あなたもチャレンジ・レポートを書いてみませんか?
\ あなたの言葉が学びの輪を広げていく /
The Junior Academy│1年かけて学ぶグローバルなSTEMプログラム
こんにちは! 「東京工業大学附属科学技術高等学校」(東京・港区)に通う、Lemyと申します。
今回、私が紹介するのは、米国の科学教育団体「The New York Academy of Sciences(ニューヨーク科学アカデミー)」が、13〜18才を対象に実施しているSTEMプログラム「The Junior Academy」 です。
私は、「The Junior Academy class of 2017-18」(2017年9月〜2018年7月にかけて実施)のメンバーです。
「The Junior Academy」(TJA)は、STEM(Science、Technology、Engineering、Math) などの分野における優秀な学生が、世界の大きな問題における解決者(solver)となり、およそ1年かけて学習に取り組むプログラム
世界50ヵ国以上から選抜された学生と一緒に勉強することができ、私のグループには、アメリカ、エルサルバドル、インド、メキシコの国籍の学生がいます。
学生のレベルは本当に高く、起業している学生や法人の代表、学術系オリンピックの優勝者など、国内だけでは知り合えない学生が多く、新たな価値観に触れることができるSTEMプログラムです。
TJAへの参加費は無料。すべてのコストが、スポンサーの企業や財団によって賄われています。
The Junior Academy│ニューヨーク科学アカデミーについて
「The New York Academy of Sciences」(NYAS)は、科学、教育を通じて社会問題を解決することを目的に、1817年に創立した非営利組織。The Junior Academy以外にも、学生向けのプログラムを数多く開催しています。
NYASのメンバーは世界100ヵ国に2万人を超えており、歴史上の人物には、アメリカ大統領のトーマス・ジェファーソンやジェームズ・モンロー、チャールズ・ダーウィン、トーマス・エジソン、アルバート・アインシュタインもいます。
今日、NYASアカデミー評議会には、28名のノーベル賞受賞者、CEO、慈善団体、国家科学資金提供機関のリーダーが含まれています。
Young member(13〜19才)になると、オンライン上でその資格を表す「デジタルバッジ」が贈られ、18才になるとアカデミックメンバーシップを受ける招待状が送られてきます。
NYASのサイトでは、研究資料を読んだり、教材をダウンロードすることができるほか、メールアドレスを登録しておくと、プログラムのお知らせやニュースを受け取ることができます。
The Junior Academy│プログラムで必要とされる英語力
The Junior Academyでは、プログラムはすべて英語で進められるため、「Strong level of English」(十分な英語力)が必要とされますが、私は英語ネイティブではないので辞書を横に参加しています。
参加者は世界中にいて、スペイン語やフランス語、中国語やスワヒリ語、 私が今まで聞いたことのなかった言語など、英語が母国語でない学生も多く在籍しています
私のチームメイトも、スペイン語が母国語で英語は第2言語だと言っていましたし、彼女は日本語も勉強中でした(日本語を勉強している学生は思ったより多いです)。
ですので、英語力は、まずは応募フォームやHPに書いてあることがわかれば問題ないと思います。
The Junior Academy│応募方法やプログラムの流れ
TJAでは、知識や考え方を学び、つぎに問題解決案を考案、そして最後に発表するという流れで、1年間をかけて学習していきます。
0. 事前準備
NYASのサイトでメールアドレスを登録しておくと、募集が始まった際に知らせてくれます。募集は6月ごろから始まったと思います。
下の動画は、YouTubeに投稿されたTJAプログラムでの様子ですが、なんとなく雰囲気が掴めるので観ておくと参考になると思います。
1.応募(6月)
このプログラムには、世界中の13才から18才までの学生が応募できます。参加条件は「インターネットを使える環境にある」だけ。
応募する際には、英語エッセイを5つくらい書き、英語のテストやIQを計るテストも受験。さらに、先生や保護者からの評価(推薦)も送る必要があります
今年の合格率は、およそ10パーセント。日本からの参加者も、私が知っているだけで3人います。合格すると同時にNYASのYoung Memberに登録されます。
2. ブートキャンプ(9月)
9月になると、Boot Camp(ブートキャンプ、研修)が行われます。
