親子留学は、子どもの成長をゆっくり見守る時間にしたい
豊かな自然環境のなかで、安心して学校と生活の場が往復できる留学があります
カンボジアの豊かな自然が広がる、「キリロム国立公園」の小さな学校を選んだママからのレポートが届きました。
カンボジア親子留学 | 20名の仲間と学ぶインターナショナルスクール
息子の通う「キリロム・インターナショナルスクール」は、小学校1年生から6年生まであわせて約20名が通うとても小規模な学校です。
もともとは日本人の起業家が「キリロム工科大学」という全寮制の大学を設立。
そこで働く教員や従業員のこどものために作られた学校で、現在は私たちのような日本からの親子留学生や地元カンボジアのこどもたちも受け入れています。
親子留学DATA
子どもの年齢 | 8才(3年生) |
留学先 | カンボジア・キリロム国立公園 |
留学期間 | 4週間(2022年7月) |
子どもの英語レベル | ほぼゼロ |
コスト | 航空代金→片道約11万円(大人1人+こども1人)、学費→入学金約9万円(620ドル)、授業料約6万3000円(435ドル、給食費込み)、滞在費/1ヵ月→約12万円(家賃、3食込み)、海外旅行保険→約40万円(2名分)、VISA代金→ひとり35ドル、VISA延長料金→686ドル(2名分、手数料込み) |
ここではSTEAM教育をベースに作られたオリジナルのカリキュラムで授業は進みます。
半数以上が周辺地域下町に住むカンボジア人、それに敷地内に住む日本人数名とフィリピン人が現在はひとり。
低学年と高学年の2クラスにわかれていて、それぞれにフィリピン人の担任の先生がいます。
学校は、月曜日から金曜日の朝8時から夕方16時まで。日本とくらべて長いように感じますが、途中にはさむ数回の休み時間や、ランチ後のフリータイムもあるため意外とのんびりしています。
授業はすべて英語ですすめられ、教科としては英語のほかに、数学、理科、体育や音楽、美術、プログラミング。
教科によっては専門の先生がつき、プログラミングは併設している工科大学の学生が教えることもあります。
カンボジア親子留学 | のんびりだけど自分のペースで学べる環境
日本も含めてたくさんの国にいろいろな特徴をもったインターナショナルスクールがありますが、キリロム・インターナショナルスクールは、日本の小学校にいた2年間とくらべてとてものんびりしている印象があります。
クラスわけも低学年と高学年の2クラスのため、たとえば算数などはときに息子は日本ですでに習っていたという場面もあります。グループをわけてレベルごとに課題を進めてくれますが、宿題の量などをみても少なめです。
日本にいたときは、毎日国語と算数の宿題に追われていましたが、ここではそんなことはありません。何もしなければなにもしないで終わってしまいますが、決まった課題が少ないぶん、いまはまだ苦労している英語に時間を費やすことができています。
息子に「日本の学校とくらべてどう?」と聞くと、「学校におやつをもっていけるから、こっちがいい!」とのこと。もちろん食べるのは休憩時間ですが、みんなでわけ合って取り合って食べるのも楽しみなようです。
カンボジア親子留学 | 英語力はみんなバラバラ。助け合って学びます
2ヵ月前、カンボジアに渡った際には英語力がほぼゼロだった息子。では、ほかの生徒たちは全員英語をしっかり理解しているか? というと、そうでもありません。
年齢だけでなく英語の勉強をスタートした時期も、みんなバラバラ。
当然英語力もバラバラです。発音だって違う。でも、それが英語を使うことへの抵抗を減らしているように感じます。
息子は最新の転校生なので、もちろん聞き取りレベルは一番低いです。
けれど、どうやらスペルの書き取りはそうでもないよう。日本の授業では漢字の書き取りが多くあったので、その練習がここにきて英語のスペルを覚えて書くことにも影響しているのかもしれません。
その横でほぼ完ぺきに英語を操るフィリピン人の同級生がいたり、2年前は現在の息子同様英語力ゼロだった日本人のクラスメイトがわからない部分を訳してくれたり。
それぞれの得意な部分で助けたり競ったり(ときにはもちろんケンカも)しています。
こちらに来る前の息子の心配ごとは、授業がすべて英語で進むこと。事前に英語を学んでこなかったので、当然かつ最大の不安要素でした。
きっと「英語わからない」「もう英語イヤだ」と泣くか怒るかして帰宅する日があるだろう、と想像していました。それが滞在2ヵ月過ぎたいままで一度もありません。これは想定外でした。
宿題も日本で漢字や計算をこなしていたときよりもイライラせず、わからないところは「教えてくれる?」と素直に聞いてきます。
わたしが思っていたよりも、英語を話す・聞くことを楽しんでいるように見えます。
1年を予定している今回の親子留学が、すでに「3年いたい!」と言い出すほど、息子はカンボジアの生活を楽しんでいます。
カンボジア親子留学 | 息子が「カンボジアはいいね」という理由
森の中に住んでいるがゆえの心配ごと、たとえば見たことのない虫や動物に出くわしたり、病院が近くになかったり(敷地内にナースはいます)。
また、町に出たとしても日本のようには生活環境が整っているわけではありません。
それらを身をもって経験しながらも、息子がここにきて1週間ほどでいった言葉が「カンボジアはいいね、人がいいね、知らない人も笑ってるよね」でした。
まさに20年前にわたしがカンボジアで感じたことを、息子も感じたようです。
まだ始まったばかりのキリロム生活、日本にいたときよりも息子との時間がたっぷりあるため、ケンカもたくさんしています。
ですが、ここまで息子と向き合える時間は、あとにも先にもないのではないかと思います。
英語を学ぶことが目的でスタートしたはずの親子留学ですが、ここにいるだけでそれ以上のものをたくさん吸収できているなと日々感じながら、親子で毎日過ごしています。
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(文と写真/平岡真智子)