わたしが使える海外大学奨学金ってあるのかな?
昨今、海外大学進学の奨学金制度は充実してきています。早めに情報収集し、しっかり準備しましょう
海外大学進学に立ちはだかる「多額な留学コスト」を乗り越えるための、奨学金制度を紹介していきます!
海外大学奨学金2025 | 給付型奨学金の活用を検討しよう
海外大学進学を考えるうえで最大の難題ともいえるのが、学費をはじめとする留学にかかる費用ですよね。
しかし、昨今はさまざまな返済不要の給付型奨学金が登場しているため、それらの活用を検討している人も多いはず。
今回は、認知度の高いJASSO奨学金をはじめとする、おすすめの給付型奨学金を多角的に紹介していきます。
8つの奨学金を一覧リストでチェック
多くの奨学金の募集時期が7月以降なので、2025年度の詳細はこれから公表される予定ですが(2024年7月時点)、2023年度とおおむね同様の応募要件やスケジュールが適用されると想定できます。
名称 | 柳井正財団海外大学奨学金(2025年度) | 笹川平和財団スカラシップ(2025年度) | エン人材教育財団 海外進学奨学金(2025年度) | 東進 海外大学留学支援制度 | リクルートスカラシップ・学術部門(2025年度) | JASSO海外留学支援制度(学部学位取得型) | グルー・バンクロフト基金奨学生(2025年度) | 重田教育財団海外留学奨学金(2025年度) |
主催 | 公益財団法人柳井正財団 | 公益財団法人笹川平和財団 | 一般財団法人エン人材教育財団 | 株式会社ナガセ | 公益財団法人江副記念リクルート財団 | 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO) | 公益財団法人グルー・バンクロフト基金 | 公益財団法人重田教育財団 |
対象 | 原則20才以下、2024年9月以降2025年8月末までに高校を卒業し、2025年9月入学を目指す人 | 2025年6月末までに高校等を卒業予定で、2025年秋に財団指定の大学へ入学する人 | 原則20才以下で、対象大学への2025年秋入学を目指す人 | 本制度が定めるトップ大学への進学を目指す高校生 | 24才以下で、当財団の対象校に入学または在籍する理系分野専攻者(学部・修士・博士課程の正規留学限定) | 応募時日本に在住し、高校卒業後2023年4月1日~2024年3月31日までに学士課程または大学入学準備コースを開始する人 | 2025年6月までに高校卒業見込の高3生または2024年3月以降にに高校を卒業した人 (国内インターや海外現地校の場合も条件付きで対象) | 大学または大学院への入学が決定済みで、留学費用の支弁が困難な状況にあり、学位取得を目的とした2学年以上の正規留学期間を残す人 |
採用人数 | 予約型/20名程度、合格型/20名程度 | 最大35名程度 | 2~3名程度 | 各学年最大10名 | 8名程度 | 2023年度実績78名 | 奨学金①/1名、奨学金②/3名、 奨学金③/6名、捨松スカラシップ/1名 | 5名 |
応募時期 | 予約型/2024年7月18日~8月15日、合格型/未発表 | 秋期/2024年7月25日(木)~8月14日(水)15時、②春期/2024年12月以降 | 2024年7月8日~8月5日 | 全国統一高校生テストが開かれる毎年6月と11月の2回 | 2024年7月16日~9月17日 | 2022年9月5日~10月6日13時 | 2024年7月1日~9月9日 | 2024年5月1日~6月28日 |
対象国・大学 | 財団が定める米国のUniversity27大学とLiberal Arts College20大学、英国の7大学 | 米国大学24校、リベラルアーツカレッジ(米国)12校、英国大学4校 | 指定された米国の50大学 | ハーバード大学、ケンブリッジ大学など米英の名門8校 | QSまたはTHE世界大学ランキング最新版の総合や部門別順位で30位以内の大学、もしくは各国のランキング1位の大学 | 学士号が取得できる諸外国(地域)の大学 | 米国のリベラルアーツカレッジ | 海外の大学·大学院 |
