IELTS(アイエルツ)は、世界140ヵ国・1万1000以上の教育機関で採用されている英語4技能テストです。
受験者は年間400万人以上。英検・TOEFLを超える世界最大規模の英語試験として、海外大学出願や日本の大学入試でも広く活用されています。
この記事では、「IELTSスコアとは?」という基礎から、CEFR換算表・英検やTOEFLとの違い・5.5〜7.5レベル感・過去問・勉強法までをまとめて解説します。
IELTSスコアとは?仕組みとCEFR換算表
IELTSでは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能をそれぞれ0.0〜9.0の9段階スコア(バンドスコア)で評価します。
0.5刻みで算出され、4技能の平均値が総合スコア(Overall Band Score)となります。
このスコアは国際的な言語能力指標である「CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)」に準拠しており、英検やTOEFL iBTとも相互比較が可能です。
| IELTSスコア | 評価 | CEFRレベル | TOEFL iBT換算 | 英検換算目安 |
|---|---|---|---|---|
| 9.0 | エキスパートユーザー | C2 | 118–120 | 英検1級上位 |
| 8.0〜8.5 | 非常に優秀なユーザー | C1〜C2 | 110–117 | 英検1級 |
| 7.0〜7.5 | 優秀なユーザー | C1 | 94–109 | 英検準1級上位 |
| 6.0〜6.5 | 有能なユーザー | B2 | 60–93 | 英検準1級 |
| 5.0〜5.5 | 中程度のユーザー | B1〜B2 | 35–59 | 英検2級〜準1級 |
| 4.0以下 | 限定的/初級レベル | A1〜B1 | 〜34 | 英検2級未満 |
IELTSのスコアをCEFRや英検と照らして見たい人は、👉 CEFR完全ガイドも参考にしてください。
IELTS中高校生向けガイド|4つの受験メリットと海外大学に必要なスコアアップ
IELTS(アイエルツ)は、世界140ヵ国・1万1000以上の機関に受け入れられている英語4技能検定試験です。海外大学への出願や日本の大学入試でも利用できるなど、幅広い用途を持つ試験です。
IELTSを受験することで得られる主なメリットは次の4つです。
① 海外大学に出願する際、英語力を証明できる
IELTSのスコアは、イギリス・オーストラリア・カナダをはじめ、アメリカやアジア諸国の大学にも広く認められています。
大学出願時に英語力を証明する公的な資料として提出でき、留学準備の第一歩となります。
② 日本の大学入試に利用できる
日本国内の大学でも、一般入試や総合型選抜(AO入試)などでIELTSスコアを英語力の証明として提出できるケースが増えています。特に国際系・英語系学部では採用率が高まっています。
③ 受験しやすいテスト日程・形式
IELTSは、ペーパー形式とコンピューター形式の2種類を選べます。ペーパー版は月3〜4回、コンピューター版は主要都市で週に複数回(東京・大阪ではほぼ毎日)実施されており、自分のスケジュールに合わせて受験しやすいのが特徴です。
ただし、コンピューター版の受験会場はペーパー版よりも少なめです。
④ 大学に入ってからも留学に活用できる
IELTSのスコアはTOEFL同様、2年間有効です。日本の大学受験で活用したのち、入学後に協定校留学などを希望する場合にも、タイミング次第で同じスコアを利用できます。
IELTS・TOEFL・英検の位置づけ
英語4技能を測る試験として、日本では「英検」、海外進学では「IELTS」や「TOEFL」が主に利用されます。どれも英語力を証明できる試験ですが、目的・出題内容・評価方法に大きな違いがあります。
| 項目 | IELTS | TOEFL iBT | 英検 |
|---|---|---|---|
| 主催 | ケンブリッジ大学英語検定機構、British Council、IDP Education | ETS(米国) | 日本英語検定協会 |
| 主な用途 | 海外大学・大学院出願、移住申請 | 海外大学・大学院出願 | 日本の学校での英語力証明 |
| 実施形式 | ペーパー/コンピューター(自宅受験可) | コンピューター(自宅受験可) | 会場受験(一次筆記+二次面接)、S-CBT |
| スピーキング | 試験官と1対1の対面式 | 録音形式(PCに回答) | 面接官との対面(S-CBTはPCに回答) |
| スコア/評価 | 1.0〜9.0(0.5刻み) | 0〜120点 | 合否判定(CSEスコア/1技能550〜850) |
