育児中ファミリーの2拠点生活を実現
育児中のファミリーなら、「自然豊かな場所」や「多様な価値観」のなかで子育てをしてみたいと考えたことがあるはず。
今回紹介する「デュアルスクール」は、徳島県が推進している「教育による地方創生」を目指す取り組みで、多様性のある子育てやライフスタイルに関心のあるファミリーには、とても興味深い試みといえます。
「デュアルスクール」とは、本来必要な転校手続を簡素化し、地方と都市のふたつの公立学校を行き来しながら、双方で教育を受けることができる制度。
たとえば、東京から他の地域に移住する場合、義務教育中にある小学生・中学生の子どもは、住民票を移した上で転校手続きする必要があり、子どもの学校生活についてまとめた「指導要録」を移転先の学校に移すことで転校が完了します。
デュアルスクールでは、徳島県に移住や二地域居住、転勤などを予定(希望)しているファミリーを対象に、住民票を残したまま徳島県の小中学校に最短2週間から通学することが可能。東京に戻る際には、同じ学校の同じクラスに戻ることが約束されているので、心理的な負担も少なく、都会と地方の2拠点での生活を実現できるシステムとなっています。
多様な価値観が子どもの成長を促す
では、どうすればこのようなライフスタイルが可能になるのでしょうか。具体的な流れは、下記の通り(東京在住のファミリーを例にしています)。
1. 徳島県で生活するエリアを決める
まずは、支援移住サイト「住んでみて徳島で!」などを参考に移住先を検討し、希望に合うエリアを決める
2. 徳島県に「デュアルスクール」利用の申請
徳島県の教育委員会に「○月○日〜○日まで徳島県の△△で生活したい」と申請すると、徳島県が東京の学区の教育委員会に「区域外就学」を承認してもらうための手続きを行う
3. 徳島で生活してみる
徳島では、転校手続きした学校に通学する(この際、学習進度の調整を行う「デュアルスクール派遣講師」を学校に配置することも検討中)
4. 東京に戻る
申請期間が終了したら、東京の学校に戻る
デュアルスクールの取り組みは、全国知事会が主催する「第10回先進政策創造会議」において、約3600の政策から選定された29の優秀政策のうち、最高賞「先進政策大賞」を受賞。
また、2017年には海部郡美波町でモデル移住が行われるなど、具体的な効果や課題検証を進めているところで、今後はこのモデルが全国で活用できるよう国へ政策提言していく予定です。
徳島県は、近い将来、転校の手続きをなくし、「学校を移動するのが当たり前」な状況を目指していくそうですが、全国の学校と自由に行き来できるようになれば、子どもたちに日本のいいところを見せる機会も増えますよね!
「デュアルスクール」の取り組みが、都会と地域を結び、多様な価値観が子どもの成長を促すとなれば、これは多くの人たちにとって朗報となるのではないでしょうか。
【徳島県「デュアルスクール」制度】
- 運営:徳島県教育委員会教育創生課
- 実施時期:2016年4月1日〜