海外大学進学や奨学金への応募、グローバル入試の受験など──こうした目標を持つ高校生にとって、CEFR B2レベルは最初に超えるべき重要な英語力の基準です。

本記事では、B2レベルの定義や英検・IELTS・TOEFLとの換算、そして高校生でも到達できる具体的な勉強法まで整理して紹介します
CEFR B2レベルとは?──「英語で学ぶ」第一歩
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)は、ヨーロッパ評議会が定めた国際的な語学力の指標です。



A1(初級)からC2(最上級)までの6段階があり、B2は“自立した言語使用者”の入り口に位置します
B2レベルの公式定義(Council of Europe, 2020)
自分の専門分野の技術的な議論を含む抽象的かつ具体的な話題の複雑なテキストの主要な内容を理解できる。お互いに緊張せずネイティブスピーカーとやりとりができる程度に流暢で自然である。幅広い話題について明確で詳細なテキストを作成でき、さまざまな選択肢の長所・短所を示しながら自分の視点を説明できる。



つまりB2は、「英語を学ぶ」段階から「英語で学ぶ」段階への転換点ともいえるレベルなのです
4技能別に見るB2レベルの実力
「B2で何ができるのか?」を、4技能ごとにわかりやすく見ていきましょう。
リーディング
| できること | 具体例 |
|---|---|
| 専門的な記事を理解できる | 社会問題やテクノロジー系ニュースを8割以上理解 |
| 抽象的内容も把握できる | “sustainability(持続可能性)”などの概念を含む文章を理解 |
| 長文処理が速い | 1,000語の記事を20分以内で要約できる |
B2の読解例:
“Renewable energy sources such as solar and wind power have become increasingly cost-effective…”
このレベルの英文を辞書なしで大意をつかめるのがB2です。
リスニング
| できること | 具体例 |
|---|---|
| ネイティブ速度の会話を理解 | 講義・ニュース・会議を大筋で把握 |
| 異なる意見を聞き分ける | ディスカッションやディベートを理解 |
| 専門的な説明をフォロー | TED Talksや学術プレゼンを理解できる |
実践例:
- BBCやTEDを字幕なしで7〜8割理解
- 海外大学のオンライン講義を受講可能
スピーキング
| できること | 具体例 |
|---|---|
| 意見を根拠とともに説明 | 「なぜそう思うか」を理由と例で3分以上話せる |
| 討論に参加 | 論理的な発言でディベートに加われる |
| 自然な流暢さ | 沈黙が少なく、会話がスムーズ |
例文:
“I believe that schools should incorporate more project-based learning because it develops critical thinking skills…”



主張→理由→具体例の流れで話せることが目安です
ライティング
| できること | 具体例 |
|---|---|
| 論理的なエッセイを書ける | 500語程度の意見文を明快に構成 |
| 情報を整理してまとめられる | 複数の資料をもとに論旨を統合 |
| 長所・短所を比較できる | “On the one hand… On the other hand…”を自然に使用 |
例文冒頭:
“The debate over whether university education should be free has intensified in recent years…”
英検・IELTS・TOEFLでのB2換算【2025年最新版】
| 試験名 | B2相当スコア | 備考 |
|---|---|---|
| 英検 | 準1級(CSE2304点以上) | 日本国内での主要基準 |
| IELTS Academic | 5.5〜6.5 | 海外大学の多くで入学要件 |
| TOEFL iBT | 72〜94 | 北米大学の条件付き入学ライン |
| TOEIC L&R | 785点以上 | 企業での業務英語基準 |
| TEAP | 309〜373点 | 大学入試英語検定活用例 |
| Cambridge English | B2 First(FCE) | 欧州中心に広く使用 |
- 英検について知る|国内で最も広く使われる英語試験。級ごとのレベル感や活用例を紹介
- IELTSについて知る|海外大学進学や国内難関大学出願で使われる国際試験。構成やスコア換算を解説
- TOEFLについて知る|北米大学進学で主に利用される英語試験。形式やスコアの目安をまとめ
試験ごとの特徴
- 英検準1級:教材が豊富で挑戦しやすいが、海外大学では正式証明にならない場合あり
- IELTS 5.5〜6.5:世界的に認知度が高く、海外進学志望者の第一選択
- TOEFL 72〜94:北米大学に強く、アカデミック中心の出題
あなたは今どこ?CEFR B2到達度チェックリスト



以下の項目で、15個以上に✓が入ればB2レベルに到達している可能性が高いです
リーディング
- BBC News、The Guardian などの記事を辞書なしで8割理解できる
- 1,000語の記事を20分以内で読み、要約できる
- 専門用語を含む文章でも文脈から意味を推測できる
- 小説や評論文の論旨を正確に把握できる
リスニング
- TED Talks を字幕なしで大筋を理解できる
- ネイティブ同士の普通の速度の会話を7割以上理解できる
- ポッドキャストやオーディオブックを楽しめる
- 映画・ドラマを字幕なしである程度楽しめる
スピーキング
- 自分の意見を3分以上、理由と例を挙げて説明できる
- ディスカッションで他者の意見に対して反論・質問できる
- 長い沈黙や言葉探しが少なく、スムーズに会話できる
- 抽象的なトピック(政治・哲学・文化)について話せる
ライティング
- 500語程度のエッセイを構成立てて書ける
- 序論・本論・結論の流れを意識して書ける
- 複数の情報源から引用し、一貫した文章にまとめられる
- “However”, “Furthermore”, “In contrast” などの接続詞を自然に使える
総合力
- 英検準1級に合格している、または合格圏内にいる
- IELTS 5.5〜6.5 / TOEFL 72〜94点レベルにある
- 英語で書かれた教科書や論文を読んで学習できる
- 海外の大学の授業を(サポートがあれば)受講できる
結果の見方
- 15個以上:B2レベルに到達している可能性が高い!自信を持って試験に挑戦しましょう
- 10〜14個:B2まであと一歩!弱い分野を集中的に強化すれば3〜6ヶ月で到達可能
- 5〜9個:現在B1レベル。この記事の勉強法を実践すれば、12〜18ヶ月でB2到達を目指せます
- 0〜4個:まずはA2→B1を目指しましょう。基礎固めから始めれば確実にステップアップできます



