国際バカロレアのこと、じつはあまりよくわかってないのよね…😅
国際バカロレアについて、5回にわけてわかりやすく紹介していきますね
Globaledu進路ナビチーム
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国際バカロレア | なぜIBを選択しないのか
国際社会で活躍できるグローバル人材育成を目指し、2016年度より公立高校に導入されることになった「国際バカロレア」(IB)ですが、海外ではすでに多くの国で実施されています。
海外留学をしている子どもにもIBを選択するチャンスがあったわけですが、このIB(おもに「DP」についての話となりますが)を選択する日本人の子どもたちは多くはありません。
それはなぜなのか。今回は、その理由について考えてみたいと思います。
①学習内容の特異性
詰め込み教育や記憶中心の学習になりがちな日本の教育を受けた子どもたちにとって、自ら思考し正解のない答えを求めていくIBプログラムは、とても特異な学習と感じられるようです。
とくに、高校生から留学しIBに取り組んだ生徒にとっては、この学習スタイルに慣れるのに精いっぱいで、学習面で力を発揮できずに終わるケースも少なくありません。
また、2年にわたって多くのエッセイやリポートを書かなければならないことも、英語や論文の作成に慣れていない生徒にとって大きな負担となっています。
その対策として、家庭教師の依頼を検討する家庭もありますが、IBを専門的に指導できる家庭教師はとても少なく、費用も通常の家庭教師の数倍になることもあるようです。
つまり、日本人生徒がIBに踏み込めない理由は、IBが従来の学習スタイルと大きなギャップがあること、学習面でのサポートが得にくいことにあるといえます。
②英語力の不足
学習のすべてが英語で進められるため、授業内容を理解するだけでなく、エッセイやリポートを書き、プレゼンテーションもこなしていくだけの高度な英語力が要求されます。
日本の高校で英語が得意だった、英検2級を取得しているといった生徒が挑戦しても、IBの学習を断念せざるをえない場合も多々あるようです。
もちろん、IBを学習しながら英語力をつけていくこともできますが、日々多くの課題に取り組むなかで、知らない単語や言い回しを調べていてはあっという間に授業に追従できなくなってしまいます。
高いレベルでの「読む・書く・聞く・話す」の4技能の英語力を備えていることが重要なので、日本の従来の英語学習のみでIBの学習に入るのはなかなか難しいようです。
ちなみに、DPの英語の授業では、たとえば「異邦人」を読み、議論し、リポートにまとめていくという課題もあるので、それがこなせるだけの英語力・読解力が必須となるのです。
高校生の段階で、英語で文学作品を読み解く力が必須であることを知っておく必要があるでしょう。
③帰国生枠と留学目的の多様性
日本に帰国することが決まっている場合、現地の統一試験を受けて卒業すれば「帰国生枠」での大学受験が可能となるので、IBを選択する必要性は高くありません。
また、最近は学問や語学の習得という目的だけでなく、スポーツや芸術関係の力を伸ばすために留学する子どもも増えています。
このような場合はIBがその目的に合致していないので、選択されることは多くないようです。
④日本の大学の受け入れ体制
ここ数年、日本でも「国際バカロレア」修了者を受け入れる大学が増えてきましたが、現段階ではまだまだ一部の大学に過ぎません。
また、海外の大学においては、IBのポイント(得点)とレポート、面接だけで受け入れが決定したり、受験時期によりIBの結果が出ていなくても、「〇〇点以上であること」を条件に内定を出すなど柔軟な体制をとる大学が多いのですが、日本ではまだそのような環境が整っているとはいいがたい状況です。
IBのポイントに加え学科試験を課せられたり、受験時期によっては「国際バカロレア機構」からの成績証明が書類審査に間に合わないことを理由に二次試験に進めないこともあるようです。
「せっかくIBで頑張ったのに大学に入れなかった」というリスクがあることは、帰国を考える日本人生徒からIBを学ぶ機会を奪うことにもつながっています。
IBを学習しようと留学したものの、現地の学校でIBの説明を受けた結果、その国の統一試験を受けて帰国することになった子どもも少なくありません。
また、現地で長く生活している子どもたちでも、海外の大学を希望しない場合はIBをとらないことも多いのです。
なぜなら、受験(入試)というシステムがなく、IBのポイントや統一試験の結果で合否が決まる国においては、負担の大きいIBで低い評価を出すよりも、現地の統一試験で少しでも高い得点を出したほうが希望の大学に入学できる確率が高くなるからです。
次回は、海外において国際バカロレアを学習している日本人の子どもたちの実例を紹介します。