現在の入学試験制度は保護者のみなさんが高校生のころと比べても、明らかに選抜方法の多様化が進んでいます。
具体的には、試験スコアの高い順から合格する一般入試に加えて、書類選考をメインに志願者を総合的に評価する総合型選抜(AO入試)の比率が高まっているのが特徴です。
海外進学ラボただ、そうした総合型選抜のほとんどが英検・TOEFL・IELTSなど英語資格スコアの提出を求めています。
また、ほぼ筆記試験によって合否が決まる一般選抜においても、英語資格スコアを有効活用できるケースは珍しくありません。
さらに、早慶上智、APU(大分県)👉、国際教養大学(秋田県)👉などすべて英語の授業で学位取得できるプログラムの導入も目立っています。



こうした英語学位プログラムの入試も総合型選抜に類するケースが多く、スコア要件は大学ごとに異なるものの、やはり出願時には英語資格の提出が必要です
このように、英語資格スコアは海外大学出願の要件になるだけでなく、国内大学のさまざまな選抜方式にも使える汎用性を備えています。
東京大学カレッジ・オブ・デザイン(2027年秋開設)|70年ぶりの新学部が示す方向性
とくに注目されているのが、東京大学が2027年秋に開設する 「カレッジ・オブ・デザイン」です。
全授業を英語で行うこの新学部の入試制度は、今後の日本の大学入試の方向性を示すものとして、多くの教育関係者が注目しています。
学士・修士5年一貫の教育プログラム
今回は2027年秋より東大が新たに開設する、すべて英語で授業を行う学士・修士一貫プログラム「カレッジ・オブ・デザイン」を取り上げながら、最新の国内入試トレンドや選考における英語力や英語資格の位置付けを解説していきましょう。
2つの入試ルート|Route AとRoute Bの選抜方法
| 修業期間 | 学部4年+修士2年=6年(最短5年で修了可能) |
|---|---|
| 募集人数 | Route A(日本人学生中心)50名、Route B(留学生中心)50名 |
| 選抜方法 | 提出書類・面接・学力審査を通じた総合的評価 |
| 募集要項発表 | 2026年8月 |
| 出願開始時期 | 2026年秋 |
Route A:日本の高校生を対象とした総合型選抜
- 提出書類(調査書または成績証明書、評価書、英語エッセイ)
- 東大が指定する英語能力試験の結果
- 英語メインの面接
- 大学入学共通テストの受験(指定科目は社会と理科の選択ルールが異なる2パターン)
Route B
- 提出書類(成績証明書、評価書、英語エッセイ)
- 英語面接
- 東京大学が指定する統一試験のうち少なくとも1つの試験成績(国際バカロレア、Aレベル、ACT、SAT等)
注目ポイント|共通テストと英語資格の両立
他大学の英語学位プログラムと同様、書類審査や面接を含む総合型選抜が採用されるようです。ただし、多くの日本人学生が選択することになるRoute Aでは大学入学共通テストの受験が求められます。
ただし、大学入学共通テストの結果が選考時に占めるウェイトや、提出可能な英語能力試験の種類は現段階では未確定です。
また、インターナショナルスクール等に通い、IBプログラムやケンブリッジAレベルを履修している場合、もしくはACTやSATの試験結果がある場合は、大学入学共通テストを受験しないRoute Bで出願することもできます。
総合型選抜での英語資格活用|IELTS・TOEFL・英検の位置づけ
英語学位プログラムに求められる英語力
先述の東大「カレッジ・オブ・デザイン」をはじめ、ほとんどすべての英語学位プログラムの入試は英語資格スコアの提出を出願要件に定めています。
大学ごとに対象試験は指定されますが、基本的に英検・IELTS・TOEFL iBTの3試験は提出が認められるケースが多いです。ただし、慶大経済学部PEARL 👉 や 上智大国際教養学部(FLA)👉では、英検は提出可能な英語試験に含まれないので注意しましょう。
