留学先 DATA
- 大学:米国「ネブラスカ州立大学カーニー校 University of Nebraska at Kearney」
- 大学の住所:905 West 25th Street, Kearney, NE 68849 U.S.A.
- 専攻:Business Administration(経営学)
- 留学期間:2011年8月〜2015年12月
- 留学コスト:年間230万円(学費、生活費含む)
- 「ネブラスカ州立大学」①<準備&留学スケジュール編>
- 「ネブラスカ州立大学」②<TOEFL iBT60点への勉強法>
- 「ネブラスカ州立大学」③<出願&ビザ取得編>
- 「ネブラスカ州立大学」④<大学生活&就活アドバイス>◀
「華麗に卒業」とはいかない大学生活
最終回となる今回は、私がアメリカで送った大学生生活の実態にフォーカスし、できる具体的に紹介したいと思います。
- 7時…起床後、シェアハウスのキッチンで朝食
- 7時30分…徒歩25分でキャンパスまで通学
- 8時…授業
- 10時…授業
- 11時30分…友達とキャンパス内で昼食
- 14時…図書館でクラスメイトと勉強(おもにこの日の授業の課題と予習、オンラインテスト)
- 16時…家でルームメイトと一緒に過ごす(なにもしない)
- 18時…授業(ナイトクラス)
- 20時…ルームメイトと夕食
- 22時…友達とLINE、家族とSkype、もしくはテスト勉強
- 24時…シャワー
- 25時…就寝
このように「基本的に勉強している」のが、大学での最後の学期のライフスタイルでした。
大学4年生の卒業前に単位をほとんど取り終え、就活を終えて有意義に過ごすというのが私の目標でした。
しかし、難易度の高い授業を学生生活後半まで「やりたくない」という理由で放置し続けた結果、完全に遅れを取ってしまいました。起きている時間は基本的に勉強しないと卒業できないかもしれない…という危機的状況に陥ったのです。
卒業に必須だったマネージメントの最難関クラスをとった際、1ヵ月後教授からメールが。「このままだと君は絶対卒業できないから、毎週水曜日にオフィスに来てプロジェクトの進行状況を見せなさい」と。
そんな状況をまったく知らない母は、卒業式にアメリカに来るのをとても楽しみにしていました。私も、母がアメリカ行きの話をするたびに焦燥感に駆られました。
滑り込み「卒業」はスリルいっぱい!
アメリカの大学の卒業式は、日本と異なり、春夏冬の3回あります。
毎回卒業が決まるまで、スリルいっぱい!
私の場合は、12月2週目の水曜日に最後の期末試験を受け、その2日後の金曜日に卒業式に出ました。
アメリカでは「卒業式歩く?」というおもしろい質問をよく耳にします。
まず、卒業するためには卒業式に出るための手数料を払い、式典で着るためのガウンなどをレンタルしなくてはなりません。卒業式では壇上で学部長と右手で握手をし、同時に左手で卒業証書を受け取ります。しかし、その中身はなんと空っぽ(!)。
卒業式の前日まで期末試験を受けている人もいるため、最終的な成績が出るのに数日かかり、どうしても証書が卒業式当日に間に合わないのです。
つまり卒業式を「歩く」人たちは自分が本当に卒業したのかわかっておらず、実際に卒業したかわかるのは本物の卒業証書が届く日なのです。
私は金曜日に卒業し、その週の日曜日に就職のためシカゴに引っ越す予定でした。そのため、最後に受けた期末試験の結果を早く出してもらわなくてはなりません。
教授のケータイに何度も連絡した甲斐があり、卒業式は13時に終わり、卒業証書は当日の17時にもらうことができました。
しかし、私の友達は翌週の木曜日まで待っていたし、学校によっては2ヵ月以上かかることもあるそう。もちろんそれまでに成績はオンラインで確認できますが、卒業証書が手に届くまで安心できません。
私は限りなくギリギリで卒業しましたが、周囲では難易度の高いクラスもバランスよく1、2年生のときにとり、後半に詰め込まない人も多くいました。
