念願の海外プログラムに参加するまで
2018年7月17日(火)〜8月8日(水)の3週間、「AIG高校生外交官プログラム(AIG High School Diplomats U.S. Program、HSD U.S.)」に参加してきました。
僕は、高校1年生の夏休み(2017年)に「TOKIHA」というキャンプに参加しましたが、海外に行った経験がなかったので、2018年の夏休みは海外に行こうと決めていました。
merci(茨城県立竹園高校2年生)
高校2年の1年間は、多くの経験をすることができました。このレポートがみなさんの力になれば幸いです
HSDのことは、Facebookでたまたま見つけて、米国の主要機関に訪問できることに魅力を感じて、応募することを決めました。
応募締め切りは、1月末日。HSDに参加することで「どのように自分を成長させることができるか」についてエッセイを書き、提出しました。書類審査を経て、3月に面接試験。そして、3月末には晴れて高校生外交官の一員に選ばれました。
4月から7月の出発までの間には、グループにわかれて、スカイプを通じてアメリカで行うプレゼン、日本文化の発表の準備をしました。
その際、グループのメンバーが「スカイプでこんなに楽しいのなら、実際会ったらどうなるんだろう」と言っていましたが、僕もみんなに会うのが楽しみで仕方ありませんでした。
個人的には、ツアーで訪れる場所について調べたり、「TED talk」を見て英語を勉強したり、日本の文化や制度、歴史についてある程度英語で説明できるようにしておきました。
高校生外交官としての心構え
このHSDのプログラムは、米国内におけるツアー、ホームステイ、エクスチェンジの3つのパートで構成されています。
ツアーでは、米国の各分野の第一線で活躍している人たちから、政治、経済、歴史、文化を学びます。そして、エクスチェンジプログラムとして、プリンストン大学で米国の高校生たちと10日間の合宿を行います。「多様性社会への理解と取り組み」「国家の安全と国際平和への課題」「選挙と若者の政治参加」などを題材にディスカッションを行い、日米社会の現状を捉え、自身の考え・想いをぶつけ合い、国境を越えた高校生外交官として、よりよい世界の実現に向け討議します。
プログラムでは、まずは最初の2日間は「事前オリエンテーション」として、東京でアメリカに行く最後の準備をしました。
スカイプでしか話したことのない仲間を目の前にしたときの感動は、いまでも忘れられません。そして、自分が高校生外交官であることを実感しました。
初めて飛行機に乗り、ついに初の海外となるアメリカに到着しました。
ワシントンD.C.でもらったアドバイス
ここからは、ワシントンD.C.、ニューヨークで訪問した場所を1ヵ所ずつと、「プリンストン大学」での思い出について書こうと思います。
まずは、ワシントンD.C.で訪れた「国際通貨基金(IMF)」と「世界銀行」について。僕がこのプログラムに申し込んだ理由のひとつには、これらの国際金融機関を訪問できることがあげられます。経済やお金について興味があるので、お金によって解決できるもの・できないものは何かを考え、最前線で活躍している人たちにも質問してみたいと思っていました。
参加者は訪問地のいずれかを担当して調べることになっていましたが、僕の担当はIMFと世界銀行。準備段階から知識を集めていたにも関わらず、現地では他のメンバーも同等もしくはそれ以上の知識があることに驚きました。
IMFの建物に入ると、そこはテレビで見たことのある会場でした。経済サミットも開かれる場所だったので、僕自身も日本代表であるかのように感じました。世界銀行の担当者が全体の説明をしてくれたあとは、グループにわかれて日本人スタッフとお昼を食べながらの懇談会となりました。
懇談会で印象的だったのは、「博士課程に進むことを怖く感じたことはあるのか?」という問いに対する返答でした。
「怖くなかったと言えばうそになるけど、IMFでは、そのくらいのリスクをとって準備しないと戦えないと思う。IMFにいる人はみんな博士号を持っている。正直、30才までは準備期間。それまでだったら巻き返しがきくと思ってやってきた」
