の変化は無視できません。忙しい日常の合間に、ざっくり世界の潮流をキャッチして進路選択の参考にしてください。

グローバルエデュは、親子で“納得できる進路選択”を応援する教育メディアです。2025年より海外進学ラボを新設し、Q&Aライブラリや進路相談、イベントを通じて、海外進学を目指す中高生と保護者をサポートしています。

Contents

カナダ学生ビザの2024年度承認率が5割を切る記録的な下落、却下理由も判明

留学志望者向けサポートを提供するApplyBoardの最新調査によると、2024年度のカナダ就学許可申請は約29万件が却下され、学生ビザ承認率は前年の約60%を大きく下回る48%にとどまりました。

こうした結果は、IRCC(Immigration, Refugees and Citizenship Canada)による移民政策の厳格化や留学生上限の引き下げと連動しており、その拒否理由からもIRCCが移民管理を最優先に位置付けていることが示唆されました。

同調査によると、2024年度拒否理由のトップ(76%)は「渡航歴に基づき、申請者が有効期間滞在後に出国するか不明瞭」。同項目は2021年時点では拒否理由のわずか7.6%に過ぎず、「ビザ期間終了後に速やかに出国する意思」がよりシビアに審査されるようになった状況が読み取れます。

拒否件数の急増を受けて、ApplyBoardは「透明性と申請準備の有効性について差し迫った疑問が生じている」と懸念を表明しています。

副編集長 城

カナダの留学生受け入れ状況も移民政策のトーンに影響される側面が強いようです。なるべく広範な視野を確保して動向を見守りましょう

出典リンク

韓国大学教育の国際化進む反面、留学生に対する就職面の障壁が課題に

韓国の国立国際教育研究院(NIIED)学長Han Sang-shin氏は、「留学生への雇用ニーズが存在するにもかかわらず、留学生・雇用者のミスマッチが解消できていない」と雇用環境の課題を指摘しました。

韓国は、2027年目標「留学生総数30万人」を見据え、高等教育の国際化戦略を推進。しかし、韓国中小企業連合会(KBIZ)の調査によると、留学生の90%以上が学業修了後も韓国に留まり就労を希望する一方、E-7ビザ(職業専門性の高い就労ビザ)取得が難しいため就職機会が限定的という回答が約3分の2を占める結果となりました。

こうした実情について、Sang-shin氏をはじめとする専門家は、企業人事部がビザ取得の煩雑さや組織文化順応への懸念を意識することで、最終的に無難な国内学生を選択する傾向が強いと指摘。既存の制度や価値観が、社会全体の国際化への障壁として浮かび上がっています。

副編集長 城

教育の国際化を社会還元するには、就労制度や企業構造の最適化も重要と気付かされます

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トランプ「2倍以上の中国人留学生受け入れ」発言、方針転換に利害関係者は動揺も

トランプ米大統領は、8月26日の閣議内で、新たに中国人留学生60万人を受け入れる方針を表明。これは、昨年度入学した中国人留学生27万7000人の2倍以上の規模となり、方針転換とも捉えられる発言から多方面の利害関係者に動揺が広がっています。

もともと第二次トランプ政権は学生ビザ審査を厳格化する方針で動いており、5月28日にはマルコ・ルビオ国務長官が「中国人留学生のビザを積極的に取り消す」公式声明を発表。こうした従来の動向から、今回の発言に「一貫性がない」という指摘も相次いでいるようです。

ただし、トランプ大統領が「Make America First」を最上位基準に行動することに変化はないと考えられます。彼自身「トップ大学以外は、留学生の授業料に頼らないと経営が困難」と言及しているほか、中国人留学生を受け入れないと「アメリカの国力維持に不都合な事情」が絡んでいると推察されます。

副編集長 城

例えば、対中国のAI開発競争を優位に進める道筋を模索しているのではないでしょうか

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豪政府、2026年の留学生受け入れ目標を29.5万人まで拡大する国家計画を発表

2025年8月4日、オーストラリア政府は次年度の国家計画レベル(NPL)を発表し、新規留学生入学枠を29万5000人に設定しました。

2025年度と比較して留学生の割り当てが2万5000人増加しており、世界中の留学生を今後も積極的に受け入れていく国家全体の姿勢が示されました。また、この入学枠には、厳密な人数上限は設けられず、あくまでビザの優先処理を実施する優先枠という意味合いにとどまります。

ただし、ここ数年のオーストラリアのビザ審査は移民政策との兼ね合いで厳格化傾向にあり、ビザ申請料も短期間で値上がりが繰り返されるなど、どちらかというと留学生を遠ざける要因が重複していたのも事実です。そのため、豪政府が国際教育部門の持続的発展を掲げたとしても、留学生に対する現行の障壁に一定の変更が加えられない限り、国際競争力が成長軌道に乗るのは難しいかもしれません。

副編集長 城

学生ビザ申請料については、水面下で減額に向けた調整が行われている情報も報道されています

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AIチャットが学生のストレス分析や身近な相談パートナーとして活躍の兆し

AIのチャットボットアプリを開発するAlongsideが、AIチャット機能を通じて収集した25万件以上の対話データによると、年齢・学年・地域を問わず学生がAIチャットに相談する話題トップ10が共通していることが判明。上位の話題には、1位「学校生活と課外活動のバランス」、2位「睡眠関係」、3位「孤独感と人間関係」などが入っています。

同アプリの製品・臨床部門責任者を務めるElsa Friis氏は、「日頃から多忙なカウンセラーには、より差し迫ったハイリスクな問題に対処してもらい、アプリ側が低リスク且つ表面化しきれない事象をカバーしたい」と学校カウンセラーの代替ではなく、補完ツールとして重要な役割を担える点を強調。

また、AIとメンタルヘルスの専門家は、「デジタルネイティブの子どもにとって、特にデリケートな話題は、対面よりも助けを求めるハードルが低い」とチャットボットに前向きな評価を与えています。

副編集長 城

相談相手の反応を気にしないで済むのは、チャットボットが持つ確かな優位性に感じます

出典リンク

次回予告:

ハードとは無縁なイメージがあるAI技術ですが、その運用には大規模なデータセンターの存在が欠かせません。米国では、そうした施設が学校の近隣に建設される可能性について懸念が広がっています。

世界の教育と日本をつなぐ
“確かな窓”でありたい
Weekly Picks 執筆・監修/ 城 圭一郎

教育メディア「グローバルエデュ」副編集長。国際教育・進路支援を中心に、世界の教育システムや最新動向を日本の家庭にわかりやすく届ける記事を多数執筆・編集。これまでに手がけた記事は500本超。正確な情報と多角的な視点で、進路選択と学びの可能性を広げるメディアづくりに取り組んでいる。

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