愛知県の進学校・瑞陵高校に在学中、カンボジアのキリロム工科大学に進学した渡邉日南代さん。高校1年で高卒認定を取得し、高校2年で現地大学に合格。2021年2月にIT学部へ入学しました。

一枚の写真から始まった「発展途上国への関心」を出発点に、誰も選ばない進路を切り拓いた背景と決断のプロセスを伺いました
小学生の頃に芽生えた使命感
小学生の頃、母の部屋で「ハゲワシと少女」という有名な報道写真を見つけた渡邉さん。



自分は何の不自由もなく暮らしているのに、世界にはこんな現実があるのか——
そう思ったことが、発展途上国に関心を持つきっかけになりました。
「1年だけの留学」では足りない
自分は何かしなくては、という使命感を感じた渡邉さん。大学は自分のやりたいことをとことんやる場所だと考えていました。そこで、当初は国内大学に進学しつつ、1年間だけ発展途上国へ留学するつもりでした。
ところが母からは、「たった1年で何が分かるの?どうせやるなら4年間過ごしなさい」と言われます。
その通りだと思った渡邉さんは、海外経験ゼロの状態で東南アジアを実際に旅し、自分の目で確かめた上で、最終的にカンボジア進学を決めました。
進学校での迷いと先生の後押し
渡邉さんが在学していたのは、愛知県を代表する進学校・瑞陵(ずいりょう)高校。しかし「途上国の無名な大学に進むより、国内の外国語大学や国際系学部へ」と進路変更を勧める教員もいたといいます。


部活動に打ち込んだ高校時代
それでも担任の先生は「新しいことに挑戦する若者の担任になれて嬉しい」と言ってくれ、その言葉が大きな励みになりました。
高一で高卒認定→高二で大学合格
カンボジアの大学は、高卒認定があれば高校1年生から受験できるということで、挑戦を現実にするために、高校1年で高卒認定を取得。翌年、高2でキリロム工科大学を受験し、見事合格しました。
英語力の証明には英検2級が活用でき、苦手科目だった数学も繰り返し演習することで克服しました。



机に向かう勉強は苦手だったので、映画の台詞を暗記したり、英語が話せる友達と会話を繰り返したり。工夫して学んだおかげで合格できました
日本とカンボジア、同世代の温度差
海外に出て初めて、日本の快適さや綺麗さの素晴らしさを痛感したという渡邉さん。



当たり前だと思っていたことが、どれほどすごいことかに気づきました。一方で、カンボジアは平均年齢が20代。同世代が国の未来について日常的に熱く議論しています
一時帰国すると、日本の友人たちとの会話の中心は遊びやアルバイト、就職活動は「とりあえず大手」。その対比に、強い違和感と危機感を覚えたといいます。
ディスカッション漬けの大学生活
キリロム工科大学の授業は、講義形式ではなく原則ディスカッション。全員参加型なので、英語が苦手でも必死で話さなくてはならない環境です。


プロジェクトチームを組んだ実践的な学びも多く、東南アジア各地から集まる仲間と切磋琢磨する毎日が続いています。
学費も生活も、自分で切り拓く
コロナ禍での入学だったため、学費は半額免除に。それでも渡邉さんはリゾートバイトで資金を稼ぎ、自分の力で学費を賄っています。



授業も仕事も大変ですが、日々充実しています
文化の違いや体調不良で緊急入院するなど苦労もありましたが、「自分で決めたからこそ、なんとかしようと思えた」と振り返ります。
後輩への熱いメッセージ
大学を選ぶなら、自分のやりたいことをやるのが一番。



海外に行ってみてダメならダメでいい。親やネットの意見は他人の考えであって、自分の考えじゃない。本当にやりたいなら、説得してでもやるはずです
新しいことをすれば必ずつまずく。文化の違いに苦しんだり、緊急入院したり、私もいろいろありました。でも、とりあえず“何が何でもやりたい”ことが見つかれば、あとは一歩踏み出せばいいんです。
編集部より
“現場に飛び込む勇気”を原点に、渡邉さんは自分の道を自分で選び、挑戦を続けています。
AI時代、そしてVUCAの時代——答えがない中で道を切り拓く姿は、これからの進路選択に迷う後輩たちにとって強力なヒントになるはずです。
協力:NPO法人みんなの進路委員会(編集:グローバルエデュ)
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自分の夢を追っているとき