| 有効期限 | 2年 | 2年 | 期限なし |
| 年間受験者数 | 約400万人 | 約200万人 | 約400万人(国内) |
| 採用国・機関 | 140ヵ国・約11,000機関 | 160ヵ国・約13,000機関 | 主に日本国内 |
出題内容と難易度の違い(IELTS・TOEFL・英検)
IELTS
- 英語4技能を実践的に測る試験
- アカデミックとジェネラルの2タイプあり、リーディングとライティングが異なる
- スピーキングは面接官と1対1の面談形式
- 語彙・文法の幅、論理性、一貫性が重視される
TOEFL iBT
- アカデミック分野に特化した内容
- 大学講義や討論の理解を求められる
- すべてパソコン上で回答し、スピーキングも録音形式
- リーディング・リスニングが特に長く集中力が必要
英検
- 日本国内向けに設計された英語資格
- 日常・社会的トピック中心の出題
- CEFRに準拠したCSEスコアで英語力を数値化
- 一度合格すれば永久有効だが、海外大学では認定されにくい
CEFR換算で見るスコア対応表(IELTS・TOEFL・英検)
| CEFRレベル | IELTS | TOEFL iBT | 英検 |
|---|---|---|---|
| C2 | 8.5〜9.0 | 115〜120 | 1級上位 |
| C1 | 7.0〜8.0 | 94〜114 | 準1級〜1級 |
| B2 | 5.5〜6.5 | 60〜93 | 準1級〜2級 |
| B1 | 4.0〜5.0 | 35〜59 | 2級〜準2級 |
| A2以下 | 〜3.5 | 〜34 | 3級以下 |
どの試験を選ぶべき?
進路によって、最適な試験は異なります。
| 目的 | おすすめ試験 |
|---|---|
| 海外大学・大学院に出願したい | IELTS または TOEFL |
| 海外移住・ワーキングホリデー申請 | IELTS General Training |
| 日本の大学入試で英語力を証明したい | 英検(2級〜準1級)またはIELTS/TOEFL |
| 将来の海外進学も視野に入れたい | IELTS Academic(6.0〜6.5を目標) |
TOEFL iBTとの違い
海外大学進学のために求められる英語力認定テストには、IELTSのほかにもTOEFL iBTがあります。
どちらも海外の大学で入学の可否を決める指標として広く採用されており、TOEFL iBTは160ヵ国以上、約1万3000の教育機関が、IELTSは140ヵ国以上の1万1000以上の機関で認定されています。
| テスト名 | 受け入れ国数 | 受け入れ機関数 | 年間受験者数 | 受験時間 | 受験料 |
|---|---|---|---|---|---|
| TOEFL iBT | 約160ヵ国 | 13,000 | 200万人 | 2時間 | 195ドル |
| IELTS | 約140ヵ国 | 11,000 | 400万人 | 2時間45分 | 約27,500円 |
TOEFLとのテスト時間や問題数の違い(2025年9月現在)
| セクション | IELTS(問題数・時間) | TOEFL(問題数・時間) |
|---|---|---|
| Listening | 40問・約30分+見直し時間2分 (ペーパー版は見直し時間10分) | 20問(35分間) |
| Reading | 40問(60分) | 28問(38分間) |
| Writing | 2問(60分) | 4問(16分間) |
| Speaking | 3パート構成(11~14分) | 2問(29分) |
試験内容は、いずれもリーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの4技能を測る試験となっていますが、異なる点もあります。
結論:国際的な進路を考えるならIELTSがおすすめ
IELTSは、英検のように国内でも評価されながら、TOEFLと同等に海外大学出願で使える万能スコアです。
TOEFLは2026年1月に大幅リニューアルを控えていることもあり、今後しばらくはスコア評価や換算基準の安定性を見守る必要があります。
また、アメリカの学生ビザの発行に関しても制度変更が続いており、現時点では海外大学進学を目指す受験生にとって、評価体系が安定しており、より多くの国や大学で広く採用されているIELTSを優先的に選ぶのが安心といえるでしょう。
IELTSの評価方法とスコア算出
IELTSでは、リスニング・リーディング・ライティング・スピーキングの4技能を、9段階0.5刻みのバンドスコアによって評価します。各スキルと試験全体の成績が、いずれもこのバンドスコアとして表示されます。