ブートキャンプは、TJAの公式プラットフォームである「Launchpad」上で行われるので、受講生はLaunchpadに名前や住所(Tokyo, Japanなど)、STEM interests、趣味などを登録します。
ブートキャンプでは1週間ごとに課題が出され、毎週2時間以上TJAプログラムのための時間を確保することが推奨されています。 ブートキャンプのおもな流れは以下の通りです。
- WEEK 1:GETTING STARTED (1週間目:スタート)
- WEEK 2:RESEARCH METHODS (2週間目:研究方法)
- WEEK 3:21ST-CENTURY SKILLS (3週間目:21世紀型技能)
- WEEK 4:DESIGN THINKING (4週間目:デザイン思考)
研究方法やスピーチ、デザイン思考などを学べるほか、Expert Talkと呼ばれるそれぞれの分野に卓越した教授や研究者の話をライブ配信で聞くことができます。
時差の関係で、日本から見ようとすると夜中だったり授業中だったりと時間が合いませんが、Expert Talkは録画されているので、いつでも見ることができます。
なお、「21世紀型技能」とは、創造性、協力、 コミュニケーション、リーダーシップなどのことで、1週間かけて6つの技能を学びます。
映像を見たり、資料を読んだりしてから簡単なテストのようなものを受けて進行していきますが、資料などで使われている英語が専門的で難しく、英文自体が長いので少し大変でした。
質問があるときは、「Launchpad」の「Discussion」(議論)というページで質問をすると、学生やNYASのスタッフが答えてくれます。自分が質問に答えることもできるので、他の学生の意見が聞きたいときもこのページから聞くことができます。
SNSについて
Launchpadだけでは物足りない議論やチームでのコンタクトをとる際、Facebook、Messenger、Whatsapp、Telegram、Skypeなどが使われます。それぞれでTJAグループが作られていて、何気ない会話なども行うため、寝ている間に1000件…ということもあります。新作iPhone発表などのときはとくに盛り上がり、Android派とiOS派の議論がされていました。SNSだと略語やスラングが使われることが多いです。btw(by the way)、 idk(I don’t Know)、wbu(what about you)、lmao(laughing my ass off)など
The Junior Academy│最後の発表会には全員をNYに招待
3.チャレンジ(10月〜翌7月)
そして Challenge(チャレンジ) が行われます。チャレンジの流れは以下の通りです。
- CHALLENGE LAUNCH(チャレンジ開始)
- DEFINE A PROBLEM(問題を示す)
- BUILD A PROTOTYPE(プロトタイプの作成)
- PRESENT YOUR SOLUTION(解決策を提出)
- SUMMIT(サミット)
注目して欲しいのが、5の「SUMMIT」です。
このサミットは、ニューヨークのマンハッタンにあるNYASで2日間に渡り行われ、ニューヨーク文化体験も含まれます。すべての学生が招待され、ここまでのプログラムのなかで「WINNERS」に選ばれると、航空券ももらうことができます。
なお、今年の課題テーマは
- NUTRITION, AGRICULTURE, AND FOOD SYSTEMS(栄養物、農業および食糧システム)
- PUBLIC HEALTH AND WELL-BEING(公衆衛生と健康)
- WATER, SANITATION, AND HYGIENE(水、公衆衛生、及び衛生学)
- SUSTAINABILITY AND CLIMATE CHANGE(持続性と気候変動)
- ENERGY(エネルギー)
- BIODIVERSITY(生物多様性)
- SPACE(宇宙)
- EDUCATION(教育)
- EQUITY(平等)
- EMERGING TECHNOLOGIES(新たな技術)
- ECONOMIC DEVELOPMENT AND ENTREPRENEURSHIP(経済的発展と起業家精神)
- SECURITY AND RESILIENCE(安全と抵抗)
です。このなかからひとつテーマを選択し、最大6人のチームを作り、課題を発見し解決していきます。
* * *
以上がプログラムの流れです。
現在(2017年11月)、プログラムは 3「Challenge」の途中です。プログラムが終了してから記事を書くと、来年度の募集に間に合わなくなってしまうため、プログラムの途中ですが、全体概要の記事を書かせていただきました。
私自身もこのプログラムの流れが途中までしか理解できていないため、3のチャレンジについては大まかな説明となってしまっています。