「奨学金に興味はあるけれど、種類が多すぎて違いがわからない」「自分に合う制度をどう選べばいいの?」──そんな悩みを持つ人も多いのではないでしょうか。
国内と海外の奨学金の違いとは?
奨学金には、対象となる学校や留学期間、支援内容などさまざまな条件があります。
その中でも大きく分けて、国内での学費や留学費用を支援する「国内奨学金」と、海外大学で学ぶ学生を対象とした「海外奨学金」の2種類があります。
国内奨学金は主に日本の高校生や大学生を対象にした制度で、在学中の学費や短期留学の支援が中心です。一方、海外奨学金は海外の大学・大学院で学位取得を目指す学生が対象で、生活費や授業料を含む手厚い支援が受けられるケースもあります。
海外進学ラボこの記事では、両者の違いをわかりやすく整理しながら、採用規模・支援内容・必要な英語力などのポイントを比較して紹介します
自分の進路や目標に合った奨学金を選ぶヒントにしてください。
国内奨学金:国内大学在籍者を対象とした支援(返済不要)
東京グローバル・パスポート
| 主な応募資格 | 応募時に生計維持者が都内に1年以上継続居住する国内大学生(30才以下) |
|---|---|
| 支援対象となる留学 | 留学目的・目標に沿った探究活動が含まれる大学や大学院等への留学 |
| 支給額 | 短期コース:地域により40万円~90万円 中長期コース:地域により50万円または80万円、現地活動費10万~15万円/月、渡航費等準備金21万円または35万円 |
| 支給期間 | 28日以上1年以内 |
| 採用人数 | 両コース合計350名 |
| 学力基準 | GPA2.5以上(4点満点) |
| 語学力基準 | CEFR:B1(英検2級)以上推奨 👉 CEFRについて |
| 所得制限 | なし |
| 併給の可否 | 不可 |
| 応募受付時期 | 2025年12月~2026年2月27日、新大学1年生(2026年度)のみ2026年4月中 |
業務スーパージャパンドリーム財団 留学支援事業
| 主な応募資格 | 日本国内大学2年生以上の学部生(35才以下) |
|---|---|
| 支援対象となる留学 | 6ヵ月または 1 学期以上の大学間又は部局間協定に基づく語学研修を含まない留学 |
| 支給額 | 地域により月額15万円または20万円、留学一時金15万円または25万円 |
| 支給期間 | 最長1年 |
| 採用人数 | 年間約800名 |
| 学力基準 | GPA2.5以上(3点満点) |
| 主な語学力基準 | TOEFL iBT/文系・文理融合70以上、理系41以上、 IELTS/文系・文理融合5.5、理系5.0、英検/1級 |
| 所得制限 | なし |
| 併給の可否 | 不可 |
| 応募受付時期 | 2025年度1回目募集:1月、2025年度2回目募集:7月 |
持田・ストロナク全額奨学金(テンプル大学ジャパン)
| 主な応募資格 | テンプル大学ジャパンキャンパス(TUJ)に入学を希望し、日本の国公立高校を卒業見込の生徒 |
|---|---|
| 支給対象プログラム | TUJでの修業 |
| 支給額 | 卒業までの学費・諸費用全額(最大約1250万円) |
| 支給期間 | 最長5年間(交換留学1~2学期分含む) |
| 採用人数 | 若干名 |
| 学力基準 | 優れた学業成績(具体的な指定なし) |
| 語学力基準 | 正規入学:TOEFL iBT79以上、IELTS6.0、Duolingo110以上 条件付き入学(TUJ東京):TOEFL iBT53~78、IELTS5.0~5.5 |
| 所得制限 | なし |
| 応募受付時期 | 2025年4月~10月中旬(2026年5月入学) |
ジョン・ニッセル杯奨学金(上智大学)
| 主な応募資格 | 日本の高校、インターナショナルスクール及び文科省の認定を受けた海外の日本人学校に通う高校生で、ジョン・ニッセル杯(英語弁論大会)に出場する者 |
|---|---|
| 支給対象プログラム | 上智大学での修業 |
| 支給額 | 大会1位は授業料全額免除、2位以下も順位に応じて授業料減額 |
| 支給期間 | 4年間 |
| 採用人数 | 6名(ジョン・ニッセル杯入賞者) |
| 学力基準 | 上智大各種入試に合格可能な学力 |
| 語学力基準 | 上智大各種入試に合格可能な英語力 |
| 所得制限 | なし |
| 応募受付時期 | 2025年8月1日~8月21日(ジョン・ニッセル杯の応募) |
海外奨学金:海外大学進学後に支給される支援(返済不要)
柳井正財団海外奨学金
| 主な応募資格 | インターナショナルスクール含む世界中の高校に在籍している日本国籍を有する学生 |
|---|---|
| 支援対象となる留学 | 財団が指定する米国トップ50大学および同等レベルの英国大学への留学 |
| 支給額 | 米国:年間10万5000ドル、英国:年間7万ポンド |
| 支給期間 | 原則4年間(英国は3年) |
| 採用人数 | 約40名 |
| 学力基準 | SAT 1400、ACT 31、IB 38(予測スコア) |
| 語学力基準 | TOEFL iBT 90、IELTS 6.5 |
| 所得制限 | 家計支持者の所得が2,700万円以下 |
| 併給の可否 | 原則不可(奨学金に該当しない支援金等は可) |
| 応募受付時期 | 予約型:7月中旬~8月中旬、合格型:12月中旬~1月中旬 |
笹川奨学金
| 主な応募資格 | 日本の高校やインターナショナルスクール、それに準ずる海外の教育機関に在学する日本人生徒 |
|---|---|
| 支援対象となる留学 | 財団が指定する米国25大学、米リベラルアーツカレッジ17校、英国4大学への留学 |
| 支給額 | 授業料・寮費・健康保険料などを全額支給 定額奨学金:米国15,000ドル、英国11,000ポンド |
| 支給期間 | 米国4年間、英国3年間 |
| 採用人数 | 35名程度 |
| 学力基準 | 高校在学中のGPA(4点満点)要提出(スコア要件なし) |
| 語学力基準 | IELTS、TOEFL iBT、英検など要提出(スコア要件なし) |
| 所得制限 | なし |
| 併給の可否 | 授業料実費を超えない範囲で可 |
| 応募受付時期 | 秋期2025年7月17日~8月7日、春期:2025年12月以降 |
国内・海外奨学金の違いをわかりやすく比較
国内奨学金と海外奨学金は、支援対象・英語力要件・採用人数などに明確な違いがあります。



