できるだけ安いコストで留学したい!
エリアによって留学コストは大きく変わります。今回は、コストから逆算したおすすめエリアを紹介していきます
今回は、JASSO奨学金のエリアコスト指標も参考にしながら、穴場のエリア・大学を紹介していきます!
海外大学進学 | 費用が高いのはアメリカの大学
大学ごと、私立・公立などによっても違いはありますが、国別で見てもっとも留学費用が高くなるのはアメリカです。
アメリカの大学は、学費だけで年間150万~450万円かかり、同じ北米圏のカナダ(年間学費140万~240万)と比較してもその差は明白です。
さらに、アメリカは、ほかの留学先と比べても生活費が高く(毎月10万円~)、留学の総費用はどうしても高額な水準となります。
ただし、アメリカの大学留学には学費を抑える方法もいくつかあります。
2年制コミュニティカレッジ+4年制大学
まず、公立の2年制コミュニティカレッジに通ったあとに、4年制大学の第3学年に編入するというルート。
コミュニティカレッジとは、「経済事情を問わず誰もが通える学校」を理念に運営される教育機関で、留学生の場合、地元学生よりは高額に設定されるものの、年間授業料100万円程度で通えるのはメリットです
このコミュニティカレッジ(2年)+4年制大学(2年)の進路を選べば、1年次から4年制大学に通うより留学の総費用を20パーセント程度抑えることが可能です。
しかし、コミュニティカレッジ経由ルートには注意点もあり、4年制大学に「編入可能」ではあるものの、あくまで2年間の在学中に優秀な成績を収めることが前提となります。
もし基準に満たなければ、4年制大学編入の道は絶たれ、さらにもう1年学費を払いながら通学して次年度の機会を待つしかありません。
また、コミュニティカレッジに入学するだけでは、4年制大学への進学が100パーセント保証されないことから、2年以上目標に向かって努力し続ける精神的タフさも問われるでしょう。
海外大学進学 | JASSO奨学金からみるコスト感
海外大学を目指す人ならば、一度は検討するであろう奨学金制度として、文科省管轄の「JASSO奨学金(学部学位取得型)」があげられます。
この制度では、留学先エリアを4分割し、所定の区分(指定都市・甲地方・乙地方・丙地方)に応じて毎月固定額を奨学生に対して支給しています。
国費による奨学金らしく、4区分は「国家公務員等の旅費に関する法律」および「国家公務員等の旅費支給規程」に基づいており、支給額の違いから各地域における留学のコスト感をおおまかに把握することができるでしょう。
支給金額から留学先を俯瞰する
以下では、JASSOが設ける都市や地域の区分と、対応する奨学金額をまとめました。
まず、もっとも支給額の高い指定都市(月額11万8000円)には、主要国の首都や中心都市が名を連ねます。
もし、こうした指定都市の大学に留学する場合は、学費のみならず生活費のコストも割高になりやすいと推察できます。
日本人に人気の留学先としては、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアなどが知られていますが、乙地方(月額7万4000円)に該当するオーストラリアを除くと、ほとんどが「指定都市」または甲地方(月額8万8000円)に分類されるのが特徴的です。
指定都市や甲地方では、学費や生活費が高くなりやすいため、留学費用の節約を重視するなら、乙地方や丙地方にある大学への進学がおすすめできます。
とはいえ、オーストラリアとニュージーランド以外は、留学先として見聞きしない地域ばかりという疑問が生じるかもしれません。
確かに、丙地方の場合は英語主体の留学にはあまり適性がありませんが、乙地方であれば、安い学費で英語カリキュラムを履修できる留学先が複数含まれています。
海外大学進学 | 低コストで行ける!おすすめの国
ここでは、英語ベースの留学を前提に、JASSO奨学金における乙地方区分から「低コストで留学可能な国々」に着目していきましょう。
オセアニアは有力な選択肢
まず、オセアニア地域は、オーストラリアとニュージーランドが教育環境や治安の良さも含めて有力な選択肢です。
とりわけ費用面では、8つの国立総合大学が揃うニュージーランドのほうがコストを抑えて留学できます。
1年間の学費は、オーストラリアの150万~300万円に対し、ニュージーランドは150万~250万円程度
さらに、食費や交通費もニュージーランドの方が安く抑えられるため、年間の留学総費用はオーストラリアとニュージーランドでは20パーセント程度の差が生じるでしょう。