CEFRに準拠した信頼性のあるスコア
IELTS所有機関のひとつ「ケンブリッジ大学英語検定機構」が、国際的な言語能力評価指標「CEFR/セファール」(ヨーロッパ共通参照枠)の発足から関わってきた経緯もあり、IELTSバンドスコアもCEFRレベルに準拠した信頼性のあるスコアとなっています。
IELTSのバンドスコアに対応する英語ユーザーレベルは、以下のとおりです。
IELTSスコア換算表(TOEFLとの比較)
| IELTSスコア | IELTSの評価 | CEFR | TOEFL iBTスコア |
|---|---|---|---|
| 9.0 | エキスパートユーザー | C2 | 118–120 |
| 8.5 | 非常に優秀なユーザー | C2 | 115–117 |
| 8.0 | 非常に優秀なユーザー | C1 | 110–114 |
| 7.5 | 優秀なユーザー | C1 | 102–109 |
| 7.0 | 優秀なユーザー | C1 | 94–101 |
| 6.5 | 有能なユーザー | B2 | 79–93 |
| 6.0 | 有能なユーザー | B2 | 60–78 |
| 5.5 | 中程度のユーザー | B2 | 46–59 |
| 5.0 | 中程度のユーザー | B1 | 35–45 |
| 4.5 | 限定的なユーザー | B1 | 32–34 |
| 0.0〜4.0 | 非ユーザー | A1–B1 | 0–31 |
IELTS Academicにおける採点方法
Reading(リーディング)
| バンドスコア | 正答数(40点満点中) |
|---|---|
| 5.0 | 15点 |
| 6.0 | 23点 |
| 7.0 | 30点 |
| 8.0 | — |
Listening(リスニング)
| バンドスコア | 正答数(40点満点中) |
|---|---|
| 5.0 | 16点 |
| 6.0 | 23点 |
| 7.0 | 30点 |
| 8.0 | 35点 |
Writing(ライティング)
おもに以下の評価基準に応じて、9バンドスコアで採点。
- 課題の達成度(タスク1)
- 課題への回答(タスク2)
- 一貫性とまとまり
- 語彙力
- 文法知識と正確さ
Speaking(スピーキング)
おもに以下の基準で採点。
- 流暢性と一貫性
- 語彙力
- 文法知識と正確さ
- 発音
Overallバンドスコア(4技能の平均スコア)
IELTSテスト全体の得点は、各科目のバンドスコア合計÷4で算出します。
0.5刻みにならない場合は、もっとも近いバンドスコアに切り上げまたは切り下げ処理で確定。ただし、バンドの中間値となった場合は切り上げてスコアを算出します。
バンドスコア算出例
- 4技能平均値6.125 → Overallバンドスコア6.0
- 4技能平均値6.75 → Overallバンドスコア7.0
- 4技能平均値5.25 → Overallバンドスコア5.5
海外大学で求められるスコア目安
海外大学進学を志望する場合は、IELTS6.0〜6.5程度を目標にするのが一般的です。多くの大学ではこのスコアを出願条件としています。
いっぽう、米英トップクラスの大学やアイビーリーグ相当を目指す場合は、IELTS7.0以上を確保するのが望ましいです。言い換えると、バンドスコア7.0に達していれば、大学入試や出願の用途でそれを上回るスコアを求められるケースは稀です。
まとめ:IELTSスコアから見える目標設定
- 5.5〜6.0: 海外の提携大学や語学留学レベル
- 6.0〜6.5: 一般的な海外大学への出願ライン
- 7.0〜7.5: トップ大学・大学院入学レベル
- 8.0以上: 高度なアカデミック英語運用者
IELTSは、英語4技能を実践的に測るテストとして、CEFR基準に直結した信頼性の高い試験です。自分の進学先や学習目的に合わせて、必要なスコアから逆算して学習計画を立てることが成功への近道です。
IELTSの勉強法とスコアアップ戦略
IELTSのスコアアップには、単に「英語力を伸ばす」だけでなく、試験形式に慣れ、出題傾向を理解することが欠かせません。
とくにリスニング・ライティング・スピーキングでは、出題パターンや構成を体で覚えるのが近道です。
過去問を中心に学ぶのが最短ルート
IELTS対策では、公式過去問題集(Cambridge IELTSシリーズ)を活用するのが基本です。本番と同じ形式・難易度で構成されており、問題構成や時間配分を正確に掴むことができます。
- 過去問1冊=4回分の模試(約12〜14時間分)