支給期間 | 4年間(英国大学は3年間) | 米国大学:4年間 英国大学:3年間 | 4年間 | 4年間 | 2025年4月~2027年3月(ただし、毎年の更新審査を経て対象校に在籍中は受給可能) | 原則4年(学士課程や大学入学準備コースに入る前の語学研修期間は不可) | 4年間 | 2年間 |
所得制限 | 2023年度と2024年度の家計支持者の所得が各年度2700万円以下を満たすこと | なし | なし | なし | なし | 家計支持者の2021年所得金額(共働きであれば合算額)が2000万円以下 | 家計支持者の所得金額が2000万円以下 | 明確な所得基準は指定されないが、選考では家計状況を考慮 |
必要な英語力など | 原則として 語学試験:TOEFL iBT90または IELTS6.5、学力試験:SAT1400 またはACT31またはIB38(予測スコア) 上記水準に満たない場合も応募は可能 | 指定なし | 指定なし(TOEFL-iBT、IELTS、IBなどを任意提出) | 全国統一高校生テスト決勝大会における学年トップクラスの成績 | TOEFL iBT100点 (MyBestスコアも可)以上 または IELTS7.0点以上(ただし、対象校に合格済みまたは在籍中の場合は不要) 高校の学業成績は、90%以上を推奨 | TOEFL iBT80点以上またはIELTS6.0以上、留学先での使用言語が英語以外の場合はスコアがCEFR:B2以上を満たすこと | TOEFL iBT、IELTS、Duolingo English Testのスコア要提出 | 指定なし (ただし、TOEFL iBT、IELTS など英語力を証明するスコアは要提出) |
給付額 | 年間10万ドル(英国は6万8000ポンド)を上限に支給、別途支援金(年間1万5千ドル/1万1000ポンド)の支給あり | 原則として授業料・寮費・健康保険料などを全額支給、定額奨学金(年間$15,000/£11,000)の別途支給あり | 年間8万ドルを目安に上限なしで実費支給、定額生活支援金(年間1万5千ドル)も別途支給 | 米国/年間最大9.5万ドル、英国/年間最大6.5万ポンド | 米国なら年間上限学費9万5000ドル+生活費2万6400ドル(各国の現地通貨額に基づき支給) | 国や地域に応じて月額5万9000円~11万8000円(年間上限250万円) | 年間授業料の一部または全額を支給(詳細は大学ごとに異なる) | 年間240万円 |
選考方法 | 課外活動実績・自己PR、日本語エッセイ、提出された試験スコアなどの書類審査、英語の受け答えを含む面接、「予約型」のみ推薦状と学業成績表(調査書)を学校側が提出 | 英語と日本語の小論文、高校在学中のGPA(4.00満点換算)、TOEFL iBTほか英語試験のスコア(保有者のみ)、面接 | 在学中のGPA(4.00満点換算)や学業成績テストを踏まえた書類選考と個人面談2回 | 全国統一高校生テスト決勝大会の成績(英国数と課題論文)に、人物評価面接を併せて選抜 | 志望理由や自己PR、各300字程度のエッセイ、GPA4点満点に換算した学業成績、推薦状を含む書類選考、最終選考会における面接 | 志望理由・留学計画、学位取得後の進路計画、自己PR、日本語エッセイ、推薦状、成績証明書等による書類審査、面接審査 | 志望理由等に関する小論文など7本(40文字〜800字)、英語試験スコア、調査書、推薦状2通に基づく書類選考、面接試験 | 志望動機、自己PR、GPA付きの成績証明書、家計状況などを踏まえた書類選考と面接選考 |
海外大学奨学金2025 | アメリカの大学で使える奨学金
世界に進学先が広がっていますが、やはり圧倒的に人気なのが世界最多の大学数を誇るアメリカ。
今回ピックアップした8つの奨学金は、いずれも米国大学の学費支給に対応しています。
ただ、①支給対象となる米国大学を主催者が指定しているケースと、②奨学生が入学許可を得ていればどの大学でも認められるケースのふたとおりにわけられます。
まず、支給対象大学がいっさい指定されていないのは、つぎのふたつの奨学金です。
トップ大学以外も使えるJASSO、重田教育財団
- JASSO海外留学支援制度(学部学位取得型)
- 重田教育財団海外留学奨学金
