「未来をつくる学びのカタチ」は、みなさんの挑戦と成長を記録するシリーズです。海外体験、探究活動、地域貢献──さまざまなフィールドで、自分の問いを深め、行動した中高生たち。
海外進学ラボ一人ひとりの言葉が、次の挑戦者の背中を押しています。あなたの経験も「中高生チャレンジレポート」で届けてみませんか? 🔗 応募ページはこちら
英語で科学を学ぶREDプログラム。戸惑いと苦戦の中で身につけたのは、英語力以上に「質問する力」でした。
わからないことをそのままにしない姿勢が、学びの質と未来への向き合い方を大きく変えていきます。
REDプログラムとの出会い
私にとってREDプログラムは「質問する」ということの本質的な部分をおしえてくれたプログラムです。REDとは「Research Essay Discussion」の略で、「科学を英語で学ぼう!」というプログラムです。
REDには、主にイブニングプログラムとサマースクールという2つのプログラムがあります。
イブニングプログラムの学び方と特徴
イブニングプログラムは、いわゆる通常コースで、1年に3ターム、だいたい3学期制の学校と同じ期間で、放課後の2時間、週に2回授業があります。



友達がREDのことを「疑似留学」と言っていましたが、授業をすべて英語で行うため留学と同じような環境で学ぶことができます


また、タームごとにエッセイ、ポスターを作り、最後にプレゼンをします。プレゼンやエッセイもすべて英語で行われます。


エッセイやプレゼンのトピックは、タームの大きなテーマ(例えば「偶然の発見」など)に沿って自分で決めることができ、科学に関することなら、化学、物理、社会言語学、などだいたいどんな分野のことでもできます。
私は物理が好きなのでそれに関することをよくやります。ターム終わりまでにエッセイを書き、プレゼンの練習をするため、ターム終わりは大抵忙しくしていました。
クラス構成とステップアップ
イブニングプログラムは、
- Basicクラス(中1)…英語に触れあい、英語で科学を学ぶのに慣れていきます
- Intermediateクラス(中2)…少しずつ科学に深く関係することを扱うようになります
- Completionクラス(中3)…リサーチ、エッセイ、プレゼンの質が高レベルになってきます
- Advancedクラス(高1)…1年を通して1つのトピックを扱いガチガチにリサーチ、エッセイ、プレゼンをします
の4つのクラスに分かれています(たまに飛び級する人もいます。すごい)。



私は、Basicには参加していませんでしたが、友達がたくさん入っていて、みんな英語が得意だったため、私も入ってみたい!と思い、Intermediateから入りました
授業では専門用語なども英語で出てくるので皆最初はちんぷんかんぷんでしたが、時間をかけて理解したり、TA(Teaching Assistant)から教えてもらったりして少しずつ分かっていきました。
学校の英語の授業で科学関連の用語が出てくると大抵はREDでやっているので知っていて、自慢できました。そんな感じでCompletionまでは、大変な時もありましたが、結構ゆったりとやれていました。
Advancedクラスで受けた衝撃
そこで、初めてAdvancedの授業を受けて、とても衝撃を受けました。
授業は速く、やることも高度で、わからないことだらけです。とりわけ、1本の動画を見てその内容を英語で議論するアクティビティでは、動画で喋っている人の英語が早くなまっていて聞き取りにくく、かつその話題を英語で10分程度ディスカッションして沈黙がないように気を付ける必要があったため、難しすぎて頭が破裂しそうでした。
最初こそ戸惑い、どうすればいいかわからない状態でしたが、何回か授業を受けていくうちに次第に慣れていきました。



