Lemy(東京・東京工業大附属高校3年生)
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世界の女の子が参加するテックコンテスト
こんにちは! 「東京工業大附属高校」に通うLemyと申します。
今回私が紹介するのは、米国「Iridescent」というNPOが主催している、世界中の10〜18才の女子に向けたコンテスト「テクノベーション・チャレンジ Technovation Challenge」です。
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Technovation Challengeとは、1)課題解決アプリケーションの開発、2)ビジネスプランの作成、3)ピッチ・デモビデオ作成の、1〜3のすべてに挑戦するグローバルなコンテストです。
「Technovation Challenge 2018」は下記のようなスケジュールで実施されました。
- 2017年8月〜11月…メンバー探し・登録
- 11月〜2018年2月…課題解決アプリケーションの開発・ビジネスプランの作成
- 2月〜5月…ピッチ・デモビデオ作成
- 8月…世界大会・決勝(World pitch)
上記のスケジュールは、主催者が公式カリキュラムで記載している大枠ですので、課題提出の締切日さえ守れば、それほど忠実にこなさなくても大丈夫です。なお、このチャレンジで提出する作品はすべて英語で作成します。
プログラムの流れをチェック
1. メンバー&メンター探し(Recruitment Season)
この期間に、「technovation」公式サイトに必要情報を入力し、メンバー登録をします(登録期間は2017年10月18日〜18年3月7日)。その際、チームで一緒に参加するメンバー(1チーム5名まで)と、指導してもらうメンターを探す必要がありますが、オンラインでチームを組んでから、メンターを募集することもできます。
メンバー全員が10〜14才だと「Junior Division」に、15〜18才だと「Senior Division」というグループに自動的に振りわけられます。
私は友達と3人で参加し、何人かのメンターに指導してもらいました。
2. アプリケーションの開発&ビジネスプランの作成(Official Season)
11月〜2月までの4ヵ月間は「Official Season」となっており、公式サイト上にあるカリキュラムに沿ってプログラムを進めていきます。
たとえば、1週目は「Pick a problem to solve in your community」とあるので、1週間のうちに地域の課題を見つけることが求められます(私たちは1週間では終わりませんでした)。
課題が決まったら、それを解決するためのアプリケーションの開発と、ビジネスプランの作成に進みます。
3. ピッチ・デモビデオ作成(Pitch Events)
課題作品の提出締め切り日(4月25日)までに、アプリケーションを開発し、ビジネスプランを作成し、ピッチ用・デモ用のビデオも2本撮影しておきます。作品には、チーム情報や要約・説明をつけて提出します。
提出した作品は、「ideation(概念)」「technical(技術)」「entrepreneurship(起業家的側面)」「pitch(発表)」「overall impression(全体の印象)」の5項目でスコア化され、審査されます。
なお、審査員も登録制となっていて、18才以上が人が登録することにより審査員になることができます。
4. 二次審査(Second Round)
審査員から高得点を得ると、Second Roundに進みます。ここではオンラインでプレゼンテーションを行い、Regional Winner(地域ごとの優秀者)と、米国で開催される決勝大会に進出するWorld Pitch参加者が選ばれます。
5. World Pitch(決勝、世界大会)
8月6日〜10日に開催された「World Pitch」出場するチームは、アメリカ・シリコンバレーに招待され、プレゼンテーションを行います。この模様はライブ配信され、誰でも見ることができます。参加したチームには、シリコンバレーにあるIT企業の見学などのプログラムも用意されています。
どのようにして仲間を見つけたか
私は、2017年11月に参加した、テック業界を体感できる女子中高生向けイベント「Tech Girls Event」の主催者・田中沙弥果さんに誘ってもらい、このイベントで知り合った中高生7人と参加することにしました。
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12月下旬に第1回ミーティングをし、Junior Divisionに1チーム、Senior Divisionに2チームでエントリーしました。