上記であれば、かならずしも難関大学ではなくても、自身が入学可能な米国大学に係る授業料等を支援してもらえます。
対象校が指定される奨学金では、基本的に上位大学やエリート校のみが対象となるケースが多く、標準レベルの海外大学を中心に出願する場合は、このふたつの奨学金制度が有力候補となるでしょう。
両者は、支給期間において4年(JASSO)と2年(重田教育財団)と違いがあるものの、家計状況が考慮される点では共通しています
家計状況の捉え方としては、JASSOでは明確な基準(2000万円以下)が設けられているのに対して、重田教育財団の場合は総合的な判断材料の1要素という位置づけです。
そのため、ほかの応募者の家計状況によっては、相対的にシビアな評価基準が適用される可能性もあります。
米国の50大学が支給対象となるエン人材教育財団
大学が指定されているものの、米国の50大学がすべて支援対象となるのが、設立されて2年目を迎える「エン人材教育財団」の海外進学奨学金です。
米国の上位大学がメインではありますが、50校という幅広い選択肢が用意されているため、大半の高校生にとって検討すべき奨学金といえます。ただし、奨学生の採用人数は多くありません(2~3名程度)。
既卒生も使えるJASSO、笹川、重田、グルー・バンクロフト、エン財団、リクルート
続いて、現役高校生以外に、応募締切日までに高校などを卒業後3年以内の人なら応募が可能できるのが「JASSO海外留学支援制度」。
24才以下が応募できるリクルートスカラシップ・学術部門も、成績優秀な理系志望者という制限はありますが、年齢の許容範囲は広いです。
笹川平和財団も、年齢制限のない給付型の奨学金制度となっています。重田教育財団も年齢制限がなく、留学の途中からでも応募が可能。
エン人材教育財団の場合は、20才以下で大学1年次の入学を目指すのであれば応募資格を満たします。
そして、卒業から一定期間内であれば応募できる「グルー・バンクロフト基金奨学金」は、米国のリベラルアーツカレッジのみを対象にした制度。
この制度は、応募時点で4パターンの支援方法を選ぶ必要があります。
対象校のレベルは標準~難関まで幅広い印象で、採用人数は多くありませんが、学力上位者に限らず選抜される可能性のある制度ではないでしょうか。
トップ大限定の4つの奨学金
以下にあげる4つの奨学金制度は、世界トップ50~トップ10に入るような米国有数の名門大学をメインに対象校に定めています。
- 柳井正財団
- 笹川平和財団
- 海外留学支援制度(東進)
- リクルートスカラシップ学術部門(江副記念リクルート財団)
「柳井正財団」と「笹川平和財団」は、米国の総合大学(University)以外に、リベラルアーツカレッジ(柳井/20校、笹川/12校)も支給対象に含みます。
東進(株式会社ナガセ)の奨学金は、「全国統一高校生テスト」の成績優秀者が招待される「決勝大会」での成績がおもな選考材料となるため、全国的にとりわけ優秀な学力を有する生徒のみに開かれた制度と言えるでしょう。
学費支援を受けられる大学も、ハーバード大学、プリンストン大学、イェール大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学、カリフォルニア工科大学、ケンブリッジ大学、オックスフォード大学と8つのエリート校に限られています。
給付金額の規模(年額9.5万ドル)も今回紹介する候補のなかでトップクラスですが、一般向けとはいえない奨学金制度です。
「リクルートスカラシップ」は、理系分野を専攻する学生を対象とし、毎年発行される世界大学ランキング(QS/THE)に応じて対象校を定めている制度です。
2025年度は現地通貨ベースの支給額が設定され、円安リスクを回避できる仕様に変更されました。
こうした大学ランキングは、決して難易度順に選出されるシステムではありませんが、応募要件にTOEFL iBT100点以上などハイレベルな水準が求められることから、必然的に応募者を選ぶ奨学金制度と判断できます。
海外大学奨学金2025 | JASSO奨学金と倍率
貸与型奨学金としてのイメージも強い「JASSO奨学金」ですが、JASSOでは3つの給付型の海外留学支援制度を用意しています。
ここで紹介するのは、そのうちのひとつ「JASSO海外留学支援制度(学部学位取得型)」。