東南アジアではマレーシア
このニュージーランドよりも、はるかに学費を抑えて大学進学できるのが東南アジア方面です。
なかでも、英語教育や大学環境の充実度を加味すると、マレーシアがとくに注目すべき候補地といえます。
マレーシアは、フィリピンと並び、国民の英語力がアジア圏でも屈指の水準にありながら、大学進学に求められる英語力はIELTS5.5程度と、主要留学先よりは低めのラインに設定されています。
また、QSアジア大学ランキング2023では、マレーシア最古の大学「マラヤ大学」が9位にランクインするなど(東大11位・京大16位)、トップ100圏内に8大学が選出。
こうしたマレーシアの大学に必要な年間学費は、私立なら80万円、国立ならわずか20万円程度。
家計事情から「海外大学進学はムリ」と諦めている人にも、1度は検討してもらいたい留学候補地です。
英語レベルを考えるとフィリピンも選択肢
そして、大学の評価面ではマレーシアにおよばないものの、隣国のフィリピンも学生や国全体で英語使用レベルが高く、費用を抑えた海外大学進学には適しています。
年間学費は、国公立なら5万円~10万円程度、私立でも15万~45万円程度とマレーシアよりもさらにリーズナブル。
生活費も月4~5万円程度で不自由なく暮らせる環境にあり、生活圏全体で英語を活用できる機会に恵まれる点もメリットです。
ヨーロッパでは、南欧・東欧・北欧に注目
ヨーロッパ留学を志望しているものの、イギリスの年額150万~380万円程度かかる学費水準が厳しい人にとっては、南欧・東欧・北欧方面に注目すると学費の安い留学先を見つけられる可能性が高まります。
こうした地域では、英語が公用語ではなくても、英語使用の学位コースを提供する大学が少なくありません。そして、大学によっては、マレーシアなど東南アジア地域と同程度の学費で通えるケースもあります。
とくに学費が安い国々を紹介すると、ハンガリーの公立大学ならば、年間20万円~70万円程度(医学・歯学系は除く)で通えます。
同じく東欧のチェコは、大学生を非常に優遇する国で、チェコ語で学ぶ学生は学費無料、英語で学ぶ学生に対しても30万~80万円というリーズナブルな授業料設定です。
旧ユーゴから独立したスロベニアは、日本での地名度は低いですが、ヨーロッパ中の交換留学生が学ぶ多国籍な環境が整い、治安も比較的良好なことで知られています。
公立大学なら年間学費は30万円~70万円程度で、スロベニア政府が留学生向けに充実した奨学金制度を設けているのも魅力。
最後に、英語で学べる選択肢はやや限られますが、ノルウェーの公立大学はなんと留学生までも学費無料で受け入れています。
ただし、ノルウェーはヨーロッパでも非常に物価が高い国として知られ、トータルの出費では学費無料の恩恵をあまり得られない可能性もあります。
おすすめの国はこの5つ!
安い費用で海外大学進学を実現できる、おすすめ留学先をまとめると以下の5つです。
- マレーシア(とくに国立大学)
- フィリピン
- ハンガリー(とくに公立大学)
- チェコ
- スロベニア(とくに公立大学)
ヨーロッパ圏は、学費の安さに加えて生活費を節約できる国を優先して選びました。
もっとも、ここで取り上げた東南アジアの都市部を除く大学や東欧方面の大学は、日本人学生の在籍数が少なく(同学年にゼロかもしれません)、留学に際して孤独感や不自由さに直面する可能性も否めません。
確かに、短期的には苦しい経験かもしれませんが、海外で苦労しながら培った英語力や生き抜く力は、その後の人生を支える確固たる自信やノウハウに結びつくはずです。
海外大学進学 | 利用したい給付型奨学金
安く留学するには、学費や生活費の安い国を選ぶのはもちろんですが、奨学金制度をうまく活用することで無償に近いコストで通える可能性もあります。
とくに給付型奨学金なら卒業後に返済不要のため、応募要件を満たす場合は積極的に申請手続きを行いましょう。
一部の名の通った奨学金制度は、支給対象を米英の難関大学のみに定めるケースが多く、今回紹介したような少数派のエリアに留学したい場合は、支給先を問わない奨学金制度を利用する必要があります。
こうした条件にもっとも合致するが、「JASSO海外留学支援制度の学部学位取得型奨学金」です。
先述したように、区分に応じて固定額が毎月支給されるため、全額支給を約束する制度ではありません。
ただし、他の奨学金等との併給が認められており、大学側の奨学生にも選ばれれば費用負担をゼロに近づけることも可能でしょう。