IGCSEの実施状況について
イギリス政府は、毎年5~6月に実施している中等教育修了の統一試験「GCSE」(General Certificate of Secondary Education)2021年試験の中止を、2021年1月に決定しています。
コロナ禍の深刻な状況を踏まえた措置として、教育機関の閉鎖等と併せて決められたもので、おもに17才が受験する「GCE-AS」、おもに18才が受験する大学入学資格試験「GCE-A」(通称Aレベル)も同時に中止を発表。
イギリス国外の生徒が対象となる「IGCSE」(International GCSE)、国際版Aレベルは、各国の状況が十分安全なものか確認しながら地域ごとに実施の可否を決定。日本での2021年6月IGCSE試験は、昨年に続いて中止となりました。
当試験を運営する「Cambridge Assessment International Education」(CAIE)は、2021年IGCSEは実施の方向で調整しつつも、政府方針により試験実施が困難な国・地域では生徒の評価基準を試験から学校成績に切り替えて対応。
受験生には、予定通りに試験日程を消化するよう推奨するいっぽうで、パンデミックにおける受験生が被る不利益を考慮して得点調整などを条件付きで実施するなど、フレキシブルな対応策を整備し、試験が公平かつ円滑に行われるよう工夫を重ねています。
試験中止が決まった国や地域では、前年同様、学校成績や模擬試験(Mock)に基づいた評価が代替されます。
英国では2020年の混乱を踏まえた評価を実施
英国では、2020年はAレベルに代わり、各校から集めた成績をGCSEなどの試験監査機関「Ofqual」が独自に開発したAIアルゴリズムによりスコアを算出した結果、約4割の生徒が学校提出の成績より1~2段階低下し、大学入学が取り消される生徒が続出するなど大混乱となりました。
そうした経緯も踏まえ、2021年度はAIでの標準化プロセスは行わず、まずは教員が判定した成績を、学校側と試験実施団体が双方の立場から公平性や妥当性に関してレビューを実施し、成績が決定するそうです。