新型コロナ・パンデミックでは、感染者数770万人、死亡者数21万人と世界最大の被害が出ているアメリカ(2020年10月10日現在)。3月に感染者数が急増し、日本でも連日報道されていたニューヨークの中心地、マンハッタンにある名門「コロンビア大学」ではどのような状況だったのでしょうか。今回は、コロンビア大の学生であり、海外大進学を希望する高校生たちを無償で支援する「atelier basi」共同代表の李さん、田中さんがレポートしてくれました
3月にオンラインに移行し、クラスター回避
2020年の春先、ニューヨークにおける症例数が爆発的に増加するなか、「コロンビア大学」は3月の春休み以降、すべての授業をオンラインに移行し、キャンパスに残る必要のある留学生や事情がある学生を除く学生を大学の寮から退去させました。
アメリカの大学は寮生活が基本となり、コロンビア大学も95パーセント以上の学部生が大学の寮に住んでいます。ほとんどの学生は止むを得ず、学期の最中に帰宅(帰国)することになりましたが、この対応のおかげでキャンパス内では大きなクラスターが発生せず、必要のある学生はキャンパスに残ることができました。
新学期も、米国での感染が収まらないことや、留学生の割合がとりわけ高いことを理由に、授業はすべてオンラインにて実施。留学生や事情がある学生に対してキャンパス内の寮での滞在を許可したものの、大半の学生は自宅に残っています。
日本にいながらも、手厚いサポートで学業を継続
私たちもキャンパスに戻る選択肢はあったものの、米国での流行の状況を鑑みた結果、今学期は日本に滞在しています。そのため、現在はやむなく深夜や早朝の授業を受けています。
ただ、大学のサポートもかなり手厚く、東京都内のシェアオフィスを学業で利用できる制度や、日本の大学で対面授業を履修できる制度なども早急に創設され、私たちも活用しています。
米国の大学の学生に対するサポートの厚さ、このコロナ禍においても可能な限り学業に取り組める環境を整備することに対する意気込みを痛感しています。
コロンビア大からは、来学期以降どのような形態で授業が実施されるのか、寮に滞在することが許されるのか等についての発表はなく、状況を鑑みつつ検討を行っているようです。私たちもニューヨークの流行は比較的収束しつつあることを踏まえ、来年1月に渡米する予定です。
困難なときのチャレンジこそが、成長につながると信じて
私たちが立ち上げた無償オンライン海外大学進学プログラム「atelier basi」も、コロナ禍で受験制度が目まぐるしく変わり、困っている高校生の声を聞き、発足した経緯があります。
海外に留学している学生もそうですが、留学の準備を行っている学生のほうが先行きが見えず、困難を極めている状況だと思います。
留学は、学生や大学のみならず、国や国際的な情勢に大きく依存するチャレンジだと、今回改めて痛感しています。
また、自分たちも試行錯誤を繰り返していくなかで、感じたことは、自戒を込めて以下の通りです。
目まぐるしく変わり、制限が多くある昨今の状況では、自分の思い描く道を貫き通すことは極めて難しいものの、それもチャレンジの一環として捉え、柔軟に考え、自分にとって一番いい選択が何なのかを自問自答し続け、行動に移し続けていくことで何か大きな成長につながる突破口が見えてくると思います!