それぞれの特徴を整理したうえで、自分の進路や目的に合う制度を見つけましょう
| 比較項目 | 国内奨学金 | 海外奨学金 |
|---|---|---|
| 支援対象 | 国内大学に在籍する大学生 | 海外大学で学位取得を目指す学生 |
| 支援内容 | 授業料・留学費用・短期プログラム支援など | 学費・生活費・渡航費などの全額・一部支援 |
| 採用人数 | 数百名規模も多く、挑戦しやすい | 少数精鋭・選抜重視のケースが多い |
| 所得制限 | なし、または緩やかな制度が増加傾向 | 家計基準+人物評価重視 |
| 英語力要件 | CEFR B1〜B2(英検2級〜準1級)程度 | CEFR B2〜C1(IELTS 6.0〜7.0相当) |
| 特徴 | 幅広い学生に門戸が開かれ、初挑戦にも適する | 高度な英語力と明確な目標意識を求められる |
このように、国内奨学金は「応募しやすさ」や「募集人数の多さ」が魅力で、海外奨学金は「支援額の大きさ」と「英語力の高さ」が鍵となります。
どちらのタイプを目指す場合も、早い段階から英語4技能をバランスよく鍛えることが重要です。
国内奨学金の違いについて
国内奨学金のなかでも、東京グローバル・パスポートと業務スーパージャパンドリーム留学支援事業は、日本の大学に在籍しながら数ヵ月〜1年間の留学を希望する学生にとって活用しやすい選択肢です。



どちらも開始からまだ数年と新しい制度ですが、募集人数が数百名規模と多く、所得制限がない点が特徴です。そのため、応募条件のハードルが比較的低く、採用されるチャンスが高い奨学金といえます
特に東京グローバル・パスポートは、学力や英語力の基準がゆるやかに設定されており、より幅広い学生に門戸が開かれています。
ただし、家計支持者(保護者など)が東京都に1年以上継続して居住していることが応募条件にあるため、東京との関わりがない場合は対象外になります。
その場合、全国の学生が応募できる業務スーパージャパンドリーム留学支援事業が有力な選択肢となるでしょう。
また、TUJ(テンプル大学ジャパンキャンパス)や上智大学の奨学金では、在学中の学費を全額免除または一部減額する手厚い支援が設けられています。採用人数は少ないものの、日本にいながら海外大学に近い環境で学びたい学生にとっては注目すべき制度です。
TUJ(テンプル大学ジャパンキャンパス)も、条件付き入学であればCEFR B1上位程度の英語力が目安とされており、日本の高校生にとっても十分狙えるレベルです。
海外奨学金について
一方、海外奨学金では、採用人数が多く、支援内容が全額支給に近い手厚い制度を中心に紹介します。
なかでも柳井正財団奨学金は、英語力要件がB2上位レベルに設定されていますが、対象となる海外大学の水準を考えると妥当な基準といえます。
また、笹川奨学金は英語スコアの具体的な基準を公表していないものの、アイビーリーグなど最難関大学を留学先に指定しているため、実際には柳井財団奨学金と同等以上の英語力が求められると考えられます。
まとめ|英語力で奨学金のチャンスを広げよう
進学先が国内か海外かまだ決まっていない段階では、将来どの奨学金を目指すべきか判断するのは難しいものです。
ただし、ほとんどの奨学金に共通しているのは、応募条件の有無にかかわらず、実質的にCEFRでB1〜B2程度の英語力が求められるという点です。
特に、奨学生として海外大学に進学する場合は、B2レベル以上がひとつの到達目安となります。
また、高校段階でB2に到達しておけば、国内大学に進学したあとでも、奨学金の選考で明確なアドバンテージになります。



つまり、奨学金のチャンスを広げたいなら、CEFR B2を目標に据えて、中高生のうちから英語4技能の学習を積み重ねていくことが何より大切です