- 最新の「Cambridge IELTS 18」「19」などを中心に使用
- 模試を実施→自己採点→弱点分析→復習の流れを繰り返す
また、リーディングとリスニングは過去問との相性が最も高い技能。出題傾向の再現率が高いため、やみくもな参考書よりも過去問演習を優先しましょう。
単語学習の基本は“的中率の高い語彙帳+実践併用”
IELTSに頻出する語彙はアカデミック分野に集中しており、単語帳は“IELTS向け専用”のものを1冊に絞るのが効率的です。特に「英検準1級〜1級」と重なる語彙も多く、文脈で覚えるのがポイント。
- 推奨教材:「Cambridge Vocabulary for IELTS」または「IELTS必須単語6000」など
- 学習方法:単語帳+過去問の本文で使用例を確認
- TEDやBBCニュースを使った実践的な語彙強化も有効
模試と時間管理の練習
IELTSは制限時間が厳しく、時間配分のトレーニングが重要です。特にリーディング(60分で3パッセージ)は、1題ごとに20分以内で解き終える必要があります。
本番に向けては、過去問を使った模試形式の通し練習(週1回程度)を取り入れるのがおすすめ。タイマーを使い、本番環境で解くことで集中力とリズムを体に覚えさせましょう。
スピーキング・ライティングは「型」を身につける
スピーキングとライティングは、英語力だけでなく構成力・論理展開が評価されます。ライティングでは「Introduction/Body/Conclusion」の3部構成を意識し、スピーキングでは「理由+具体例+まとめ」で回答を組み立てましょう。
AIツールや模擬面接サービスを使って自動採点・自己分析を行うのも効果的です。実際の面接官との模擬練習を取り入れると、スコア上昇が早まります。
👉 詳細は、AIを活用したIELTS学習を参照。
実際にIELTSスコアを達成したSENPAIたちの学習ストーリー
ここでは、様々なスタート地点から目標スコアを達成した先輩たちを紹介します。
実際にIELTSスコアを達成したSENPAIたちの学習ストーリー
ここでは、さまざまなスタート地点から目標スコアを達成した先輩たちを紹介します。
【5.5達成】くらさん|英検準2級→IELTS5.5(3年間)
普通の高校生が地道に継続。カナダ大学進学へ。→ 詳しい体験記を読む
【6.0達成】I.Uさん|英検準1級→IELTS6.0(8ヵ月)
語学留学で実用英語力を磨き、オーストラリアへ。→ 詳しい体験記を読む
【6.0達成】wingさん|英検2級→IELTS6.0(1年間)
仲間と励まし合い、ニュージーランド大学へ。→ 詳しい体験記を読む
【7.0達成】にんじゃさん|英検3級→IELTS7.0(3年間)
劇的な成長を遂げ、オランダ・トップ大学へ。→ 詳しい体験記を読む
👉 体系的なIELTS対策講座で目標スコアを目指す人は 英語伴走アカデミー|IELTS対策講座 をご覧ください
受験プロセスと申込方法
IELTSは、日本全国の主要都市で毎週のように試験が実施されています。受験はオンラインでの事前申込制で、希望する日程・会場を選択します。
試験の種類と選び方
IELTSには2つのモジュールがあります。
- Academic(アカデミック):海外大学・大学院出願向け
- General Training(ジェネラル):海外移住・就労向け
日本の受験生は、ほとんどの場合「Academic」を受験します。申込時に「ペーパー版」か「コンピューター版(CBT)」を選択可能です。
申込手順(基本の流れ)
- IDPまたはBritish Council、英検協会のIELTS公式サイトにアクセス
- アカウントを作成し、受験タイプ(Academic/General)を選択
- 会場・日程を選び、受験料をオンライン決済(約27,500円)
- 試験前に受験票・当日の案内を確認
- 試験当日は身分証明書(パスポート)を持参
結果確認とスコア提出
コンピューター版では試験後約5〜7日、ペーパー版では13日後に結果が発表されます。
スコアレポート(Test Report Form)は紙とデジタルの両方で発行可能。
出願時には大学にスコアを直接送付することもできます。
IELTS受験のヒントまとめ
- まずは目標スコア(例:6.5)を決める
- 公式過去問で出題傾向をつかむ
- 弱点技能を特定して集中対策
- 模試で時間配分を徹底練習
- AIツール・面接練習で実践力を高める
IELTSは、世界で最も信頼される英語力証明テストのひとつ。「試験勉強のための勉強」ではなく、英語で学び、考え、伝えるための準備として取り組むことで、留学・進学後の学びが圧倒的にスムーズになります。












最大規模の英語4技能テスト