それまでの僕は、博士課程で専門性を高めてから社会に出たいという思いと、そこまでのリスクをとるべきなのかという気持ちで揺れていました(周りは働いているのに、自分は学生のままでいいのか)。でも、17才の僕には、30才まで約12年ある。どんなことだってできるのではないかーー
僕がこの先、進路で悩むことがあるのなら、この言葉がきっと糧になってくれると思います。
その後、僕たちは感謝のスピーチをして、IMFを後にしました。
ハーレムで実感した日本文化の誇り
ニューヨークでは、ハーレム地区にある孤児園でソーラン節を披露し、子どもたちと一緒に踊りました。
はじめはあまり笑顔がなかった子どもたちが、ソーラン節を見て笑顔に。そして、楽しそうに一緒に踊ってくれたときの笑顔を見たときに、日本で準備してきたことは間違っていなかったのだなと感じました。
ソーラン節のあとは、紙風船やだるま落としなどの昔遊び、剣道・柔道などの武道ブース、そして盆踊りのブースを設けて、体験会を行いました。どのブースも人気があり、終始笑い声に溢れていました。
交流会終了後は、日本の文化がアメリカでも受け入れられたとも感じ、日本文化を誇りに思い、さらに深く学びたいと思いました。
日米の高校生が共に過ごした10日間
プログラム終盤の10日間は、「プリンストン大学」でアメリカの高校生たちと交流するエクスチェンジプログラムでした。
日本とアメリカの参加者がひとりずつペアになって(ペアの相手をルームメイトと呼びます)、寮やプリンストン大学でのアクティビティを行います。この10日間は、起きてから寝るまでずっと一緒に行動し、夜も同じ部屋で寝るという、常にルームメイトが隣にいる状態。
共に過ごすなかで、ルームメイトのいい部分も不満な部分もわかってくるため、4、5日目にはルームメイトとうまくいっていない人もいました。が、最終日にはメンバーの全員が、ルームメイトとの仲がいい・悪いに関わらず、ひとりの人間として文化や言語の壁を乗り越え向き合っていました。
「同じ世代の異国の高校生と一緒に行動し、相手と向き合うプログラム」は、HSDならではの素晴らしい体験だと実感しました。
経験してみなければわからないこと
アメリカを訪れるまでは、僕にも「日本人だから」「アメリカ人だから」というステレオタイプな発想がありました。しかし、この10日間のルームメイトとの生活を経て、「アメリカと日本には文化の差はあれど、それよりも個人や性格の差なのだな」と感じました。
私のルームメイトは礼儀正しく、ルールをよく守る人でしたが、この印象は僕のアメリカ人像とはかけ離れていました。やはり、自分が経験してみるまではわからないのだということを実感しました。
このHSDプログラムを通じて、さまざまな経験をしました。去年の夏から行きたいと願っていた海外に行くことができ、文字や写真でしか知らなかったアメリカに少し触れることができたこと。そして、大好きな、尊敬する仲間に出会えたこと。
いまの僕は、彼らがいるから「大丈夫」だと思っています。互いに高め合いながら、いつかHSDに参加した全員と再び会えるのを楽しみにしています。そのとき、「merciは成長したな」と言ってもらえるように、努力しています。
今回、この文章は他のメンバーにも添削してもらいながら作成しました。協力してくれたみんな、ありがとうございました。
この高校生外交官プログラムは、アメリカに行きたい人、同志に出会いたい人、他人と真剣に向き合いたい人、交流したい人など、あらゆる高校生におすすめです。
HSDは、どんな人でも受け入れてくれます。まずは、このプログラムに応募することで、チャンスを掴んでみませんか?
【関連記事】「AIG高校生外交官プログラム2019」募集について
【AIG高校生外交官プログラム(HSDU.S/HSDJapan)】
- 主催:AIG高校生外交官プログラム実行委員会
- 日程:2018年7月17日(火)~8月8日(水)
- 場所:ワシントンD.C.、ニューヨーク、プリンストン大学など
- 対象:高校2、3年生
- 募集人数:合計40名(男女各20名)
- 応募締切:2018年1月31日(水)