中国で学ぶなら「国家重点大学」に注目
中国の大学において、トップ圏の大部分を占めるのが「国家重点大学」と呼ばれる大学。
国から権威ある大学と指定を受け、予算の優先配分などを受けています。
「中国教育部」による14年の「中国大学ランキング」上位校を見てみると、トップから4校は首都・北京(1位「北京大学」、2位「清華大学」)と、経済の中心地・上海(3位「上海交通大学」、4位「復旦大学」)にある大学です。
このような中国の大学で、日本人が学費を抑えて学ぶ一番の方法は「中国の国費留学生」になること。
しかし、その方法は一般的とはいえず、非常に狭き門です。
また、中国で留学生になっても、欧米などの諸外国とくらべコスト面で大きなメリットはありません。
中国の爆発的な物価上昇と、円安元高の昨今は(14年2月現在1元=約17円。ここ2年で1元あたり約5円増)、諸外国との差はさらに縮まるばかりです。
大学への近道は「日系企業の現地採用」
では、中国の大学で格安に学ぶには、どのような方法が考えられるでしょうか?
中国で学ぶためには、まずはビザの取得が最優先。上海市などにある日系企業では、現地採用の日本人を多数募集しています。
そこで仕事を見つけることは国費留学生になるよりも何倍も容易で、需要もかなりあります。
ほとんどの場合ネイティブな日本語力があればよく、むしろ必要とされるのは海外で生活・就労できる精神力。
就労によってビザが発給され、中国での生活がはじまれば、トントン拍子に話は進んでいきます。
初級クラスで中国語を学んでみよう
たとえば、上海市にある「東華大学 Donghua University」(国家重点大学、中国政府奨学金留学生受け入れ指定校)は、働きながら格安に学ぶことができる大学のひとつ。
東華大学には夜間部が設置されており、入学の申し込みは大学のサイトからカンタンに行うことができます。
申し込みが完了すると、大学側から連絡が入り、中国語のレベルチェックがあります。この面接を含めたレベルチェックで、自分の中国語レベルにあったクラスに振りわけられます。
授業は、もちろんすべて中国語で行われます。どうしても補足が必要な部分は、中国語入門クラスのみ英語で補足があります。
私が取材に携わった中国語のクラスは、1クラス15名。
ベトナムやインド、タイ、マレーシア、ナイジェリア、フランスなどからの学生が在籍し、インターナショナルな空気のなか授業が展開していきます。
大学全体では、約80ヵ国からの留学生を受け入れています。
中国語入門・初級相当クラスでは、生徒間の公用語ははじめのうちはもっぱら英語。
ここで約3ヵ月間中国語を学んだら、大学の一般授業(科目履修生)を受講することも可能です。
月に1度行われるテストで、身についた語学力も確認することができます。
授業は週3日となり、18時50分~21時10分の2時間強。これなら無理なく学べ、学費も効果的に抑えられるのではないでしょうか。
駐在員として上海で暮らす人にも、通学可能なカリキュラムですよね。
さて気になる学費は、なんと3ヵ月で5600元(日本円で約9万5000円)。教科書代などの授業必要経費込みです。
海外留学として考えると、この学費はかなり魅力的。
今後もますます経済的つながりが深まり、建設的なパートナーシップを築いていく必要がある中国で、働きながら格安で学ぶ。
これからの日本、そして中国、さらには世界を見すえていきたいと考えている人にとって、これ以上有効な自己投資はないのでは?
写真と文/中村祐哉