そのため、海外大学の出願と併行して国内の英語学位プログラムを検討している場合は、IELTSもしくはTOEFL iBTのスコアを取得すると汎用性が高いです。
👉 IELTSを進路に活かす方法について知る, 👉 TOEFLを進路に活かす方法について知る
スコア要件が明示されない理由と対策
また、意外なことに総合型選抜では英語資格の最低スコアが明示されないケースが目立ちます。これには、あくまで総合的に学生を評価しようとする大学側の意図があると考えられます。
しかし、スコアを問わず出願できるとしても、高得点が求められないわけではありません。



とくに英語学位プログラムの場合は、帰国子女やインター生の出願も集中するため、大学によって英語力目安は多少上下するものの、現実的にCEFR:B2(英検準1級)レベルの確保が推奨されます 👉 CEFRについて知る
一般入試での英語資格スコア活用|加点・換算・満点措置の実例
大学別の英語スコア活用方法4パターン
一般入試において、英語試験スコアの提出が推奨されるケースも少なくありません。
その際、英語資格スコア(等級)がどのように扱われるかは、大学や受験方式によって以下のような違いが見られます。
- 出願時にスコア要件が定められるケース(ICU英語外部試験利用方式など)
- 提出スコアに応じて入学試験の合計点に加算(早大国際教養学部 👉など)
- 提出スコアに応じて英語科目の得点に換算(法政大GIS👉、APU 👉など)
- 一定のスコア基準を満たすと英語科目を満点に換算(国際教養大学👉)
CEFR B2以上で有利になる入試制度
一般入試においては、英語資格を提出しないでも出願可能な大学や受験方式も見受けられますが、上述のように加点や満点換算措置があるため、なるべく提出する方が合格しやすくなるのは明白です。しかも、CEFR:B2以上の英語力に該当すると、有利な加算や換算率が適用される入試方式が目立つようです。
また、英語科目の得点に換算するケースは、提出する英語資格スコアがそのまま本番の英語試験の出来に直結することから、選考プロセスにおける重要度は非常に高くなります。
👉 CEFR B2とは?レベル・英検換算・勉強法まとめ|大学進学に必要な英語力の基準
高校からの英語資格準備|CEFR B2到達のロードマップ
なぜ早期準備が必要なのか
英語資格試験の準備は、中学あるいは高校のなるべく早い段階から取り組むのがおすすめです。
とくに、受験までにCEFR:B2(英検準1級相当)に到達するには、日本の高校英語カリキュラムより明らかにハイレベルな英語力が要求されます。
理想的な学習スケジュール
さらに、出願時点でスコア基準を満たさなければならないケースを踏まえると、一般的な受験シーズンよりも早く、夏の終わり頃までには目標の英語力に達しているのが理想です。
また、学習面だけでなく、入試制度や新設学部の動向など、英語資格を活かすにはどのような選択肢があるか最新情報への感度を高く保つことも大切です。
まとめ|英語資格が切り拓く多様な進路
東大PEAKの募集停止とカレッジ・オブ・デザインの開設
東大注目の新学部としてカレッジ・オブ・デザインを紹介しましたが、同学部の開設と入れ替わるように、東大教養学部から派生した英語学位プログラム「PEAK」👉 は2026年秋入学を最後に募集停止が発表されています。
このように、日本の高等教育環境では英語学位が本格採用されるようになって15年程度と日が浅く、新たな動きや年度ごとの変更点が多いのが特徴です。
ただ、全体的な傾向として、大学の独自試験だけにこだわるより、英語能力試験や大学共通入学テストを活用して幅広い背景の学生を受け入れるトレンドは鮮明になっており、今後も英語資格の汎用性や有用性がますます向上するのは既定路線でしょう。
次回予告:国内奨学金と海外奨学金の違い
次回は、国内奨学金と海外奨学金の違い、英語力によって得られる多様なサポートの形を紹介します。