希望する時期に卒業するためには、全米の大学の教授の評価をシェアするサイト「RateMyProfessors」を活用して単位取得の傾向をチェックしておいたり、友人や先輩にどの授業を・どの教授で・どのタイミングで取ればいいかを聞いてみることがとても大切です。
また、私の大学ではどのクラスも20名ぐらいで授業をしていたので、授業に行かないとかならずバレました。
教授によっては「なぜ今日提出の課題を出していないのか」とメールが来ました。もちろんすべての教授がそこまで面倒見がいいとは限りませんが、1クラスだけでのつながりとは思えないほどよくケアされていたと思います。
大学時代は「自分の強み」を模索する時期
ここまで勉強について紹介しましたが、留学生活では「勉強だけではいけない」と思います。
勉強ができる学生は世の中にあふれるほどいて、同じ専攻を卒業をする学生も全米に数え切れないほどいます。
そのなかで、日本からきた留学生としていかにして「自分はちょっと違うんだ」というユニークな部分を見せることができるか、就職を考えるうえではとても大事になってきます。

寮の友達とのパーティ。
私は、アメリカでの就職は「学歴主義、コネ歓迎」というイメージを持っていますが、実際、銀行員になりたいのなら地元の銀行でインターンをしたり、商社でバイトしたりして早いうちに多くのネットワークを作る人も多くいます。
就職について明確なイメージを持ち、具体的な経験を織り込んだ履歴書は、学歴のみで勝負する人よりも強い武器となります。
人事担当者も「卒業後すぐに即戦力になる学生」を選ぶので、「新卒で何もわからないけど頑張ります」と就活する人よりも内定は早くでます。
そして、日本と大きく違うのは「旅行学の専攻で卒業した人が銀行で就職する」ことは、ほぼ不可能だということです。
日本でも、英文学専攻だった人がエンジニアの部署に配属されることはないと思いますが、アメリカではとても簡単に学部や専攻が変更できるのにも関わらず、就職先の業界を選ぶのは日本より難しいのです。
留学生である以上、バイトやインターンをするのはビザの関係上難しいですが、3ヵ月以上ある夏休みにどれだけ人と違うことができるかが、仕事を得るうえで大きなポイントになります。
人事担当者が履歴書を見ただけで「この学生と会って話をしてみたい」と思ってもらえるような履歴書を作るために、大学生活前半から貪欲に普段と違うことに挑戦するのをオススメします。
こういった挑戦は、最終的には「この業界は自分に向いてないな」と早く気づくチャンスにもなりますよ。
留学で得られる「大切なもの」
アメリカの大学では、日本ほどサークル活動が充実していません。
しかし、学生の間に起業したりボランティアをしたりと忙しい人は本当に忙しいいっぽうで、ヒマな人は時間を持て余してしまうという両極端な生活になる可能性があります。
私はなにをするにも時間がかかるタイプなので、勉強だけでも十分忙しかったのですが、それだけで学生生活を終えたくないなともずっと思っていたので、「とりあえずなんでも誘われたらやってみる」というポリシーでネットワークを広げていました。

大学では、マーチングバンド部に加入。
私の成績は友人が驚くほど低かったのですが、常に「自分はこうなりたい」という具体的な卒業後のイメージを持ち続けていたので、「もう辞めたい。日本に帰りたい」と言いながらも、卒業までなんとかモチベーションを持ち続けることができました。
大学が自分に合っていないのなら、環境を変えるために転学したり、休学して社会に出るのもアリだと思います。そして、新しい環境でゼロから自分のコミュニティを作るのがどれだけ大変なことなのか、早く学習することがとても重要です。
簡単に「この大学つまらない」と投げやりにならず、同じ場所で頑張ると、その長い期間に一緒に成長できるたくさんの人たちと出会うことができます。
米国での大学生活で、私が得た一番のものは「友達」です。
彼らとの出会いが今の自分をつくった、と言っても過言ではありません。できるだけ多くの人に会うために、そしてその人たちを知る以上に自分のことを知るために、私は海外留学を目指している人を応援しています。