その後、週1回ペースでオンラインミーティングを重ね、チームコミュニケーションツール「slack」で情報共有したり、 公式カリキュラムでビジネスやマーケティングについて学んだりしました。
2018年1月下旬、私たちのビジネスメンターとなってくれた、日本オラクルのメンターとオラクルのオフィスでミーティングを行いました。
私たちの課題は、「高校生が授業中に眠ってしまうこと」に決定。この課題を深く掘り下げ、その解決方法として、睡眠管理を軸としたスケジュールアプリの開発をはじめました。
アプリ開発には、日本に150以上あるプログラミング道場「CoderDojo Japan」の理事でもある宮島衣瑛さんに協力いただき、プログラミングの考え方から開発まで教えてもらいました。
作品を提出するまでの流れ
Technovationでは、アプリの開発に「MIT AppInventor」というAndroid対応開発ソフトが推奨されていましたが、私たちは「Xcode/Swift」を使ってiOSアプリを開発することにしました。
ビジネスプランの作成では、オラクルのメンターの協力のもと、マーケティングやお金の調達などくわしく教えてもらい、英語の添削もしてもらいました。
アプリを完成させ、ビジネスプランを書き終えたら、つぎはビデオ作成です。デモビデオとピッチビデオは、チームで構成を考え、撮影・編集しました。BGMをつけたり、アニメーションを加えて、アプリやビジネスの魅力を伝える工夫をしました。
そして、いよいよ提出です。公式サイトにログインし、アプリの説明やスクリーンショット、ビデオのリンク、ビジネスプラン、ソースコード、ペーパープロトタイプ、フローチャートをアップロードすると提出完了です。
コードチェックリストに通知機能を搭載したことやデータベースを使用したことなどを記入すると、最大10点の技術加点をもらうことができます。
私たちの作品は、4人の審査員にスコアを付けてもらい、平均80.75点でした。残念ながらセカンドラウンドに進むことができませんでしたが、カナダで参加していた友人は93.50点を獲得し、2次審査に進めたようです。ちなみに、2017年度の平均スコアは72点でした。
困難を乗り越え手にした達成感は宝物になるはず!
Technovationのことは、前年大会(Technovation Challenge 2017)から知っていたものの、一緒に参加する人やメンター探しが上手くいかず、参加できずにいました。ですので、2018に参加するメンバーやメンターが決まったときは、とても嬉しかったのを覚えています。
しかし、参加するまでこのプログラムがここまで大変であることを想像していませんでした。ビジネス・アプリ開発の経験が積めるので、「楽しそう!」としか思っていませんでしたが、実際にミーティングを行うと議論もスムースに進みませんでした。
解決したい問題は何か、どうやって解決するか、ビジネスとして成り立つか…などなど、考えることは山ほどあるのに、メンバーはみな忙しく、時間が取れない日々もあり、諦めかけたこともありました。
それでも少しずつミーティングを重ねていくことで、道筋が見えてきて、ここからはかなりスピーディーでした(締め切りもかなり近づいていました)。
学校が終わったら、毎日ひたすらSwiftを教えてもらい、メンバーはそれぞれビジネスプランを執筆したり、ビデオの構成を考え、ビデオの編集が終了したのは、締切日当日(4月25日)の午前3時ごろでした(10時が締切)。
提出した瞬間の達成感は言葉にできません。この達成感を、みなさんにも味わって欲しいです…!
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Technovationに参加することで、英語やアプリ開発・ビジネスのやり方、動画編集のスキルはもちろん、世界中の女子中高生と連絡を取れるようになり、メンターからいろいろなお話を聞くこともできます。
また、Technovationの参加者は、全員「Slack : Technovation Students」というオンラインコミュニティに参加することができます。およそ250人が参加していて、軽い自己紹介をしたり、「動画編集ソフトのおすすめ教えて」や「ファイナリスト発表いつだっけ?」など、気になることを聞いたり答えたりできます。
私たちの挑戦を応援してくれる大人に支えてもらいながら完成させた「Submission」は、一生の宝になりました。
日本の女子中高生のみなさんも、ぜひ挑戦してみてくださいね!
【Technovation Challenge 2018】
- 主催:Iridescent
- 期間:2017年〜18年8月 ※World pich(世界大会決勝戦)は8月6〜10日
- 対象:世界の10〜18才の女の子
- 参加締切:2018年3月7日
- 作品提出締切:4月25日