この奨学金のメリットは、採用人数が比較的多く、要求される英語試験のスコアが、TOEFL iBT80点以上、IELTS6.0以上など他の奨学金制度よりはボーダーラインが緩やかな点です
所得制限もクリアしなければなりませんが、基準が家計所得2000万円以下のため、問題なく応募できるケースがほとんどでしょう。
また、英国教育でおもに設置されている大学入学準備コース(ファウンデーションコース)も支給対象に含むのは好印象です。
英語圏の大学が選ばれる結果に
JASSOの公式サイトでは、2023年度学部学位取得型の選考結果が開示されています。ここで、最新の奨学生採用状況を整理しておきましょう。
主要な留学希望国·地域 | 応募者数 | 採用者数 | 倍率 |
米国 | 106 | 38 | 2.79 |
カナダ | 27 | 11 | 2.45 |
英国 | 42 | 18 | 2.33 |
オーストラリア | 30 | 3 | 10.00 |
オランダ | 11 | 4 | 2.75 |
合計 | 250 | 78 | 3.21 |
表以外にも、EU諸国やアジア地域への応募も見られますが、あまりいい採用結果には結びついていないようで、むしろ、カナダや英国の大学を志望して奨学生に選ばれたケースが目立っています。
そうした状況は、北米エリアや英国の採用倍率が2倍~3倍未満にとどまっているのに対して、全体の採用倍率が3倍を超えている点からも読み取れます。
また、2022年度の採用実績はコロナ禍も関係したのかトータル45名となっており、新年度も2023年度(78名)とほぼ同水準が採用されるかは断定できません。
海外大学奨学金2025 | アメリカ以外で使える奨学金
今回紹介した候補で、米国以外で使用できる奨学金には、国や地域が不問のJASSOと重田教育財団に加え、柳井正財団、笹川平和財団、東進、リクルートスカラシップ学術部門の4制度があげられます。
ただし、世界大学ランキング結果次第のリクルートスカラシップを除く3制度は、いずれも米国以外では英国の大学のみが対象となります
米国+英国も対象とする奨学金
柳井財団と笹川財団は、ともに英国大学の名門校(柳井/7大学、笹川/4大学)を中心に指定し、東進に至ってはケンブリッジ大学とオクスフォード大学のみが選択肢。
英国大学といえば、ファウンデーションコースの扱いがきがかりですが、柳井正財団と笹川奨学金は同コースを経由せずに英国大学に入学するルートを支給対象としています(ファウンデーションコース対象外)。
その他の奨学金制度は、ファウンデーションコースも含めて奨学金が支給されるようですが、重田教育財団については対象か否か募集要項に記載が見あたりません。
米国と英国以外のエリアは3つの選択肢
こうして、米国と英国以外を希望する場合は、リクルートスカラシップ(理系限定)、JASSO、重田教育財団が選択肢として残ります。
海外大学奨学金2025 | どの奨学金がおすすめ?
今回紹介した7つの給付型奨学金は、所得制限の有無がそれぞれ異なりますが、相対評価になりそうな重田教育財団を除けば、家計状況の審査がそこまで厳しくないケース(概して2000万円以下や2700万円以下が基準)が大部分でしょう。
トップ大学かつ高額な支給額を希望する場合は…
トップクラスの大学志望、かつなるべく高額な支給額を希望する場合は柳井正財団や笹川平和財団、さらにエン人材教育財団がおすすめの選択肢です。
とくに、笹川奨学金は2025年度より支給の上限設定がなくなり、原則として全額支給に切り替わっています。昨今は円安や物価高が続いているため、留学生にとって非常にありがたい変更点ですね。
制度自体が始まって間もないエン人材教育財団の奨学金も、原則として支給額の上限なしを掲げています。
採用枠と対象校が多めに設定されているのは…
採用枠と対象校の多さでは、柳井正財団の奨学金がもっとも充実しています。
笹川奨学金も似た傾向にあるものの、2025年度の募集は採用枠が5名程度少なくなるようです。
自分に合う留学先を選びたい場合は…
難関校志望ではない、知名度を問わず自分に合う留学先を選びたいという場合は、他の制度とくらべて制約事項も少ないJASSOの奨学金が最適です。