資格取得は「進路を広げる投資」
英語資格というと、「合格=ゴール」というイメージが強いかもしれません。
エデュコさんでも、いまの英語資格をめぐる状況を考えると、むしろ「進路を広げるための手段」として考えるほうが合っています
実際、一定の英語スコアを持っているだけで、
- 受けられる入試方式が増える
- 応募できる奨学金が広がる
- 英語の試験が優遇される
といったメリットが一気に広がります。
この記事では、教育への“投資”としての英語資格が、国内進学・海外進学・奨学金にどう役立つのかをわかりやすく紹介していきます。
国内大学で活かせる英語資格
国内大学といえば、「英検が一番使える」と思われがちですが、最近は少し状況が変わっています。



英検・IELTS・TOEFLの3つであれば、国内大学の入試で使える場面はほぼ同じくらい確認できるようになってきました
総合型選抜
総合型選抜は、一般入試とは別の選択肢として年々採用する大学が増えている入試方式です。基本的に学科試験はなく、提出書類・面接・エッセイなどで合否が決まることが多いのが特徴。
英語スコアについては、
- 出願要件として一定のスコアが求められるケース
- スコア提出は任意だが、提出すると審査資料として扱われるケース
この2パターンがあります。
ただし、特に英語で学ぶ学位プログラムでは、帰国生と競うことが多く、スコア要件が設定されていなくても、最低でもCEFR B2レベルの英語力は必要になるのが現実です。
事例1
早稲田大学国際教養学部(SILS):4月入学AO入試
英検、IELTS、TOEFL iBTなどを1つ以上提出(スコア要件なし)
事例2
慶應義塾大学経済学部PEARL
IELTSとTOEFL iBTの両方もしくはいずれかを提出(スコア要件なし)
一般入試
最近の一般入試は、ひとまとめに「一般入試」といってもいくつもの選抜方式が用意されているのが特徴です。そのなかで、英語の外部試験(英検・IELTS・TOEFLなど)を活用できる入試方式も多く見られます。
活用のされ方には大きく2パターンあります。
1つ目は、基準以上の英語スコアを提出すると、大学の英語試験が免除(満点扱い)になるケース。
2つ目は、提出したスコアに応じて英語の得点に加点が入るケースです。
ただし、実際に有利な加点を受けるためには、
- 英検の場合は最低でも2級
- しっかり優位に立ちたいなら準1級
このあたりのレベルが求められることが多いです。
事例1
法政大学グローバル教養学部(GIS):一般入試A方式
英語外部試験に応じて得点換算
- IELTS7.0以上、TOEFL iBT100以上→英語200点(満点)に換算
- 英検1級、IELTS6.5以上、TOEFL iBT85以上→英語185点に換算
- 英検準1級かつ2350点以上、IELTS6.0以上、TOEFL iBT76以上→英語175点に換算
事例2
国際教養大学:一般選抜入試(A/B/C日程)
以下いずれかのスコア要件を満たす場合、大学入学共通テストの英語科目を満点換算
- 英検準1級以上
- IELTS6.5以上
- TOEFL iBT72以上
海外進学で求められる英語資格
海外大学への出願で使える主な英語資格には、IELTS・TOEFL iBT・Duolingo English Testなどがありますが、いまのところ汎用性が高いのはIELTSとTOEFL iBTです。
ただし、TOEFL iBTは採用校がアメリカ寄りになる傾向があります。そのため、より多くの国・地域で通用する資格を選びたいならIELTSが最も適しています。



海外大学で求められる英語力の目安は、一般的にCEFR B2の上位レベル(IELTS6.5 / TOEFL iBT80 以上)
一方で、アイビーリーグのようなトップ大学を目指す場合は、CEFR C1(IELTS7.0以上 / TOEFL iBT95以上)が現実的な基準になります。
英語スコアの扱われ方には2タイプあり、
- 出願資格として明確なスコア基準が設定されている場合
- スコアが必須ではないものの、提出すると選考材料として評価される場合
このどちらかにわかれます。
事例1
カリフォルニア大学(米):(UCシステム各校共通)出願時の英語力要件
IELTS6.5以上、TOEFL iBT80以上(バークレー校100以上推奨)、Duolingo English Test 115以上
事例2
トロント大学(カナダ):出願時の英語力要件
IELTS6.5以上、TOEFL iBT89以上、Duolingo English Test 120以上
事例3
コーネル大学(米):出願時の推奨スコア
IELTS7.5以上、TOEFL iBT100以上、Duolingo English Test 130以上
※出願要件ではなく、主要な合格者が取得しているスコア目安
事例4
オックスフォード大学(英):出願時の英語力要件
IELTS7.5以上、TOEFL iBT110以上
英語スコアが奨学金・留学支援につながる事例
英語スコアを持っていると、奨学金の応募条件を満たせたり、選考で有利になったりするケースがとても多いです。



ただし注意点として、海外で学位を取るための奨学金では英検は使えず、IELTSかTOEFL(まれにDuolingo English Test)が必須になります
高校在学中の留学を支援する奨学金では、CEFR B1(英検2級程度)で応募条件を満たせることが多いです。
一方、大学生向けの奨学金では、CEFR B2(英検準1級程度)がひとつの目安。
さらに、海外トップ大学を指定した奨学金では、CEFR B2〜C1(IELTS 6.5〜7.0)レベルの英語力が現実的な目標ラインになります。
事例1
UWC派遣生:高2~高3の約2年間、世界各地のIB校への留学を支援する奨学金
応募要件:英検2級以上、IELTS4.0以上、TOEFL iBT42以上
事例2
柳井正財団海外奨学金:米英カナダのトップ大学(指定あり)の進学予定者を対象とする奨学金
推奨英語スコア:IELTS6.5以上、TOEFL iBT90以上(基準に満たない場合も応募は可能)
事例3
業務スーパージャパンドリーム財団留学支援事業:交換留学プログラムに参加する大学2年生以上を最長1年間支援する奨学金
応募要件:英検1級、IELTS5.5(文系)・5.0(理系)、TOEFL iBT70(文系)・41(理系)
まとめ:スコアを“未来を設計する通貨”として活用する視点
ここまで、英語資格が国内進学・海外進学・奨学金のどこで使えるかを見てきました。そのなかで、自分にはどの英語資格が合いそうか、少しイメージがつかめてきたのではないでしょうか。
また、大学や制度によって、IELTSとTOEFLのスコア対応が完全には一致しない点も大事なポイントです。たとえば、IELTS 6.5 が求められる場合のTOEFL iBT基準は80〜90点と幅があるなど、出願先によって基準が異なります。
だからこそ、まずは
- 目指す進路や応募したい奨学金
- そこで必要になる英語スコア
をしっかり確認し、出願までの残り時間から逆算して学習プラン(教育投資プラン)を描くことが大切です。



英語スコアを「未来を設計するための通貨」として捉えられるようになると、これまでぼんやりしていた将来像が、より具体的で実現しやすいビジョンへと変わっていくはずです