「そんなにすぐ慣れるものなの?」と思うかもしれませんが、何もしてない状態で、その場にポンといたなら、どうしようもなかったと思います
「質問すること」が学びを変えた
私の場合は、IntermediateからAdvancedまでの経験と高1の夏に参加したサマープログラムによって、質問することの重要さを知っていたことが大きかったと思います。
基本的にREDでは、講師1人と、生徒4~5人につき1人のTAがいますが、全員海外のいろんな国から来ていて日本語はしゃべれない(しゃべらない人もいます)ので、わからないことは英語で聞くしかありません。
わからないのに質問できないという状況をそこではじめて知り、そこからは、何かわからないことがあるたびに質問の重要さを感じていました。
そこからわからないことは直ぐに聞くように心がけたことで、Advancedの授業についていけただけでなくエッセイの書き方についての理解が深まりました。
成果としてのエッセイ賞
とくにエッセイの内容の統一(Unity)と論理の一貫性(Cohesion)に関しては楽しいと思えるほど得意になり、ターム1ではエッセイ賞を取ることができました!
サマースクールへの挑戦
サマースクールは、年に1回、夏に開催する特別なプログラムで、だいたい学年ごとに1コースあります。毎年微妙に内容が違ったりするので、もしかしたらこのレポートで話す内容と違うことがあるかもしれません。
初めての海外挑戦を決めた理由
私は、高1の夏にKCL(イギリスの「King’s College London」の)寮に泊まって教授の講義を現地で受けられるプログラムがあると聞いて、今までREDで学んできたことや英語力がどれくらい通じるのか知りたい!と思い、人生で初の海外に挑戦してみることに決めました。


出発前の不安と期待
参加を決めたときは、講義についていけるか不安でしたが、日常会話については、REDのイブニングプログラムでゆっくりでもジェスチャーでも伝えようとすれば伝わるという経験をしていたためあまり心配せず、イギリス観光できることを楽しみにしていました。
参加条件と英語力について
KCLに参加するには、TOEFLのスコアでB2以上かそれに相当する資格、もしくは、B2に及ばないがプログラムが始まるまでに届かせる意欲があること、が条件でした。
私はB2には届きませんでしたが、英検2級を取っていたので参加することができました。


King’s College Londonでの体験
12日間の全体スケジュール
KCLは12日間イギリスに行き、そのうち5日間がKing’s Collegeでの講義がある日で、あとの7日間は観光できるようなスケジュールになっていました。
観光では、ケンブリッジやオックスフォードなどの有名大学やキューガーデンやビックベン、テムズ川などのロンドン周辺に行きました。


講義では、Dr.Rhodeの研究室で3DプリンターやVR、遠隔操作ロボットを使ったアクティビティやそれらに関する講義を受けました。講義が終わった後にはガイドさんに説明してもらいながらロンドン観光を楽しみました。
ミュージカルを見に行ったり、メンバーと一緒にとてもおいしいピザを食べたりしてとても楽しかったです。


「質問する勇気」が生んだ変化
その他さまざまなことがありましたが、一番印象に残っているのは観光の時に英語で説明していたガイドさんや講義をしていたDr.Rhodeに質問をするときでした。
「わからない」が前提だった講義
いまでも、最初に鮮明に思い出すのは説明や講義の内容ではなく質問していた内容や状況です。私は初めのほうでガイドさんの説明やDr.Rhodeの講義のうち聞き取れて理解できたのは正直3割くらいでした。
そのくらい難しく速かったため質問しないとどんな説明をしていたのかさっぱりでしたが、質問するのは緊張しました。また、質問しても理解できなかったこともありました。
質問したことで起きた変化
しかし、質問しなければどんどんと講義は進んでいき、さらにわからなくなっていってしまうと感じ、意を決して初日の1回目の講義の終わりにわからなかったところ丸々もう1回説明してくれないか頼んだところ、快く説明してくれました。
結果、完全に理解はできませんでしたがそれがきっかけでとても安心し、次も質問してみようという意欲がわきました。



また、質問する勇気や理解できた時の達成感を感じたときにとてもうれしい気持ちになれました
講義最終日には自然と、どこが聞き取れなかったのか、どこがわからなかったのかを意識して質問を考えるようになりました。
KCLに参加する以前は思いついた時だけなんとなくやっていた質問に対する考え方が変わり、ちゃんとした学びの道具として、わからないこと、理解が不完全なことに積極的に質問するようになりました。
これから参加する人へ
最後に、科学を学びたい人、英語を学びたい人、楽しみたい人全員にREDをおすすめします。サマースクールだけでも得られるものはとてもたくさんあると思います。
REDでは基本英語だけで学ぶため、英語の4技能すべて上達できる上、エッセイなどの課題などで扱う内容は自由で、科学に関する各々の好きなこと、関心事に取り組めるため、英語が苦手という人でも始めやすいと思います。



もしREDでもRED以外でも知りたい、わからないと感じることがあったら、1人で考え込まずに学びたいこと、わからないことを質問してみてください
英語で学ぶ、科学を学ぶ楽しさを知るきっかけになると思います。















(東京都・武蔵高校1年)