国際地理オリンピック |
「科学地理オリンピック日本選手権」は、おもに高校生が参加し「場所を見抜く力」や「的確に表現する力」といった総合的な「地理力」を競い合う全国規模のコンテスト。また、毎年8月上旬に開催されている「国際地理オリンピック」(iGeo)の日本代表メンバー選考も兼ねています。
同イベントを主催するのは、IGU(国際地理学連合)オリンピックタスクフォースの日本側窓口である「国際地理オリンピック日本委員会」。
その下に組織された実行委員会が、科学地理オリンピックに関する広報活動や日本代表の選抜と研修、代表選手の国際大会への派遣などの実務に取り組んでいます。
科学地理オリンピック日本選手権
- 総合的な地理力を競い合うコンテスト
- 「国際地理オリンピック」代表選手4名を選抜
- 対象は、大学に入学前の19才未満の人
「第17回科学地理オリンピック日本選手権」募集要項
応募期間 | 2022年9月1日(木)~11月15日(火) |
対象 | 2022年4月以降、大学に入学前の19才未満の人(国際大会への参加資格は2023年6月末の時点で16才~19才の人) |
選考プロセス | 第1次選抜/マルチメディアテスト、第2次選抜/記述式テスト、第3次選抜/フィールドワークテストとグループディスカッション |
参加 | 無料(試験会場への交通費は参加者負担) |
国際地理オリンピック | 日本に国際大会の窓口が設置されるまでの経緯
日本は、組織を介さずに、2000年の第3回国際地理オリンピックに初参加。
その後も、国際的な学会から強く参加要請を受けた経緯もあり、2006年当時IGU副会長であった田邉裕さんが中心となり、日本学術会議IGU分科会のメンバーから成る国際地理オリンピック日本委員会が設立されました。
2008年には全国各地に予選会場を設けて日本代表選考を行い、同年の第7回チュニジア大会で組織としては初の代表メンバー派遣を実現。
それ以来、iGeoの予選も兼ねて、科学地理オリンピック日本選手権は毎年開催されましたが、2020年度のみコロナ禍による世界大会の延期に伴い、第三次選抜を実施することなく中止が決定。
直近の大会では、国内・世界大会ともにオンラインを主体とした企画・運営が続いています。
国際地理オリンピック | 参加者に求められるスキルは?
試験科目の「地理」といえば、暗記のイメージが強いかもしれませんが、地理オリンピックの参加者に強く求められるのは、地理的思考に基づいた読解力・分析力・表現力といったスキル。
大会は大きく3つの種目で構成されていて、国内の第1次選抜で問われるのが、地図・写真・グラフなどを通じて、そこにある地理的事象や課題の読み取りに重点を置くマルチメディアテスト。
続く、第2次選抜の記述式問題では、地図・写真・統計といった資料をもとに分析し、答えを導き出すプロセスや論理的構成力、すなわち地理の総合力がよりいっそう問われます。
代表選抜の最終ステップとなる第3次選抜では、指定されたフィールドを自ら歩き、地形断面図や土地利用図の作成などをこなすとともに、その地域の特色や課題を的確に捉えられるかどうかがカギとなるフィールドワークエクササイズに取り組みます。
国際地理オリンピック | 英語での回答力も求められている
そして、他の科学オリンピックにはない特徴といえるのが、iGeoでは英語の出題に対してかならず英語による回答(辞書は持ち込み可)が求められる点(ほかの国際大会では、たいてい引率者による翻訳が認められている)。
そうしたルールを見据え、地理オリンピックでは国内予選の段階から2割程度を英語で出題されており、代表の選考プロセスにおいても語学力は評価要素のひとつです。
ただ、採点時は、解答の論理性や用語の正確性が重視されるため、実際の大会では多くの非英語圏の参加者が上位入賞を果たしています。
公式対策本には、主催者がまとめた「地理オリンピックへの招待」(古今書院)があり、種目別の過去問が収録されたガイドブック兼問題集として有用です。
さらに、公式サイトでも、数年分の過去問・解答を確認することができます。
なお、国内選考で一定以上の成績を残した場合は、一部の大学でAO入試などの特別入試に役立てることができます。
国際地理オリンピック | 実施スケジュールをチェック
- 第1次選抜(マルチメディアテスト・50分)…12月 100名を選抜
- 第2次選抜(記述式テスト・120分)…2月中旬 10名を選抜
- 第3次選抜…3月中旬 4名を選抜
- 国際地理オリンピック…8月
12月中旬に予定されている第1次選抜(マルチメディアテスト・50分)は、オンラインで配信された問題を見て答える客観式テスト。成績上位者約100名が、次のステップに進むことができます。
2月中旬の第2次選抜(記述式テスト・120分)は、本来は全国9ヵ所の会場に受験者を集めて行いますが、近年はオンラインでの実施が続いています。
問題冊子等は事前に自宅へ郵送され、自身の試験中の様子を試験監督にZoom配信しながら解答しなければなりません(オンライン受験の練習用に別途プレテストの日程もあり)。
この第2次選抜の優秀者には、金・銀・銅メダルが授与され、成績上位の約10名(高校3年生を除く)が、最終選考となる3月の第3次選抜に進出。
第3次選抜は、フィールドワークテストとグループディスカッションを近畿地方で実施予定。そこで最終的に選抜された日本代表4名が、同年8月開催予定の第18回国際地理オリンピック(フランス)へと派遣されます。
国際地理オリンピック | 参加資格と日本代表の対象年齢について
科学地理オリンピック日本選手権への参加資格は、大学入学前の19才未満が対象ですが、第3次選抜へ進出する日本代表候補は、2022年6月末時点で16~19才の参加者から選ばれます。
大会の参加費はどの段階でも無料、試験会場へ交通費等がかかる場合は参加者側の負担です。
申し込み方法は、科学オリンピック共通事務局のサイトを経由したWebエントリーのみ。応募に関する問い合わせがある場合も、科学オリンピック共通事務局が対応。
その他大会に関する内容は、国際地理オリンピック日本委員会実行委員会まで確認してください。
科学地理オリンピック日本選手権
主催:国際地理オリンピック日本委員会会 |
代表理事:鈴木 康弘 |
住所:東京都文京区弥生2‐4‐16学会センタービル |
プログラム開始:2008年 |
実施スケジュール:第1次選抜/12月中旬、第2次選抜/2月中旬、第3次選抜/3月中旬 |
競技内容:全国の中高生を対象とする「地理力」コンテストを通じて、成績上位者の表彰と日本代表候補選抜を実施 |