思い立ったら、今日から準備しよう
とりあえず「海外大を選択肢に入れて進路を考えている」という人、思い立ったら今日からなにかはじめましょう。
あなたの競争すべき相手は、日本の外にいます。誰かが同じ参考書をAmazonで注文し、世界のどこかで同じ問題を解いているかもしれません。
私は地方出身なので、県内でTOEFLが受けることができず、対策をしてくれるような塾もありませんでした。
でも、2回目の「TOEFL iBT勉強法」で紹介した内容を中心に、トライ&エラーで目標点数に達することができました。
アメリカの大学生は、日本の学生とは比較にならないほどよく勉強します。海外から来る優秀な留学生たちと同じぐらい勉強しないと、卒業後仕事を取られるからだと私は理解しています。
アメリカの学生は、授業中居眠りをしたりスマホを見たりしないし、むしろ優秀じゃない人がクラスにいないのです。
大学に行かなくても、別に死ぬことはないし、パートタイムの仕事ならどこにでもあります。だから、「本当に自分は将来これがやりたいんだ!」という確固たる意志のない学生はどんどん退学していきます。
教室にいる学生数が激減するような、授業についていくのが困難なほど難関なクラスもあります。
ビジネス系の学部生の誰もが恐れる「ファイナンス」のクラスでは、半数のクラスメイトが落第。毎回試験が終わるたびに、学生の数も減っていきました。
過酷な部分も多いアメリカ留学ではありますが、世界中から集まったさまざまなバックグラウンドを持つ人たちと毎日過ごせる素晴らしい環境です。
私の大学の在籍学生は5000名と中規模だったので、キャンパス内を歩いているとかならず友達に会いました。
どのクラスも少人数で、ディスカッションやグループワークも多く、クラスメイトと協力しないと突破できないプロジェクトも数多くありました。
勉強漬けの毎日に嫌気がさしてホームシックになったとき、『あー大学辞めたい、日本に帰りたい』と突発的に思ったことも幾度となくありました。
でも、出会いには恵まれ、友達の存在のおかげで思い留まり、卒業までやってくることができました。
進路を拓くのに一番必要なのは「英語力」
もし、海外の大学をもう一度選べるとしたら、私はまた中規模の学生数の大学を選ぶと思います。
学費の安さと犯罪率の低さだけを重視し、ネブラスカの大学を選びましたが、都会に行くほど日本人も増えるので、英語力を磨きたいのなら地方を選ぶといいかもしれません。
交通や生活は、地方に行くほど「不便になっていく」のは確かです。
でも、最近はネットショッピングで何でも手に入りますし、大都会の日本人コミュニティーにどっぷり浸かってしまっては留学ではなくなってしまうので、気をつけたほうがいいと思います。
繰り返しとなりますが、一番必要なのはやはり英語力。
度胸やメンタルの強さも大事ですが、TOEFLの点数やGPA、人によってはSATなどのスコアが足りなければ希望の進路を選ぶことができません。
スコアが高ければ高いほど、選べる大学も増えます。英語力をアップするために、とにかく解く、解く、練習、復習に限ります。
入学したあとのほうが数百倍難しい課題をこなすことになりますが、その対価に見合う経験がその先にかならずあります。この経験は、日本では絶対できないことだと思っています。
多くの日本人は、謙虚で完璧に遂行しようとするので、自分のことを上手に表現することができませんが、アメリカでは謙虚すぎると社会の隅に置かれてしまう気がします。
チャンスがあれば「私にもできます(多分)!」ぐらいの勢いでアピールしないと、すぐ人の手に回ってしまうのがアメリカ。
それでも、周りに気付かれなくてもコツコツと重ねる努力は、かならず報われると私は信じています。そのプロセスで学び、得られたことは、すべて何かの形で自分に返ってくると思います。
「あのとき頑張ってよかった」と思える日がいつ来るかはわかりませんが、私はアメリカに来て本当によかったと思っています。
文と写真/竹中萌