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海外進学 Picks 10/11号|米国修士号61%減、中国留学生激減予測、豪ビザ高騰が波紋

「海外進学ラボ Weekly Picks」は、グローバル進学に関心のある中高生・保護者向けに、世界の教育ニュースを厳選してお届けしています。進路のヒントが“5分”で見つかる週刊特集です。

学ぶ国、学び方――
進学の「選び方」そのものが
静かに塗り替わりつつあります

世界の高等教育シーンでは「留学の常識」が静かに変わりつつあります。

米国修士号の需要が検索行動ベースで60%減少、中国人留学生の激減予測、香港大学の本土化懸念など、地域・政策の動きがグローバル人材の流れに直結する時代に。

イングランドではAレベル成績が過去最高を記録する一方、地域格差が拡大。オーストラリアではビザ申請料の高騰が業界危機を招くなど、「制度×進路」のダイナミクスがますます複雑に。

今回は、進路選びの判断軸をアップデートする5つの動きをピックアップしました。

グローバルエデュは、親子で“納得できる進路選択”を応援する教育メディアです。2025年より海外進学ラボを新設し、Q&Aライブラリや進路相談、イベントを通じて、海外進学を目指す中高生と保護者をサポートしています。

Contents

米国修士号に対する世界的需要が検索行動ベースで約60%減少、重大な政策変更への反動か

オンライン進路選択プラットフォーム「Studyportals」が、2025年1月~9月間に収集したデータによると、米国修士号に対する留学生の需要が9ヵ月足らずで61%も減少したことが明らかになりました。これは、同サイトユーザー5000万人以上の検索行動によって導かれた数値です。

「Studyportals」 CEOのEdwin van Rest氏は、今回の調査について「留学志望の学生やその家族は、制度面の安定性や卒業後の見通しを重視する」と言及。

実際、今年1月以降の現政権下では、学生ビザ期限を4年に厳格化する規則案の公開、H-1B ビザ申請料の大幅値上げなどが相次ぎ、こうした政策動向が明確な需要変化に表れたと Studyportals は捉えています。

副編集長 城

Rest氏が「今日の政策決定が、今後何年間もグローバル人材の流れに影響を及ぼす」と指摘するように、1ヵ国の留学に固執せず総合的にベターな進路を見出そうとする学生の主体的姿勢もうかがえます

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教育コンサル大手、2040年までに中国人留学生の激減を予測、依存度の高い教育機関の一大リスクに

世界的な教育コンサル会社Venture Educationは、今後2040年頃までに中国人留学生が激減する可能性は75%に上昇するという分析結果を明らかにしました。

事実、中国の出生数は2023年に過去20年における最低水準を記録するなど将来的な学生数減少の兆候も生じています。Venture Education創設者のFisher氏は、「政治的要因の予測は難しいが、とくに人口動態に基づけば長期的な留学生の減少は高い精度で予測可能」と言及。

こうした変動は、UCLやマンチェスター大学など中国人学生への依存度の高い大学に深刻な打撃を与えるリスクが見込まれます。各大学が何ら対策を講じていないわけではないものの、「多くは今後の動向を過小評価している」とFisher氏は指摘しています。

副編集長 城

その他にも、中国内の大学の学位価値の上昇や中産階級所得の伸び悩みなど、留学インセンティブを削ぐ背景事情が複合的に絡むと予想されています

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香港の大学、非ローカル学生の上限拡張進むも、多様化と本土化の均衡に悩む特殊事情

香港政府は、2026年度より大学の非ローカル学生の入学上限を40%から50%に引き上げることを発表。同様の上限を20%から40%に拡張した2024年9月の変更と合わせると、ごく短期間で地元以外の学生の入学制限が30%も緩和されたことになります。

こうした動向は、通常であれば大学の多様性イメージに結び付きますが、ダラス大学教育学部教授は「この政策はむしろ中国本土の学生を増やす効果を生み、香港内大学の本土化が進む可能性が高い」と指摘。

もっとも、中国本土から有能な学生や教員が集うならば、一概にマイナス面の影響ばかりとは言えません。

しかし、上限を拡張した分、実質的な国際化を進展できなければ、単に香港高等教育の独自性が薄れる結果に終わってしまうと関係者は危惧しています。

副編集長 城

一元的に定員数を変えるだけでなく、多様な地域の学生を引き付ける導線づくり、より積極的な対外PRなど包括的施策の成否が問われそうです

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イングランドの2025年度Aレベル試験結果、パンデミック期以外で過去最高水準も地域差は悪化

イングランドの学生は、2025年度のAレベル試験において、28.2%がAまたはA*を取得、9.4%がA*を取得し、評価方法が異なるパンデミック期を除いて過去最高水準の成績を達成。

試験監督機関Ofqual主任のIan Bauckham氏は、18才人口の増加傾向にも関わらず、2025年度受験者数は前年水準を下回ったことから「より小規模かつより優秀な受験者集団が形成された」と学生全体が高成績を収めた背景を分析しました。

ただし、イングランド内の地域間格差は2025年度でより一層拡大する結果となり、最も成績が良かった地域のロンドンは、成績A*またはAの取得者が32.1%、もっとも低迷したイングランド北東部は成績A*またはA取得者が22.9%にとどまっています。また、ロンドンは過去6年間で最も成績が伸びた地域でもあります。

副編集長 城

通学や受験を回避する層が増えた影響で試験成績が上昇しているのであれば、学習機会の平等という観点からは好ましくありません

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豪の主要教育団体、政府にビザ申請料の緊急引き下げを要請、留学期間による不公平性を指摘

オーストラリア国際教育協会(IEAA)など3つの国際教育団体は、豪政府に対し、2000豪ドルまで引き上げられた学生ビザ申請料を速やかに50%値下げするよう要請しました。

この共同書簡においては、52週間以下、すなわち1年以内の留学を予定する学生を対象に申請料の即時減額を要求。「数週間の留学のために、長期留学と同様の申請料を請求するのは不公平」と減額の根拠が示されています。

こうした要請を踏まえ、豪内務省は費用相殺策を検討しているものの、IEAAのCEOは対応策の遅れにより業界全体へのダメージが深まるリスクを強調。このまま状況が改善しなければ、2年以内に私立系語学学校の大半が廃業するだろうと業界関係者は予測しています。

副編集長 城

負の影響が波及すると、交換留学プログラムの継続困難など、豪州から海外へ留学するケース、すなわち地元学生にとっても課題が山積するようです

出典リンク

次回予告:

留学選択肢の増加、コストへのシビアな価値観なども影響し、英国の大学にとっても留学生ニーズの把握は重要事項です。

そうしたなか、学生の母国でのキャリア形成を支援しようとする英国大学の動向に注目が集まっています。

世界の教育と日本をつなぐ
“確かな窓”でありたい
Weekly Picks 執筆・監修/ 城 圭一郎

教育メディア「グローバルエデュ」副編集長。国際教育・進路支援を中心に、世界の教育システムや最新動向を日本の家庭にわかりやすく届ける記事を多数執筆・編集。これまでに手がけた記事は500本超。正確な情報と多角的な視点で、進路選択と学びの可能性を広げるメディアづくりに取り組んでいる。

次回予告

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