どの段階からでも、正しい方法で継続すればB2には必ず到達できます!
CEFRの全6段階(A1〜C2)の詳細や、英検・IELTS・TOEFLとの換算表は 👉 CEFRガイド:レベル一覧と英語試験対応早見表 にまとめています。B2以外のレベルも比較しながら、現在地を確認してみましょう。
なぜB2が“進学・キャリアの最低基準”なのか
海外大学の入学条件として
欧米・アジア主要大学では、授業を英語で受けられる基準としてB2を設定しています。
| 国 | 大学名 | 最低要件 |
|---|---|---|
| カナダ | トロント大学 | IELTS 6.5(各6.0) |
| カナダ | UBC | IELTS 6.5 / TOEFL 90 |
| オーストラリア | シドニー大学 | IELTS 6.5(各6.0) |
| イギリス | KCL | IELTS 6.0〜7.0 |
| アメリカ | UC系列 | TOEFL 80前後(B2) |
| オランダ | アムステルダム大学 | IELTS 6.0〜6.5 |
日本国内大学の英語プログラムへの出願
- 国際教養大学(AIU)の英語プログラム
- 国際基督教大学(ICU)の英語プログラム
- 早稲田大学国際教養学部(SILS)の英語プログラム
- 立命館アジア太平洋大学(APU)
- 法政大学GIS(グローバル教養学部)
- 上智大学国際教養学部(FLA)
日本の高校生とB2の現状
文科省「令和5年度英語教育実施状況調査」によると:
- 高3生のA2(準2級)到達:50%
- B1(2級)到達:20%前後
- B2(準1級)到達:ごく少数



一方、欧米では高校卒業時にB2が標準。つまりB2は、「世界基準に追いつく」ための明確な指標です
キャリアでも評価される基準
文科省や企業の国際業務基準では、TOEIC785点=CEFR B2相当が最低ラインとされています。会議・交渉・文書作成に英語を使える実践力としての証明です。
B2へ到達するための勉強法|4ステージ戦略
Cambridge English・British Councilのガイドラインによると、 英語学習をゼロから始めた場合、B2レベル到達には累積で約500〜600時間の学習が必要とされています。
A2からB2まで追加で約300〜400時間(6〜12ヵ月程度、1日1〜2時間の学習)が目安です。
※このタイムラインは、A2レベル(英検準2〜3級程度)からスタートする場合の目安です。 中学入学時(ゼロスタート)からの場合は、CEFR記事のB2への到達ステップを参照してください。
| ステージ | 期間目安 | 到達レベル | 学習内容 |
|---|---|---|---|
| 基礎固め | 3〜6ヵ月 | A2→B1 | 語彙3000語、文法完成 |
| 橋渡し期 | 3〜6ヵ月 | B1→B1+ | 多読・多聴によるインプット強化 |
| 実力養成 | 3〜6ヵ月 | B1+→B2- | スピーキング・ライティング強化 |
| 仕上げ期 | 2〜3ヵ月 | B2 | 試験対策・弱点補強 |
合計で約1年〜1年半が現実的な目安です。
ステージ① 基礎固め
- 語彙:『英検準1級 でる順パス単』などで5,000〜6,000語を習得
- 文法:『一億人の英文法』『English Grammar in Use』などで高校文法を網羅
ステージ② 多読・多聴期
- 多読:Oxford Bookworms Level4〜5、BBC Learning Englishなど
- 多聴:TED-EdやPodcastを毎日20〜30分
- 目的:量をこなし「英語を英語で理解する」感覚を身につける
ステージ③ アウトプット強化
- スピーキング:オンライン英会話でPREP法(主張→理由→例→結論)練習
- ライティング:週2〜3本のエッセイ練習(Grammarly活用)
ステージ④ 試験対策
- 模試:Cambridge IELTS、英検過去問などで実戦慣れ
- 弱点補強:最も低い技能に40%の時間を集中
- 重点練習:シャドーイング・スピーチ録音・添削
よくある質問(FAQ)
まとめ|B2は“ゴール”ではなく“世界へのスタートライン”
B2は「英語で学び、考え、発信できる力」の証明です。英検準1級・IELTS 6.0・TOEFL 80点前後が目安で、計画的に取り組めば高校生でも十分に到達可能です。
- B2=英語で学べる基準
- 累積500〜600時間で到達可能
- 語彙→多読多聴→アウトプット→試験対策の流れで効率的に学習
B2到達は「世界で学ぶためのスタート」。
このラインを超えた瞬間、英語は“教科”から“可能性の鍵”に変わります。



